今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

無人島に生きる一六人

2012年09月25日 | 「本」のひきだし

ブクログより


時代は・・・明治時代。
千島列島の先端にある占守島と内地との連絡船があるとき、遭難して太平洋の真ん中の無人島に漂着した。
連絡船の名前は龍睡丸、乗組員16人の決死の生還の記録だ。

似たようなので最近では桐野夏生の「東京島」が記憶に新しいが、物語としてどちらがおもしろいかと言うとそれは比較にならない。
なぜならこちらは実話だから。

報効義会という千島列島の開拓に勤める団体の船なので、ほとんど国の組織と思われる。
なので時代も時代だけれど、きちんとした規律があり、上下関係もしっかりしているので、無人島に漂着という非常事態にも船長の指揮のもと、するべき事を冷静にこなして、一致団結、救出の日を待つ。

誰かが誰かの物を盗んだり、ひとりで抜け駆けして食べ物をこっそり食べたり、そういうことは一切無し。
分け合い、譲り合い、何もない中でも工夫して喜びを見つけたり、すばらしい景色に見とれる余裕を持ったり、島での生活を楽しんでいるとすら思える。
16人に悲壮感が無いからだ。遭難記録というよりは冒険小説だ。

救出されてからも、この16人の行動は諸外国人たちの賞賛を浴びたとか、まさに日本男児ここにあり。


無人島に生きる一六人 / 須川邦彦
★★★★☆

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