今日は「ひなまつり」の日です。クリスマスやバレンタインもいいけれど、やっぱり日本古来のお祭り日は大切にしたいですね。そんな、ひなまつりにデビューしたアイドルがいます。六年前のひなまつりにデビューしたBerryz工房です。
Berryz工房 - あなたなしでは生きてゆけない
デビューに先駆けて、ベリは二ヶ月前に中野サンプラザを貸し切って結成発表会を行いました。この事からわかるように、事務所はかなり期待を込めていたグループであったと思います。ハロプロキッズから選抜されたメンバーで遂にグループが結成される。ハロプロ新時代突入の幕開け、そう言えたかもしれません。
事務所はベリを目立つ場所へ売り込みました。ゴールデンタイムの音楽番組には新人時代に全て出演。原宿の竹下通りにペナントを大量に掲げ、そして盗まれてニュースになってアクシデントすら宣伝効果を上げる。小田急電鉄とのタイアップで一編成全てベリ広告というベリーズトレインを一定期間運行する。などなど。
しかし、事務所が力を入れれば入れるほど、ハロプロヲタは反発していきました。当時、モーニング娘。の人気が誰でもはっきりとわかるほど下降気味になっていて、ハロプロヲタの圧倒的一大勢力である娘。ヲタから、「何故子供(ベリ)に宣伝費を使うのだ?」と不満の声が次々と沸き起こっていたのです。
これには自分も同様な考えを持っていました。コンサートツアーが大会場からホール規模へと向かいつつあった2004年のモーニング娘。は、ここで何か人気挽回策を講じないとファン離れに歯止めがかからないし、減った分を埋めるために新たなファン獲得のために何かしないと、更に人気が下がっていく一方なのではないかという疑念もありました。
つまり、ベリに使える大金があるなら娘。に使え!という思いを多くのヲタが抱いていた。そして、ここが重要なのだと思いますが、「小学生アイドルは推せない。小学生アイドルをデビューさせるのは反対」そういう人が圧倒的多数派だったのです。
これは、まあ正常な思考であり、娘。の中学生メンバーでさえ推す事をためらう人が少なくなかった事を思えば、当たり前の感覚とも言えました。
当然、小学生アイドルグループに対する非ヲタの世間の目も厳しく、ベリがテレビや雑誌に紹介される事は宣伝としては逆効果でしかないと思われました。デビュー曲発売の翌月から清水佐紀ちゃん、嗣永桃子ちゃんの二人は中学生でしたが、それでも8人中6人は小学生。世間に向かっては勿論、ハロプロヲタ内でも「Berryz工房が好き」とは言えない雰囲気でした。
ベリのデビューから二ヶ月ちょっとが経った頃、千葉県の幕張メッセで第一回ハロプロ文化祭が開催されました。このイベントの中に、モーニング娘。の新曲「浪漫」を買った人がもれなく参加出来るミニライブがありました。私も勇んで参加したものです。
「浪漫」は私が特に好きだったメンバー、石川梨華、高橋愛、藤本美貴がセンターでしたから、テンションが高まるイベントで、当時は握手は無かったのですが、歌中心のステージは大いに楽しめて、イベント自体はかなり盛り上がりました。
その娘。のステージが終わった夕方、娘。のミニライブが行われた会場よりもかなり小さいフロアでBerryz工房イベントが行われました。
娘。を見終えて帰ろうとする多くのヲタ達の横に、数百人のベリヲタが入場列を作っていました。事務所はハシゴを出来るように気を遣って時間をずらしたのだと思いますが、ハシゴをするヲタはほとんどいません。それどころか、冷ややかな視線をベリヲタに浴びせながら帰っていくのでした。「あれが小学生を好きな連中か」そういう視線であった事は確かです。
娘。ヲタ、いえハロプロヲタは、Berryz工房という存在がハロプロにある事を認めたくなかったのかもしれません。多くのヲタは冷ややかな視線を投げながらも、見なかった事にとばかりに、足早にベリのイベント会場の前から去っていくのでした。
事務所のミステイクはまさにそこにありました。おそらく、狙っていたファン層は「ミニモニ。世代」つまりメンバーと同世代の女の子達。当時、ミニモニ。人気はしぼんだ後でしたから、その後釜が必要だったのです。
そのためには、同じ事をやってもダメで、ベリのデビュー曲が大人びた歌でダンスも複雑にした事は、「同世代の子達が憧れるアイドル」を目指していたのだと思います。竹下通りを宣伝の場所に選んだのもそれが理由かと思われます。
しかし、既にミニモニ。世代の子達の多くはハロプロから離れていて、いくらベリをマスコミに登場させてもなかなか効果は得られません。漫画雑誌(マーガレット)とのタイアップというのも、上手く行きそうに見えてうまくいかず。成果らしい成果と言えば、よみうりランドイーストにて開催された少女&ファミリー客限定イベントに五千人を動員したくらいに終わります。
そのような限定イベントに五千人も来場したなんて、ベリは女の子に人気あったんだなと思ってしまいますが、このイベントはシール交換会という名目だったので、それ目当てのお客さんが多かったと思われます。あくまで、ベリのイベントというよりは、マーガレット主導のイベントでした。
それでも、事務所はなんとかしてBerryz工房に既存のハロプロヲタとは違う人達を取り込もうとした。その考えは決して間違いではなかったと思いますが、小学生に「初恋を最後の恋として」などと歌わせるようなグループに、非ヲタどころか、ハロプロヲタでさえ抵抗を感じ、「見ないふり」をしてきたような気がします。
そんなBerryz工房が注目されるようになるのは、昭和アイドル歌謡路線とも言うべき「恋の呪縛」を出したあたりでした。この曲の雰囲気にハロプロヲタが興味を示し始めたのです。ひなまつりデビューから季節は春夏秋へと移っていました。
今振り返ってみると、Berryz工房のデビューは少なくとも一年は早かったのでは?と感じます。2005年デビューであれば、8人中、小学生は2人と「中学生アイドルグループ」なアイドルだったのです。
それでも、2004年にデビューしたからこそ、あまりに歌詞の内容と歌い手がミスマッチなデビュー曲「あなたなしでは生きてゆけない」が生まれたとも言えるのであり、そのミスマッチを今なら「こんなやり方も、まあアリか」と思いながら振り返る事が出来るのでしょう。
むしろ今は「高校生アイドルグループ」なBerryz工房に「あなたなしでは生きてゆけない」と歌われても、そこに微妙に見え隠れするリアリティが曲の持ち味を消してしまうような気がしています。つんくPがこの曲で見せたかった事が、もう今では再現出来ないドラマとして、私はこの曲は封印すべきと思っています。
しまっておく事で生きる輝きというものもある。未来に生きていくために、そういうものも必要なのだと、今のBerryz工房楽曲に溜め息をつきながら思うのです。
「封印」という意見には私も前から思っていました。あの曲の完成度は、彼女達の幼さがあってこそだし、何より`初心'のデビュー曲をライブで安々歌ってほしくない!大事に大事に取っておいて、それこそ節目の年の雛祭りにしか歌わなくてもイイと思います。
ニーズも実力も追い付いてない状態でのごり押しはこうなるのも明白でした。
万を持したスマイレージも少し実力が厳しいと思っているぐらいなのであの頃の彼女達じゃ話にならなかったでしょう。
今は素晴らしいグループになったと思います。
今こそ、売り出す時…と俺は思っています。
>ぽにゃさん
こいじゅばで好きになりましたか。結構あの曲でファンが増えたのですよね。それで、スペジェネで更に火が点いた感じでしたね。
確かちょうどベリがデビューした頃、ロ○コン的犯罪がいくつかあったと記憶しています。さすがに小学生アイドルはマズかったですね。
封印に賛成してくれてありがとうございます。大事にしてほしい曲だし、やはり鮮度を大切にしてほしいタイプの曲なので、ステージで乱発してほしくないですね。
>きんやさん
そうです。実力もさることながら、ニーズがなかったですね。狙っていた子供達が見向きもしなかったのは予想出来た事態で、さすがにヲタも相手が小学生じゃ気軽に推せない。しかも、握手会までやっていたのですから、今思えばかなり危険な売り方をしていたと思います。
今のベリこそ、テレビ向きに展開出来ると思います。事務所はもうベリキューにあまりお金を使いたがらない傾向ですが。