フリージア工房 国道723号店

ハロプロメンバーを応援してアイドル音楽を愛するエッセイブログ

ROCKエロティック

2013-10-30 23:24:15 | ハロプロ(ベリ)

Berryz工房 - ROCKエロティック


 昔、近田春夫さんが連載中の週刊誌のJ-POP批評コラムでモーニング娘。の「シャボン玉」を取り上げた時、「つんく♂はLOVEマシーンという攻撃的な意欲作で、小室サウンドの寡占状態にあったJ-POP界に新たな風を吹き込んだ。私はそれを嬉しく思いその後に期待をしてきたが、今やモーニング娘。の楽曲は彼女達のファンに向けた内向けの曲になり果てた」というような内容の批評を書いて残念がっていた事があった。言いたい事は理解出来た。もうモーニング娘。は世間に向けて新提案をするグループではなくなっていたし、だからこそ普通のアイドルになっていたのは事実だった。

 アイドルというジャンルは基本的には世間様からは後ろ指をさされる存在で、その中からメジャー権を得た者が「国民的アイドル」という称号の下で市民権を得て活動をする。かつてのモーニング娘。は守りに入っていない刺激的なサウンドを引っさげて「国民的アイドル」になったのだから、これは奇跡とも言えるし、だからこそプロデューサーであるつんく♂Pの評判が大いに上がったのだ。
 そんなつんく♂Pがよく口にする言葉に「ロック」というものがある。これは音楽的な意味でのロックではなくて、存在としてのロックを意味しているのだと思うけれど、かつてのモーニング娘。も挑戦的な姿はそうだったし、今のハロプロだってそういう立ち位置なのだろう。でも、ハロプロ史上もっともロックな存在だったのは、もしかするとデビュー当時のBerryz工房だったのかもしれない(ここでようやくベリの話になる)。

 デビュー当時のBerryz工房はあまりにも子供過ぎて、世間的には「見て見ぬふり」をされてしまいかねない存在だった。同志であるはずのハロヲタからでさえ「見て見ぬふり」をされてきたのだから、当時からベリヲタをやってきた人達は肩身の狭い思いをしてきたかもしれない。それは、もはやロックを超えてパンクやヘビメタ的扱いである。
 そういう状況だとやり甲斐があるのか、単に少女が主人公な曲を書くのが得意なのか、当時のつんく♂PのBerryz工房へのライティングは絶好調であった。これは誇張でも何でもないのは、ベリの1stおよび2ndアルバムを聴けば納得出来ることである。
 ヘビメタ(という略し方そのものが実は蔑視だ)にもパンクにも音楽的に評価される作品があるように、小中学生アイドルだって音楽性が高くてもいい。つんく♂Pはロックを具現化したのだ。これぞ、ロックなアイドルである。バックでギターが唸っていなくてもロックなアイドルである。

 年月を重ねてBerryz工房は子供ではなくなった。来年の4月にはメンバー全員20代だ。テレビで活躍して知名度の高いメンバーもいる。もう世間様からはみ出した存在ではないのか? 答えはNO!である。
 今のBerryz工房ほどアイドル界の正攻法フォーマットから外れているアイドルグループはそう居ないはずだ。全員の身長もスタイルも髪型も髪の色もバラバラ。性格も言動もバラバラ。一致団結な感じなどない感じ。この隙間だらけのパーソナリティは、基本的にはアイドルに何かしらの思い入れを持って応援をするのが常なアイドルヲタも軽い動揺をおぼえるレベル。
 でも、それがBerryz工房の魅力であり、Berryz工房とはなんぞや?という問いに簡潔な答えが出てくるようになったらBerryz工房も終わりである。何だかよくわからないけど、その何だかよくわからないのが魅力なのだ。その、見る人に軽々しく気を許させない存在感は方向性こそ変われど昔も今も健在だ。世間様に対してロックな立ち位置は息づいている。
 そこに、オトナな色気も加わってきたのだから、もはやアイドルとしての前人未到な世界を作り上げているとしか言いようがない。ロックでエロティック。つんく♂Pがずばり直球を投げてきたのだ。「シャボン玉」からちょうど10年が経過しているのはたぶん偶然だ。


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