9時に寝る

病院の消灯時間は午後9時である。
問答無用で消していく。
たとえ嘔吐を繰り返していようと、ベッドの具合を確かめようと床をのぞき込んでいようと、室内を確認もせずにである。
みんな手探りで対処する。
その結果、暗いベッドの上でスマホの明かりを頼りに日記を打ち込んでいるのだが。
そういえば、橋本治は闘病中も原稿用紙にペンで書いていたのだろうか。
9時に寝ろと言われても、一日中なにもせずにベッド周辺でゴロゴロ過ごしていたのだから眠いわけがない。健康な時でも最近は（今から思えば最近は健康じゃなかったけど）1時間ごとに目が覚めるような寝方だったから、朝が来るのが待ち遠しく、1時間ごとに時間を確認する。
朝が来ればメシが待ち遠しい。
上げ膳据え膳のありがたさが身にしみる。（ただし納豆は病院食には合わないぞ）