Nonsection Radical

撮影と本の空間

少年の”人生”

2014年10月03日 | Weblog
琉球新報の「金口木舌」の話。
高校生のガキが年寄りに「おじさんは売国奴ですか」と声を掛けた。
その言葉に”おじさん”は69年前の事を思い出す。
投降しようとした沖縄の男性に、日本の兵隊が「売国奴っ、スパイ野郎っ」と叫んで日本刀で斬り付けて、首をはねる場面を目撃したという。
これが当時13歳の少年であった”おじさん”の「売国奴」体験だ。
一方、”おじさん”に声を掛けた高校生には、言葉の中に、その人が背負ってきた歴史の長さがある事がまだわからないから、こういう浅はかな言葉遣いが出来ると言える。
高校生というのは10年前にはランドセルを背負うかどうかのガキだよ。
ろくに漢字も書けない年頃だ。「ばいこくど」なんて書けやしない。
それが10年も経てば大人にいっぱしの口がきけると思うようになるのだから。
さらに15年もさかのぼれば、オムツをしていたのにさ。
15年前には俺なんかやっぱりオッサンだったのに、その時にオムツをしていたんだよ高校生は。
立派な口がきけるようになったもんだ。
バブルの時には、あるいは昭和の時代には生まれてもいなかったんだぜ。
世の中の事なんかほんのちょっとしか経験していないし、ほんのわずかな人としか接してもいないし、毎日1冊本を読んだって10年で4000冊も読めてないんだから。そんなのでどうして大人に「売国奴」なんて口がきけるのかねぇ。
そんな自分に対する想像力も働かないガキの言葉に何の意味があるというんだ。
自分に対しても他人に対しても想像力が働かないという致命的欠点があるガキは、何事かを語るには適していないという自覚が必要だろうな。




大開通り 8
兵庫県豊岡市中央町,千代田町
撮影 2014年8月2日 土曜日 11時15分
コメント
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