3.11以後の日本

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介護保険に過度に依存はよくないのか?日経のらいふプラス

2013-01-24 00:46:46 | 現代社会論
2013.1.23の日経夕刊
らいふプラスという欄、「介護保険、過度の依存は禁物」記者は山口聡。

介護保険制度は「要介護高齢者の自立支援」という本来の役割を果たしていないとの批判が強まっているとのこと。
制度に依存する人を増やしているという。

家族の言いなりはいけないとか、高齢者の状態、その状態をつくった原因をきちんと調べ、生活していくうえでの課題を把握し、目標を設定して・・・ケアプランを立てる。
プランを立てるのはケアマネといわれる専門職だが、適切なプランができていない例があるという。

あれこれ書いてあるが、ざっと読んで、この記者は、高齢者の自立というのがまるでわかっていないというのが第一印象である。

私は、だいたい、高齢者の状態、その状態をつくった原因をきちんと調べ、生活課題を把握し、目標を設定して・・・というフレーズがすでに許せない。
それが専門家といわれているケアマネのお仕事だそうだが、まず、高齢者の状態とはなにか、である。

状態など、すぐわかるものではないし、その状態を作った原因をきちんと調べ・・・、だって? そんなことすぐにわかるわけがない。
そういうのを理解できるのは、10年ぐらい福祉事務所でまともにやってきたワーカーぐらいだ。昨日今日の、しかも、経済も住宅も家族の葛藤もわかっていないようなケアマネ(失礼)など、、生活課題などわかるはずがない、と強く言いたい。

それにだ。なによりも問題と感じるのは、利用者主権ではなかったか。それを家族のいいなりなどと、いわれても困る。
適切な情報を提供し、決めるのは本人だ。本人が予想外にも「依存」してしまったのは、SWが十分でなかっただけのことである。それにしても依存だとかいいなりだとか、ケアマネはどんな権限があるというのだ。専門家といっても医師でもないし、弁護士でもない。だいたい治療ではないので、あれこれいわれたくないというのが正直なところ。生活の仕方なんて自由ではないか。なんの権限をもって依存、言いなりなどというのであろうか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

厚労省は、ケアマネージャーの資質向上と今後の在り方に関する検討会を設置しているとか、これも、あまりにも稚拙なやり方である。
もともと、ケアマネなど、生活をみる視点を教えられていない。また、在り方検討会など、ケアマネの業界の代表の後押しみたいなものであり、ケアマネ、そのものの意味や存在価値、生活の基本枠組みなどを議論する場ではないし、今のケアマネの関係者、業界の代表者はそのような能力がある人がいるとはいえない。

両親の在宅要介護生活を見ていると、高齢期の生活の実態を把握するためには、未熟なケアマネなどまったくもっていらないと思うのである。見識のある家族のほうがずっとよいプランがたてられるし、地域の実情に精通している当の本人が一番サービス業者の情報をもっていたりする。なによりも、本人および家族は余計なケアマネに状態や原因を調べられたりしたくない。介護保険はすべての高齢者に開かれたシステムのはずである。おせっかいなケアマネの助言などあまり参考にならない。ケアマネは不要である。

それにしても、これを書いている日経の記者。底が浅い。
高齢期の生活支援の基本は、豊かな第三ステージを社会が創出するということ、介護保険はそのツールの一つにすぎないのである。


この記者のプロフィール:山口 聡 1964年京都府生まれ。1987年京都大学文学部卒、日本経済新聞社入社。地方部、長野支局、経済部(厚生労働省を担当)を経て、2004年から生活経済部編集委員。10年間にわたって年金制度など社会保障問題を担当している。

厚生労働省の情報しか知らない、まるで素人のような50才ぐらいの記者。厚労省の発表をなぞるだけでは記者とはいえない。だいたい、この記者の記事に生活の匂いがない。高齢者のリアルな生活を掘り下げてから、高齢者の自立を促す支援とはなにかをもっとまともに考えて書いてほしい。




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