3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

高齢者施設の虐待の解決

2016-02-07 09:55:59 | 現代社会論
特養などの高齢者施設で認知症の高齢者など入居者への施設職員による虐待が問題になっている。
家族親族からの虐待件数もうなぎ上りである。

まず、高齢者施設の介護職員の質の問題が一番の原因である。
低賃金、長時間労働、非専門性、どれをとってもヒユーマンな介護現場を支える人材として十分とは言えない。

介護離職ゼロというのなら、娘や息子が認知症の親の介護をしながら会社勤めをするという生活モデルをどう支えるかが問題だが、それには、認知症の高齢者を支えることができる質の高い介護職員が必要なのである。

しかし、現実は、低賃金、長時間労働、非専門職、とされる介護職は社会的地位が高くなく、やりがいがないという仕事のイメージが広がり、常時、人手不足なのである。
結局、高齢者現場では、派遣社員などにたよることになり、ますます、その仕事としての不安定性と非専門性は解消することがない。

自分の親や将来的には自らが認知症状態になったときに生活を預けることができるような人材の確保と養成のための施策が必至である。

高校生なんか遊ばせていないで、3か月でも介護と保育の仕事に専念させるくらいさせたらどうか。

親を看取ってつくづく思うのである。
介護の仕事に高い賃金を払うのが超高齢社会の社会モデルとしてあるべき姿だと。
子どもがわんさかいて、街角に子どもの声があふれていた昭和30年代、右肩あがりの成長の時代ではないのだ。
圧倒的な高齢者の数、年金受給者、要介護者の増加に対して我々はあまりに無防備である。

結局、介護に行き詰まった家族は認知症の親を虐待、施設に預けたとしても、介護職員不足は低レベルの介護の質をまねき、介護職員による虐待につながっている。
よってたかって高齢者を虐待する社会が良い社会のわけがない。

成熟した今の日本にとって必要なのは暖かく専門性の高い介護職員である。
ついでにいえば、保育も全く同じ状況である。

こういうヒューマンな仕事にいくら税金を投入できるか、われわれの覚悟が試されているとしかいいようがない。

施設の評価や人材の研修などがいわれているが、根本的なところの議論がない。
人材の待遇が悪すぎるのであるから、それをまず解決することである。
質の高い職員が良い待遇で良好な労働環境で働く体制があれば、問題はおきない。そういう体制があってはじめてまともな第三者機関によるサービス評価が可能である。
いくら外部審査で抑止といってもできないものはできないのである。
一般市民の介護への評価を変え、ドラスティックに労働環境を改善しなければ到底高齢者施設の虐待は収まらないと思われる。
コメント
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