3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

私の音楽歴⑥ー 時空を超えて、森の静けさのなかで今、ドイツ歌曲をうたう

2011-09-04 12:16:18 | 女性の地位

失われた10年、新自由主義経済に席巻された結果、08年の秋の世界経済危機は起こるべくしておきた。以降、日本経済は壊滅的な打撃を負った。経済グローバリゼーションはもう後戻りできないところまで進んでいる。加えて、気候変動、CO2の削減など、環境問題も待ったなしである。さらに、先進工業国はどの国も人口の高齢化が進行し、社会保障、社会福祉を手厚くしなければもたなくなっている。経済の再生のために地球の環境を護るために、新しい福祉国家、福祉社会の枠組みを追究するためにも地球規模で考え取り組んでいかなければならないだろう。問題は山積している。われわれの精神は激しい競争社会のなかで疲弊し摩滅してきた。あらゆる場面で閉塞感が漂う。それでもなんとかして、この苦境を乗り越えなければならない。

そう思っていた矢先、2011.3.11の大震災津波原子力発電所の事故が起きたのだ。

大量生産大量消費のいわば、躁の時代は終焉したのである。われわれは、まったく違う社会システム、生活を営む枠組みを模索せざるを得ない。失われたこの10年、20年ともいわれているが、いや、敗戦以来、ずっと追いかけてきた「豊かさの追求」の中で失った静かな生活をもう一度思い起こし、やり直さなければならないだろう。

市場経済のなかの激しい競争や成果主義、そういった喧騒の渦の中からではなく、今のわれわれには、森の静けさ、泉の湧くかすかな音に耳を傾けるような生活スタイルから生み出されるなにか、が必要なのではないだろうか。

ドイツ歌曲、これらの時空を超えて愛されてきた歌曲たちは、私にとって、豊かさの追求の途上でうしなったものを一つ一つ思い起こすためのひとつの装置である。
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