1995年の阪神淡路の震災のときの復興委員会は当時の村山富市首相が編成した。メンバーは、以下の通りであった。
○下河辺淳(元国土事務次官、都市計画家)
○伊藤滋(東大教授=都市計画専門家)
○堺屋太一(作家、経済評論家、元通産官僚)
○一番ケ瀬康子(日本女子大学教授=社会福祉専門家)
○川上哲郎(関西経済連合会会長)
○後藤田正晴(元副総理、元警察官僚=旧内務官僚)
○平岩外四(経団連名誉会長、元東京電力社長・会長)
村山総理は旧社会党系だから、社会福祉の研究者をいれたのだろう。
後藤田正晴、平岩外四という大物がきちんと入っている。
今回の東日本大震災の復興構想委員会のメンバーを生活保障、すなわち社会保障、社会福祉という視点からみてみると
専門委員の白波瀬氏が社会保障や社会福祉の立場ということになっているようだ。白波瀬氏のPPTは次のようなものである。抜粋してみよう。
「地域の医療拠点の確立」としてあげているのは次の4点である。
保健師、ソーシャルワーカーによる巡回サー
ビス:高齢者、乳幼児
公衆衛生の再生、充実:感染症、心の相談
食の安全、栄養指導
医薬品の調達
「異なる専門家の連携が要」
であると、異専門職種の連携を強調し総括する。が、保健師、ソーシャルワーカーによる巡回サービスとは具体的にどのようなものをイメージしているのか不明である。
地域包括支援センターの相談体制をイメージしているのだろうか。
地域医療の拠点を確立するなら、保健師、看護師の訪問看護や相談、訪問医療こそ巡回サービスにあげられる必要があろう。
さらに突然、公衆衛生の再生充実のところに感染症と「心の相談」がはいっているが、これも詰めが甘い。
次に「地域コミュニティーを支える専門職」の重要性を説く。
生活の場(生活圏)に、医療・介護・福祉の包
括的拠点を作る.
その中心的役割を担うのが、保健師であり
ソーシャルワーカー、そしてカウンセラーであ
る.専門職の派遣と養成
専門職を束ねるコーディネーターの養成
これもよくわからない。生活の場に医療・介護・福祉の包括的拠点という、中心的役割を保健師、ソーシャルワーカー、カウンセラーが担うとあり、それらを束ねるコーディネーターを養成するとある。
今から養成するのでは、すぐに役立たないから、医師、保健師、看護師、栄養士などの医療系、社会福祉士、介護福祉士という福祉系、そして臨床心理士などの心理系の専門職をどこかが束ねなければならないだろう。
「復興を福祉のあり方から考える」
要介護者への対応
介護ケアの担い手問題
介護保険手続き上の問題(迅速な対応)
障害者への対応
障害者本人のみならず障害者を抱える家族への支援、ケア
日本語を母語としない住民への対応
多様な背景をもつものが共に生きる社会に向けた第一歩
貧困層への対応
現時点ではこの問題について、まだ顕在化していないが、今後、雇用
の問題も含めて深刻化することは疑いない.
福祉事務所が住民の福祉に十分機能するよう、生活保護に留まらな
い住民へのトータルな福祉サービス拠点のあり方を設計すべき.
つまり福祉事務所が住民の福祉に十分機能するよう生活保護をはじめとし、トータルな生活支援のためのサービスの「拠点」になるべきということなのか。
「仮設住宅の建設と生活圏の構築」では
住む場所と生活する場所
住む人の立場にたった、生活圏の構築。
医療サービスへのアクセス
介護サービスの提供
子育て支援(保育サービス、育児相談等)
公園、公民館、児童館、図書館等
雇用支援サービス(職業訓練)
仮設住宅を生活圏とするために、社会保障の
整備は不可欠
とのことである。
というか、社会保障の基本的ベースとして住宅保障を位置付ける必要があるだろう。
「少子高齢社会の新たなコミュニティモデル」
中範囲生活圏の創造
互いの顔が見える循環型コミュニティー空間の形成
女性、若者、外国人、障害者など、多様な人々に意思決定の場への
参加要請
参加型社会の形成
新しいスキル(熟練)を獲得するための積極的な職業訓練機会の提供
男女共同参画社会と生涯現役社会の実現
医療・介護・福祉サービスの包括的拠点の形成
拠点からアクセスが容易な範囲に生活圏を設定
する。ソーシャルワーカーによる訪問といった、見
守り巡回も不可欠
各種情報の収集と情報共有システムの確立
中範囲生活圏とは、どのくらいの規模をいうのか?
地域包括支援センターは中学校圏をイメージしているからその程度の規模なのだろか。互いの顔が見える循環型コミュニティ空間の形成、
きわめて抽象的であり、たぶん、これを書いている本人にもイメージがわいていないように思える。
そのあとにある参加型とか新しいスキルとか男女共同参画社会(以下省略)・・・・、これらはすべて、3.11以前に何べんもいわれ、手垢にまみれた文言である。
3.11以後の新しい社会保障、社会福祉の提示できる枠組みはないのか。
これでは、3.11以前にあった政府系の白書のおさらいをしているような気になる。
説得力に欠ける。
やはり、これまで社会保障、社会福祉の現実を知らず、現場に携わってこなかったためなのではないだろうか。
短期間にプレゼン資料を作成するのは大変だろう。
しかし、避難所にいる人々は、絵空事など期待してはいない。とくに社会保障、社会福祉のところは、生存にかかわるので、きわめて重要である。
そして、社会保障費をどうねん出するか、つまり、消費税や復興税のあらたな増税論議とも密接にからむ。清家委員が年金支給年齢の引き上げも提案されているようであるが、これもきわめてナイーブな提案で物議をかもすところであろう。このどさくさにまぎれてなんでもとれるところから、削減できるところからやってしまえ、という、火事場泥棒みたいなやりかたがみえかくれする。
避難所にいる人々が安心できるインパクトのあるものを出してほしいものである。被災地は高齢化率が恐ろしく高い地域である。年金制度にメスをいれるならそれなりの覚悟が必要だろう。
避難所とは遠いところにいるが、これからの日本がどうなるのか、不安にかられている全国の人が納得のいくようなそれでいて新しい枠組みを提示してもらいたい。
震災がなくても、不況で生活不安が蔓延していた日本、復興構想委員会は、3.11以後、希望が見える復興の道筋を描くことができるのか。
○下河辺淳(元国土事務次官、都市計画家)
○伊藤滋(東大教授=都市計画専門家)
○堺屋太一(作家、経済評論家、元通産官僚)
○一番ケ瀬康子(日本女子大学教授=社会福祉専門家)
○川上哲郎(関西経済連合会会長)
○後藤田正晴(元副総理、元警察官僚=旧内務官僚)
○平岩外四(経団連名誉会長、元東京電力社長・会長)
村山総理は旧社会党系だから、社会福祉の研究者をいれたのだろう。
後藤田正晴、平岩外四という大物がきちんと入っている。
今回の東日本大震災の復興構想委員会のメンバーを生活保障、すなわち社会保障、社会福祉という視点からみてみると
専門委員の白波瀬氏が社会保障や社会福祉の立場ということになっているようだ。白波瀬氏のPPTは次のようなものである。抜粋してみよう。
「地域の医療拠点の確立」としてあげているのは次の4点である。
保健師、ソーシャルワーカーによる巡回サー
ビス:高齢者、乳幼児
公衆衛生の再生、充実:感染症、心の相談
食の安全、栄養指導
医薬品の調達
「異なる専門家の連携が要」
であると、異専門職種の連携を強調し総括する。が、保健師、ソーシャルワーカーによる巡回サービスとは具体的にどのようなものをイメージしているのか不明である。
地域包括支援センターの相談体制をイメージしているのだろうか。
地域医療の拠点を確立するなら、保健師、看護師の訪問看護や相談、訪問医療こそ巡回サービスにあげられる必要があろう。
さらに突然、公衆衛生の再生充実のところに感染症と「心の相談」がはいっているが、これも詰めが甘い。
次に「地域コミュニティーを支える専門職」の重要性を説く。
生活の場(生活圏)に、医療・介護・福祉の包
括的拠点を作る.
その中心的役割を担うのが、保健師であり
ソーシャルワーカー、そしてカウンセラーであ
る.専門職の派遣と養成
専門職を束ねるコーディネーターの養成
これもよくわからない。生活の場に医療・介護・福祉の包括的拠点という、中心的役割を保健師、ソーシャルワーカー、カウンセラーが担うとあり、それらを束ねるコーディネーターを養成するとある。
今から養成するのでは、すぐに役立たないから、医師、保健師、看護師、栄養士などの医療系、社会福祉士、介護福祉士という福祉系、そして臨床心理士などの心理系の専門職をどこかが束ねなければならないだろう。
「復興を福祉のあり方から考える」
要介護者への対応
介護ケアの担い手問題
介護保険手続き上の問題(迅速な対応)
障害者への対応
障害者本人のみならず障害者を抱える家族への支援、ケア
日本語を母語としない住民への対応
多様な背景をもつものが共に生きる社会に向けた第一歩
貧困層への対応
現時点ではこの問題について、まだ顕在化していないが、今後、雇用
の問題も含めて深刻化することは疑いない.
福祉事務所が住民の福祉に十分機能するよう、生活保護に留まらな
い住民へのトータルな福祉サービス拠点のあり方を設計すべき.
つまり福祉事務所が住民の福祉に十分機能するよう生活保護をはじめとし、トータルな生活支援のためのサービスの「拠点」になるべきということなのか。
「仮設住宅の建設と生活圏の構築」では
住む場所と生活する場所
住む人の立場にたった、生活圏の構築。
医療サービスへのアクセス
介護サービスの提供
子育て支援(保育サービス、育児相談等)
公園、公民館、児童館、図書館等
雇用支援サービス(職業訓練)
仮設住宅を生活圏とするために、社会保障の
整備は不可欠
とのことである。
というか、社会保障の基本的ベースとして住宅保障を位置付ける必要があるだろう。
「少子高齢社会の新たなコミュニティモデル」
中範囲生活圏の創造
互いの顔が見える循環型コミュニティー空間の形成
女性、若者、外国人、障害者など、多様な人々に意思決定の場への
参加要請
参加型社会の形成
新しいスキル(熟練)を獲得するための積極的な職業訓練機会の提供
男女共同参画社会と生涯現役社会の実現
医療・介護・福祉サービスの包括的拠点の形成
拠点からアクセスが容易な範囲に生活圏を設定
する。ソーシャルワーカーによる訪問といった、見
守り巡回も不可欠
各種情報の収集と情報共有システムの確立
中範囲生活圏とは、どのくらいの規模をいうのか?
地域包括支援センターは中学校圏をイメージしているからその程度の規模なのだろか。互いの顔が見える循環型コミュニティ空間の形成、
きわめて抽象的であり、たぶん、これを書いている本人にもイメージがわいていないように思える。
そのあとにある参加型とか新しいスキルとか男女共同参画社会(以下省略)・・・・、これらはすべて、3.11以前に何べんもいわれ、手垢にまみれた文言である。
3.11以後の新しい社会保障、社会福祉の提示できる枠組みはないのか。
これでは、3.11以前にあった政府系の白書のおさらいをしているような気になる。
説得力に欠ける。
やはり、これまで社会保障、社会福祉の現実を知らず、現場に携わってこなかったためなのではないだろうか。
短期間にプレゼン資料を作成するのは大変だろう。
しかし、避難所にいる人々は、絵空事など期待してはいない。とくに社会保障、社会福祉のところは、生存にかかわるので、きわめて重要である。
そして、社会保障費をどうねん出するか、つまり、消費税や復興税のあらたな増税論議とも密接にからむ。清家委員が年金支給年齢の引き上げも提案されているようであるが、これもきわめてナイーブな提案で物議をかもすところであろう。このどさくさにまぎれてなんでもとれるところから、削減できるところからやってしまえ、という、火事場泥棒みたいなやりかたがみえかくれする。
避難所にいる人々が安心できるインパクトのあるものを出してほしいものである。被災地は高齢化率が恐ろしく高い地域である。年金制度にメスをいれるならそれなりの覚悟が必要だろう。
避難所とは遠いところにいるが、これからの日本がどうなるのか、不安にかられている全国の人が納得のいくようなそれでいて新しい枠組みを提示してもらいたい。
震災がなくても、不況で生活不安が蔓延していた日本、復興構想委員会は、3.11以後、希望が見える復興の道筋を描くことができるのか。