さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

上田市の古民家(和風住宅)拝見♪~民家とは~

2015年06月16日 | ◆古民家・伝統建築・その他見学

先週の事になりますが、上田市の市街地に建つ古民家を拝見して参りました。

第一次世界大戦から第二次世界大戦の間くらいに建てられたそうです。
(大正から昭和初期くらいの建築ということね)

建物の状態は比較的良いし、何しろ市街地の民家だけあって、とても洒落た造りの家でした

レトロな照明が素敵~♪

  

このガラスシェードと恐らく同じ形のものを、私の設計でもよく使いますが、それには装飾がありません  

こんな風に。↓ (でも、これはこれでシンプルで好きなんですけどね♪)

  

左:小諸の古民家再生事例

右:自宅の縁側。

 

 そしてこちらはお風呂。

これまたタイル使いがレトロでめっちゃいい☆

  

 

洗面所。

洗面器の左側にあるカウンターは

実は隣が玄関で、玄関側から使えるようになっている下駄箱が、洗面所側に飛び出てカウンターになっていたのでした。

いろいろ工夫されていて面白い☆

 

 

お座敷。

この家は平屋なのですが、このお座敷の周りを回遊できるような間取りになっていて、農家型の民家とは一味違う空間でした

  

  

書斎?

こちらのお部屋は、書斎だったのか、2面一杯に窓が設けられており、外には木製の手すりが付けられていて、これがまたいい感じなのでした☆

庭を眺めながら書きものをしたくなる感じだわぁ~と思ったら、聞けばここのお爺さんは文人だったとか?!

なーるーほーど~♪ まさしく、そんな佇まいでした☆

  

 

私が携わる事の多い古民家と言えば、

農家、町家や商家といった生業のための空間を備えた住まいで、江戸、明治くらいから昭和戦前くらいまでの古い民家が多いのですが、

(ちなみに我が家は旅籠屋でした)

今回拝見させてもらった家は、生業の空間を備えてはいない、純粋に住まいの場としての民家でしたので、いわゆる和風住宅といわれる部類になろうかと思います。

 

民家とは

  • 一般庶民が暮らす住まいのこと
  • 元々は神社・仏閣・宮殿・官衙などの建築とは違う一般民衆の住居を指す
  • 元来幕府の役人が使っていた言葉で、年貢を取り立てる土民の家という意味
  • 支配階級、上層階級の住まいに対比して用いられる言葉
  • 日本建築史では、主に江戸時代の農家、町家・商家、漁家、下級武士の住まいを示すが、明治以降に建立された住宅で伝統的様式・技法を用いたものもこれに含まれる
  • 住まいの場となる建物が、生産活動の場(生業空間)を兼ねており、厳密に言えば、貴族住宅、武家住宅、現代の住宅などの単なる住宅と区別される
  • 現代日本語ではマンション・団地などの集合住宅に対して、一戸建ての比較的小規模な住宅を指して「民家」と呼ぶことがある

  *参考:民族建築大辞典/民家は生きてきた(伊藤ていじ 著)/日本の民家(wikipedia) 等

追補 

  • 「木割のある住宅」と「木割のない住宅」とが存在し、木割書「匠明」にある「屋」および「殿屋」は当時の支配階級である天皇・公卿・僧侶・将軍・管領等の邸宅をさしており、木割のない建物は前記以外の建物をさすわけで、住宅にかぎれば農家・町屋のような民家がこれに入る。
   *参考:中世住居史(伊藤鄭爾 著)
 
 
 
(最近、こういう文献を見ながら仕事をしていなかったので、奥にしまってあった書籍を出してきました 大学時代に買ったものが大半で、、、最近、再勉強の必要を感じます

 

ちなみに私もよく使う  古民家とは、ですが

民家のうち、特に建造されてから時を経たものをいう訳ですけども、どの時代に建てられたものを指すかという定義は特になされておりません。

wikipediaでは、通常は戦前以前のもの、特に大正以前のものを指す場合が多いとされています。

また、国の登録有形文化財は建設後50年以上経った建造物が対象になってますので、50年経てば古民家と言えるのかもしれませんが、私はだいたい昭和初期か戦前くらいまでを古民家と呼んでいます。


さて、今回この建物を拝見したのは、この建物・土地の購入を検討されている方から、改修する場合どれくらい費用が掛かりそうなのか、というご相談があったからなのです。

古い家を取得しようとする時、何よりも心配なのはそこですよね・・・

大概の方は、全く見当がつかないかと思います。本当にケースバイケースですから、、、

とりあえず、建物を拝見しながら間取りを軽くとりまして、

一旦事務所に持ち帰って面積を計算し、ざっくり大雑把な改修費の目安をお知らせした次第デス。。。

 

これまでも、物件購入する前に事前相談を受けた事が何度かありました。

そして実際に土地建物を購入して、古民家再生が実現したお宅もあります

 

さて今回はお客様、どのような判断を下されるのか。。。

なんとも微妙で歯切れの悪い助言しか出来ませんでしたので、とても気掛かりです。。。

 

 

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上田の蚕室造り古民家改修 竣工写真(北側外観)

2015年06月14日 | 現場7~上田市 蚕室造り民家の改修

もう何年携わっているのか勘定できないくらいやってる上田の蚕室造りの古民家改修工事。

設計のお声が掛かったのが2008年ですから、今年が2015年で、、、

とうとう7年目に突入してしまいました

 

昨年の4月には外回りの工事を残したまま、引き渡しを済ませおりましたこちらの現場。

昨年の11月に屋根や雨樋等の板金工事を終えまして、

その後、引き続き、外壁の塗装や漆喰塗りを予定しておりました。

塗装工事は昨年に終える事が出来たのですが

漆喰塗りの方は時期的な問題がありまして

(寒冷地では凍結の恐れがあるため)

今年の春に工事をする事になり、左官屋さんが入って下さるのを待っておりました。

そして5月下旬に現場入りして頂きまして、やっと外壁の漆喰塗りを終えたところです

 

 

  

こちらが改修前です。↓

(北面)

  

 

そしてこちらが改修後です↓

今回の改修工事は生活部分の改修がメインでしたので、北側の外壁も2階の蚕室部分だった部屋は一部まだ昔のままです。 

屋根は全面に外張り断熱を新たにやりましたので、瓦は葺き替え、そして、屋根断熱のため屋根の厚みが増えたので、雨樋もやり直しました。

外壁は2階一部と、1階は最初は改修部分だけ塗り変え予定だったのですが、最終的には全面塗り替えになりました

   

こちらの家は、とにかく大きい建物で、間口12間以上もあります。

延床面積は、なんと132坪という、とてもとても大きい明治の蚕室造りの古民家。

ここら辺の一戸建て住宅 3棟分 はあります!

(なので写真に建物全体像が納まりません)

しかし、これだけ大きいと、改修するにも維持するにも生半可な事では出来ず、

各代が 家一戸分新築するくらいの費用 を投じて、

ここまで屋敷として残ってきたと言えます。

  

質実剛健が家風だというお施主さん。

建物も暮らしにも華美なところがありません。

ですが、「質」というものをよく分かってらっしゃる家で、安普請はされてこなかった。

解体工事をしても、いい材料を使った普請をされていたので、痛みもあまりありませんでした。

長持ちするものはどういうものか、これだけの年月を耐えてきた古民家に暮らされているからこそ分かっているのだと思います。

  

最近思う事は、この「質」が分かる人が少なくなってきているように感じます。

物が溢れ、物を簡単に手に入れる事が出来るようになり、物の耐久性を考えなくても良くなったからでしょうか。。。

 

と、ちょっと話が逸れてしまいましたね。

 

これで一応、外壁も仕上がりましたので、そろそろ工事としては目途がたってきたというところでしょうか。

あともう一息。(と言いながら、まだ少し掛かりそうですけど

これだけの建物ですので、直し始めると、あちこち気になるところが出てきたり

お施主さんご家族も先月5月に引っ越してきたところなので

これからまだ手直し等あるかもしれません。

 
と、思っていたところ、早速畳替えのお話があったり

いいですよー

まだまだお付き合いします! 家づくりってそういうものだと思うもの。

そうこうしているうち、2期工事ってなっちゃったり、は、しないとは思いますが

実際、別の物件ではこれから5期工事というのもあります。

このように建築って、物の売買等と違って、手離れが悪いものですけど

だから面白いのかもしれません

 

 

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そろそろ着工に向けて

2015年06月11日 | 現場10~佐久市望月 古民家の改修

気がつけば (最早さいふうさいブログの定型文ですね。

望月宿の古民家改修計画、前回のプランご提案から半年も経ちました。。。

月日が経つのは本当に早いものですネ。。。

庭先のドクダミ。今年は何故か八重の花がちらほらと。突然変異か何かでしょうか。

  

 

2月からあれやこれやと、いろいろなお役目(?)に奔走していた私達。。。

(殆どが主人のお役目ではあるんですけど、、、我が家も協力することイロイロあり)

5月下旬にやっと一段落し、晴れて仕事に集中できるようになりましたので

私は事務所に引き籠って

半年前に打ち合わせした内容を訂正して

設計概算見積もりをまとめ

5月末に半年振りの打ち合わせをさせてもらいました。

  

こんなスローペースで、、、いつもお施主さんを待たせっぱなし・・・

本当なら催促されて怒られてもおかしくないのに、

半年振りの打ち合わせでも、お施主さんの温かい笑顔に迎えられ

本当に有難い事です

 

実はこの計画、

既に工務店さんによって2年前くらいに外壁周りだけ先に改修工事が為されております。

お施主さんよりお問合せ頂いた当初、直ぐに設計に着手出来る態勢では無かったため(今もその状況は変わってませんが)

お施主さんは取り急ぎ外壁や屋根の改修は工務店さんに工事を依頼され、

内部の生活部分の改修は私共に依頼して下さったのでした

  

というのも、最初にお渡ししたパンフレットをご覧になって

台所周りの設計事例をとても気に入って下さいまして ↓

2010年竣工 土蔵を住まいに再生した事例

 

古民家改修工事とはいえ、お施主さんにとっては新築ではなくても始めての家づくりになりますから

せめて台所周りくらいは素敵にしたい!という奥様の願いもありまして

設計の順番が回ってくるまで待っていて下さったのでした

  

ですから、ここは奥様の期待を裏切らないよう、

古民家ならではの空間を最大限活かし、

3人のお子さん達のスペースも盛り込んで

家族みんなの気配と神様を感じながら過ごせるダイニングキッチンなんて

どうでしょう!

と、ご提案しました。 2案程ご提案しまして、その折衷案でまとまりました。

 

さらに

寒冷地での寒さ対策、暖房方式、断熱改修、などなど

総合的にここまではやった方が効果がある!

という仕様もご提案。

 

ここまですると、最初はどうしても予算オーバーな案になりがちなので

一旦、理想的な計画案に対して、設計概算見積もりを出し、

いつもなら予算オーバーな事をこの時点で把握をして内容を変更調整する、

という手順を踏んで設計を進めているんですが、

今回は、

ほぼ設計概算見積もりの内容でOKなお返事を頂きまして

理想的な案のまま妥協をせずに計画を進められそうです

   

 

という事で、長らくお待たせしておりました望月宿の古民家改修計画、

内容と方針が大体決まりましたので、これから急いで書きかけの図面を終わらせて

着工の準備を進めたいと思います☆

 

 

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