今年よりこのブログを始めたものの、
肝心の栖風采プランニングのHPの方は、、、
なかなか更新できないでいます。
手のかかっている4歳の息子も やっーと保育園に
入園する(正確には、復園?)気持ちになってくれて
いるようなので、春頃には更新できるかなー。
HPには、当事務所の保存再生工事の様子を
2007年までしか載せておりませんが、
2008年には外観は完成し、
現在は内部の工事を合間をみながら
ちょこちょこやっています。
それで、今、悩んでいるのが断熱材なのです。
うちの事務所は江戸時代末の古民家です。
それも
重要伝統的建造物群保存地区『海野宿』の
保存指定されている歴史的建造物です。
外壁は軸組みの見える真壁ですが、
その「壁」の構造は、
伝統工法の「貫」による壁ではなく、
また在来工法の「筋違」による耐力壁でもなく、
合板による「面材耐力壁」なのです。
私共で通常設計する建物では、
合板を使った耐力壁はやったことがありません。
では 何故?
うちの古民家の保存修理工事は
補助金による工事でしたので(外観のみ)、
東御市の委託設計事務所が設計することになり、
自分の所有する建物でありながら、
自ら設計することができませんでした
それはともかくとして、
委託設計事務所の考えによって、
耐力壁(外壁)は合板になってしまいまして、
合板下地の外壁に一体、断熱材は何を使えばよいのか、
悩んでしまいました。。。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の仕様書による
断熱工事の地域区分、
(或いは 平成18年省エネ法 告示による地域区分)
から言えば、
海野宿のある東御市はⅡ地区ですので、寒冷地です。
合板と断熱材の組み合わせは、
内部結露の危険性があります。
透湿抵抗値や壁の気密性など
慎重に検討しなければなりません。
真壁の外壁ですから、気密は難しいし、
当然、通気層は作れません。
また、真壁の壁の厚みにより、
断熱材は30ミリ~50ミリぐらいまでしか入りません。
湿気の流れと、断熱材の性能と、
断熱理論を間違えれば、
内部結露を引き起こしてしまいます。
壁内に湿気を入れない、
入ったら外部へすみやかに排出、
その原理が、合板によって妨げられ、
更に、真壁によって気密が保たれないため、
容易に壁内に湿気が侵入することが予想され、
そうすると必然的に、断熱材の裏側で結露しますね。
いろいろ考えた挙句、
壁に積極的には湿気を入れたくないので、
適当に透湿抵抗値の高い素材。
壁自体の気密が確保できない以上は
断熱性能もあまり高くないもの。
(性能が高いもの程、つまり熱伝導率の小さいもの程、
断熱材の裏側で外壁側と温度差が生じるため、湿気
が入ると結露する)
さらに、壁内で結露してしまった場合には、
吸湿し、放湿できる調湿作用のある断熱材。
ということで検討した結果、
炭化コルク に行きつきました。
。。。が、高いんですね。価格がっ。
価格が高い割に、断熱性能からみると、
平成4年の省エネ基準のⅡ地区をかろうじて満たして
いる程度だったりするので、なんとなく、微妙。
壁自体の気密断熱施工が出来ない限りは、
高断熱化は非常に危険なので、
中断熱?ってところなのですが、
価格だけでみれば、もっと断熱性能はあげられるのに、
そこを敢えて性能を上げない!
と、あれこれ断熱材を決めかねていまして、
うちの工事は只今中断しています。
頭の痛い、断熱材選びです
(k.m)