山上臣憶良(やまのうえのおみおくら)、秋の野の花を詠(よ)める歌二首
秋の野に咲きたる花を指折りて かき数ふれば七種(くさ)の花
萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花また藤袴 朝がほの花

高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに
(高円の野辺の秋萩は無駄に咲き散ってしまうのだろうか、
見る人もいなくて)

人皆は萩を秋といふ よし我は尾花が末(うれ)を秋とは言わむ
(みんなは萩を見ると秋だと言う。ええい私は尾花の穂こそ秋の代表と言いましょう)

真葛原なびく秋風吹くごとに阿太(あだ)の大野の萩の花散る
(美しい葛原の葉をなびかせて秋風が吹くたびに、
阿太の野に咲く萩の花が散りしきります)

野辺見れば撫子の花咲きにけり わが待つ秋は近づくらしも
(野辺を見ると撫子の花が咲いている。私の待ち望んでいる秋が近づいて来たらしい)

手に取れば袖さへにほふをみなへし この白露に散らまく惜しも
(手に取ると袖さえも染まるように美しい女郎花がこの白露で
散ってしまうのは惜しいなあ)

藤袴は冒頭に掲げた憶良の歌の一首しか万葉集にはでてきません。
憶良がこの花を秋草の代表に入れたわけは何だったのでしょうね。

朝がおは桔梗、むくげ、昼顔などの説があります。
万葉集には朝がおは五首ありますが、歌から検証すると、
ききょうが有力視されています。
朝顔は朝露負ひて咲くといへど 夕影にこそ咲きまさりけれ
(朝顔は朝露を浴びて咲くというけれど、夕方の淡い日の中の方が
美しいと思うよ)
先日出かけた八ヶ岳高原で、咲き盛っている秋の七草に出会いました。
七草の歌を万葉集から拾い出してみました。
葛を除いた七草がフラワーショップに揃っているのにはびっくり
もっとも、撫子も大和撫子ではありませんでしたが。
でも、やはり、野辺に咲く秋草がいきいきと健気で美しいのではないでしょうか



高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに
(高円の野辺の秋萩は無駄に咲き散ってしまうのだろうか、
見る人もいなくて)

人皆は萩を秋といふ よし我は尾花が末(うれ)を秋とは言わむ
(みんなは萩を見ると秋だと言う。ええい私は尾花の穂こそ秋の代表と言いましょう)

真葛原なびく秋風吹くごとに阿太(あだ)の大野の萩の花散る
(美しい葛原の葉をなびかせて秋風が吹くたびに、
阿太の野に咲く萩の花が散りしきります)

野辺見れば撫子の花咲きにけり わが待つ秋は近づくらしも
(野辺を見ると撫子の花が咲いている。私の待ち望んでいる秋が近づいて来たらしい)

手に取れば袖さへにほふをみなへし この白露に散らまく惜しも
(手に取ると袖さえも染まるように美しい女郎花がこの白露で
散ってしまうのは惜しいなあ)


憶良がこの花を秋草の代表に入れたわけは何だったのでしょうね。


万葉集には朝がおは五首ありますが、歌から検証すると、
ききょうが有力視されています。
朝顔は朝露負ひて咲くといへど 夕影にこそ咲きまさりけれ
(朝顔は朝露を浴びて咲くというけれど、夕方の淡い日の中の方が
美しいと思うよ)

七草の歌を万葉集から拾い出してみました。
葛を除いた七草がフラワーショップに揃っているのにはびっくり

もっとも、撫子も大和撫子ではありませんでしたが。
でも、やはり、野辺に咲く秋草がいきいきと健気で美しいのではないでしょうか
