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サッカー日誌 / 2016年08月09日


都知事選挙とオリンピック(下)


五輪を政争の具にするな

森喜朗・組織委会長への批判
(都知事選投票日・7月31日) 

★幹部総退陣を要求
 東京都知事選挙の選挙公報のなかに、東京オリンピック組織委員会の森喜朗会長を手厳しく非難する意見があった。
 山口敏夫・候補者である。
 山口候補は「オリンピック・パラリンピックは、成功させなければならない」という立場だが、一方で「森喜朗会長ら五輪関係団体役員幹部はリオ五輪終了後、総退陣すべし」と主張していた。
 『五輪利権』に関わった全事業者の契約関係を追跡調査、違法行為は「刑事告訴」都民国民に損害を与えた役員幹部は住民訴訟にて「賠償請求」します!
 とも書いてある。
「競技施設建設などの公共工事をめぐって、政治家へのリベートなどの問題があるのだろうか?」と憶測したが、具体的な事例は挙げていてない。不正があるのであれば、都民としては、ぜひ明らかに知らせてほしいところである。

★都知事の出方しだい?
 森喜朗・組織委員会会長については、小池百合子・都知事が当選したときの態度に驚いた。
 「新知事にどう対応するのか?」というテレビのアナウンサーの質問に対して「それは、新知事の出方しだいだな」と答えていた。
 テレビの画面から、ぼくの受けた印象は「傲岸不遜」である。
 「おれは元総理だ。お前のほうから挨拶に来い」という態度のように思えた。
 このインタビューを受けたときの森喜朗の立場は「元総理」ではなく「東京オリンピック組織委員会会長」である。
 森喜朗会長は2020年東京オリンピックを組織運営する責任者として、東京都に協力を、お願いする立場である。
 そうであれば、上から目線で「都知事の出方しだい」とは言えないはずである。

★五輪開催の筋道
 この件に限らず、オリンピックの開催の筋道が、一般にはあまり理解されていないように思う。
 オリンピックの主催者はIOC(国際オリンピック委員会)である。
 そのIOCの委託を受けて、組織委員会が大会を準備し、運営する。
 組織委員会は、その国の国内オリンピック委員会(NOC)が中心となって、開催都市や開催国が協力する。
 これが、大筋である。
 森会長の態度は「オリンピックは東京都が主催者なのだから、都知事のほうから、協力してほしいと挨拶に来い」といっているように思えた。
 選挙公報に森喜朗批判を載せた山口敏夫さんも、小池新知事も自民党員である。
 自民党内で森喜朗をめぐる対立があるのだろうか?
 一連の動きには、自民党内の政争が、からんでいるのではないか?
 オリンピックを政争の具に供して欲しくないと思った。



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サッカー日誌 / 2016年08月08日


都知事選挙とオリンピック(中)


コンパクト五輪は難しい

野球・ソフトなどを追加
(8月3日、IOC総会) 

★選挙公報で調べると
 東京都知事選挙には、21人が立候補した。
 その21人の公約を選挙公報で調べてみた。
 選挙公報の中で「オリンピック」に触れていたのは13人である。
 当選すれば、新知事の任期中に2020年東京オリンピックの準備がある。
 それは、東京都政に大きな関係があるはずである、
 にもかかわらず、立候補者のなかで、オリンピックを取り上げたのは6割にすぎなかった。
 しかも、その中で、半数以上の7人は、コスト削減や中止(返上)を求める批判的立場である。
 「東京大会を成功させよう」と呼びかけているのは、批判的立場の人を含めて6人にすぎない。
 オリンピックは、選挙の争点にはならなかったようである。

★コンパクトとは?
 都知事選挙の公報でオリンピックを取り上げた候補者のほとんどは「コンパクトなオリンピックを」と主張していた。
 2020年の東京開催は、すでに決まっているのだから、いまさら返上や中止はできない。できるだけ小規模なものにして、都民の税金からの支出を減らそうという趣旨である。
 「コンパクトなオリンピック」とは、どういうものなのだろうか?
 実施する競技種目数は、決まっていた。それにさらに、日本の要望で野球・ソフトボールなど5競技18種目が追加された。コンパクトにするどころか、巨大化する一方である。
 競技種目数が増えれば、必要な競技施設数も増える。
 したがって「コンパクトなオリンピック」にするには、運営費をコンパクトにするほかはない。
 運営費を削減するには、どうすればいいのか?

★仮設の施設と観客席
 運営費の大きな項目の一つは、仮設施設である。
 仮設施設には2種類ある。
 一つは、スタジアム、体育館、プールなどを一時的に作って、大会後に取り壊す施設である。
 東京には、体育館もプールもたくさんあるので、仮設施設を作る必要はないように思えるが、競技施設の配置をコンパクトにして、半径8キロ以内に収めようとすれば、その範囲にない施設は仮設にするほかはない。
 もう一つの仮設施設は観客席である。
 多くの体育館やプールの観客席は収容2000人程度である。
 ところが、オリンピックでは、5000人~1万人の観客席を要求される。
 そんな大きな体育館やプールは、大会後には必要ないから、オリンピックのときだけ、観客席を仮設で増設する。
 というわけで「コンパクトなオリンピック」は、それなりにムダな経費が掛かる。運営費削減も難しい。


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サッカー日誌 / 2016年08月07日


都知事選挙とオリンピック(上)


運営費の仕組み調査を

小池百合子さんが当選
(7月31日、東京都知事選挙) 

★五輪予算の適正化
 東京都知事選挙で、前衆議院議員、元防衛相の小池百合子さんが当選した。女性の都知事は初である。
 小池さんは、選挙公約のなかで東京オリンピック・パラリンピックを取り上げていた。
 選挙公報には、5項目の「東京大改革宣言」の一つとして「五輪関連予算運営の適正化」が書いてあった。
 経費を削って「2020年東京オリンピックを、コンパクトなものにする」という主張である。
 五輪経費のどこを、どう削減するのか?
 オリンピックの経費には、おおまかに言って施設費と運営費がある。
 施設費のうち、東京都の財産になる競技場の建設費は、当然、東京都の負担である。ただし、その施設が将来、東京都民の役に立たないのであれば、ムダな投資である。

★施設費と運営費
 施設については、辞任した舛添前知事が、東京都が建設する予定だった施設の一部の計画を削減した。
 ぼく(牛木)が、ムダだと指摘していた施設の建設中止だったので、ぼくは、おおいに評価した。その舛添さんが、知事から追い落とされたのは残念だった。
 小池新知事の「五輪予算削減」は、主として運営費に関するものだろう。
 新知事は「調査チームを作って、内容を精査して積算の根拠を明らかにしてもらう」と述べている。
 当然である。
 施設費は、主として国と都が負担する。
 できあがった施設は、国あるいは都の財産になるのだからである。
 しかし、運営費は、財産としては残らない。大会が終われば消えてしまう。

★広告で集めきれない
 というわけで、運営費(仮設の施設建設を含む)は、原則として「組織委員会」が負担することになっている。
 「組織委員会」の資金は、国と都の補助のほか、主として商業スポンサーの広告料である、
 その資金を集めは、大手広告企業が引き受けている。
 ところが広告企業は、その資金を集めきれない。
 景気の変動などで広告スポンサーが集まらないというような事情もあるだろうが、はじめから負担能力以上の金額を予算に計上しているのではないか?
 そこで、広告企業は「集められない金額」を国と都に肩代わりしてもらうことを求める。
 運営費を調達できないと、オリンピックを開催できないから、国と都は運営費への補助を追加するほかはない。
 オリンピック予算の内容を精査するさいに、そういう仕組みも調査して欲しい。


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