サッカー日誌 / 2009年04月30日


日本サッカー協会のマークは八咫烏


日本サッカー史シンポジウム(3月21日 那智勝浦町)
日本サッカー史研究会(4月27日 JFAハウス)

★なぜ3本足のカラスなのか
 日本サッカー協会のシンボルマークは「3本足のカラス」である。日本代表選手の胸にもこのマークがついている。
 財団法人日本サッカー協会のホームページに、このマークについて簡単な解説が載っている。
「ボールを押さえている三本足の烏は、中国の古典にある三足烏と呼ばれるもので、日の神=太陽をシンボル化したものです」
 この説明だけでは、なぜ「3本足のカラス」が、日本のサッカーのシンボルになっているのかは分からない。
 協会会長だった長沼健さんは、外国人に説明を求められたとき「なぜ日本サッカーのシンボルが中国のものなのか」と追及されて説明に窮したと話していた。

★制作者は「日本の神話」をモチーフに
 日本サッカー協会の標章が決まったのは1931年(昭和6年)である。デザインしたのはスポーツデザインの第一人者だった彫刻家、日名子実三である。
 「日本サッカー史研究会」の4月例会で福島寿男さんが、このことについて報告をした。それによると日名子実三は、そのころ、ほかにも日本の神話をモチーフにしたメダルなどを制作しており、その中には、明らかに日本書紀や古事記にある神話の鳥を扱ったものがある。それらを合わせて考えると、協会標章の「3本足のカラス」が日本の神話に出てくる「八咫烏」であることは明らかである。
 実は協会のホームページの説明は、後に修正され「日本でも(伝説に出てきて)烏には親しみがあります」と取って付けたような説明が加えられた。しかし、これは順序が逆で中国の伝説を、まつ先にひっぱり出してきて説明するのは制作者の意図にそぐわない。

★太陽、つまり日の丸の象徴
 3月21日に和歌山県那智勝浦でおこなった日本サッカー史のシンポジウムのときには、地元の研究者の山本殖生さんが「八咫烏」について解説した。それによると、3本足のカラスの伝説は各地にあり、古代朝鮮や日本の古代美術品や古墳の壁画にも描かれているという。
 サッカー協会のホームページの解説が「中国の伝説」を強調しているのは戦前の協会機関誌「蹴球」に掲載されている文章がもとで、これが協会史の記述の根拠になったためのようである。3本足のカラスが太陽の中にいることは「淮南子」など中国の伝説を集めた古い本に書いてある。3本足のカラスは、太陽、つまり日の丸の象徴だから、日本代表チームの胸につけてもおかしくない。そこまで説明しないと意味が分からない。
 協会のホームページの説明は、順序が逆であるばかりでなく、舌足らずである。

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