サッカー日誌 / 2015年08月25日


高校野球テレビ観戦記(中)


野球は「分かりにくい」

全国高校野球選手権大会
(8月6日~8月20日・甲子園=NHKテレビ)

★欧州の記者への説明
 甲子園の高校野球を毎日のようにテレビ観戦していて「野球は分りにくいスポーツだな」と思った。
 高校野球では、無死あるいは一死で走者が出ると、必ずと言っていいほど犠牲バントで、一塁走者を二塁に進めようとする。
 野球をまったく知らない人に、この作戦を理解させるのは難しいのではないか?
 新聞社に勤めていたころ、欧州から来たスポーツ記者を後楽園球場に案内したことが何度かあった。
 彼らは、野球を見るのは初めてである。
 お互いに母国語ではない英語で話をし、相手は野球用語をまったく知らないのだから説明に苦労した。
 左打者が打って、一塁へ走る。
 右打者が打って、やはり一塁へ走る。
 「フェアではない」というのが、彼らの感想である。

★犠牲バントをめぐって
 右打者と左打者では走る距離が違う。不公平である。
 「右打者は三塁へ走ることにしてはどうか?」という提案をした欧州のスポーツ記者がいた、
 こういう連中に「犠牲バント」を説明するのは難しい。
 「自分をゲームから除外させるようなプレーをする。それでスポーツか?」と言われそうである。
 犠牲バントが小さなフライになる。
 守るほうは、直接捕球せずに、いったん地面に落としてから、すばやく拾い上げて二塁へ送球する。
 ダブルプレーにしようという狙いである。
 高校野球ではしばしば見られるこの「トリック・プレー」を欧州の記者に、その場で説明するのは不可能に近い。
 「フォースアウト」や「タッチアップ」というルールや用語を、まず理解させなければならない。

★世界に広まらないのは当然
 「分りにくい野球が世界に広まらなかったのは当然だ」と思う。
 一方で「難しい野球が、日本で多くの人に理解されているのは、なぜだろうか」と不思議である。
 ぼく自身は、子どものころから野球を見ていたので、基本的なルールは理解していた。
 しかし、新聞社でプロ野球を担当するようになって、はじめて、野球の微妙な面白さを知った。
 たとえば投手の打者に対する配球の駆け引きである。
 これは、ネット裏の記者席で、投球のコースを見ることができるから分かることである。
 外野席で応援している人たちに、投手と打者の微妙な駆け引きが分かるはずはない。
 サッカーでは、メーンスタンドでも、ゴール裏でも、駆け引きが分る。
 そこが「見るスポーツ」としての、サッカーの良さではないかと気がついた。



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