サッカー日誌 / 2013年04月24日


東京五輪開催計画批判(3)


神宮外苑再整備計画への疑問
(東京都都市計画審議会。5月17日=予定)

★新競技場工費の財源は?
 2020年オリンピックの東京開催計画では、明治神宮外苑に建て替える新国立競技場をメーン・スタジアムに当てる計画になっている。
 公表された新国立競技場のデザインは、世界の建築技術の総力をあげて実現したい「夢のスポーツ建築」である。
 だが大きな問題がいくつもある。
 一つは競技場本体だけで1300億円以上と見積もられている工費の出所である。
 国立だから日本国政府が、競技場本体の工事費を出すのだろうか? 
 東京オリンピックのためだから東京都が負担するのだろうか? 
 トトをあてにしているという報道もある。そのために、Jリーグだけでなく、他のスポーツや外国の試合にも、トトの対象を広げようという案が出ている。

★外苑全体の再整備
 新国立競技場は、開閉できる屋根を持つドームの陸上競技場として構想されている。
 これは現在の国立競技場を改築するだけではできない。敷地面積が十分でないからである。周辺の公園部分や近くの日本青年館、民間のアパートなどを含めて再整備する。
 東京都は周辺の明治神宮外苑再整備計画を作っている。それを5月に都市計画審議会にかけることになっている。しかし、この計画案の問題点は、ほとんど報道されていない。
 整備計画自体が正式には決定していないのだから、東京都がIOCに提出した開催計画書には書かれていない。
 開閉会式と陸上競技を行うメーン・スタジアムと、その周辺の具体的な建設計画を明確にしないままで、オリンピックの東京招致が進んでいるわけである。

★多くの未解決の問題
 明治神宮外苑地域の土地はいろいろな団体あるいは個人が所有している。国立競技場と秩父宮ラグビー場は国のものである。ほかの大部分は宗教法人明治神宮の所有地である。
 外苑一帯を利用している団体もいろいろである。
 大学野球、プロ野球、ラグビーなどである。宿泊設備、学校、アパートなどもある。そういう団体や個人の利権を調整しなければならない。
 明治神宮外苑の再整備は、都市計画審議会の承認を得たうえで関係者と協議することになる。
 このように、東京オリンピック開催計画は、いくつもの未解決の問題を抱えている。
 そういう問題を明確にしないままオリンピックを「錦の御旗」に明治神宮外苑再整備を強行するつもりだろうか?

(注1)神宮外苑再整備計画の手続きについては、
東京都の公式ホームページ http://www.metro.tokyo.jp/ 
に掲載されている。
(注2)外苑再整備計画については東京新聞2013年2月4日付都内版で報道された。 
(注3)外苑地域のアパートについては、雑誌「世界」の記事のなかで取り上げられている。
 「世界」2013年5月号。永尾俊彦「ルポ 問題だらけの東京オリンピック招致」

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