サッカー日誌 / 2012年12月16日


トヨタ・クラブW杯観戦記(4)


世界一へのプレッシャー

準決勝-1
コリンチャンス 1-0 アルアハリ
(12月12日 豊田スタジアム=第2試合)

★アラブの南米への挑戦
 クラブ・ワールドカップの優勝争いは、事実上、欧州代表対南米代表である。この2チームは準決勝から出場する。
 準決勝は欧州代表と南米代表に対する他地域の代表の挑戦になる。
 南米代表のコリンチャンス(ブラジル)への挑戦者はアフリカ代表のアルアハリ(エジプト)だった。
 アルアハリについては、二つの点を気に留めて見た。
 第一は全員がエジプト人であることである。
 ほかの地域の代表は、多かれ少なかれ、他の国出身のプレーヤーを含んでいる。アルアハリは、1人だけモーリタニア出身がいるが、出場したのは全員、エジプト国籍である。
 第二はアラブのチームだということである。
 アフリカ大陸は広い。地域によって人種や宗教の構成が違う。エジプトは北部のアラブ人の国である。アフリカといっても、どちらかといえば、欧州系の組織的サッカーに近い。

★自国出身で固めた両チーム
 南米代表のコリンチャンスは先発に1人、ペルー出身がいるが、ほかの出場選手は全員ブラジル人である。Jリーグでプレーしたこともあるエメルソンはカタール国籍となっているが、もともとはブラジルだ。
 両チームとも自国出身のプレーヤーで固めているので、それぞれの国の文化を反映したスタイルのサッカーの対決が見られるだろうと期待した。
 前半はコリンチャンスが一方的に優勢だった。ボール支配率は60%だった。
 30分に先制点。この調子なら、後半にも追加点をあげて、コリンチャンスが余裕をもって勝つだろうと思った。
 ところが、アルアハリがリードされてから反撃に出た。
 ボール支配率でも盛り返し、後半のシュート数は5対3と上回った。ただし枠に飛んだシュートは0だった。

★緊張していたコリンチャンス
 前半、優勢だったコリンチャンスが、先取点を挙げたあとトーンダウンしたのは、なぜだろうか?
 ブラジルのチームはリードすると手を緩めることが、よくある。ブラジル・サッカーの一つの特徴である。
 コリンチャンスも、それかなと思った。
 ところが試合後の記者会見でチチ監督は「(世界一にならなければならないという)プレッシャーでミスが多かった」と語った。本国から1万人も来ているというコリンチャンスのサポーターがゴール裏のスタンドを埋めていた。その熱狂的な応援も逆に負担になって硬くなった結果だという。
 トーンダウンは余裕の体力温存ではなく、逆にプレッシャーで精神的マイナスになっていたためらしい。
 クラブ世界一を、もっとも熱望しているのは、コリンチャンスであり、もっとも期待しているのはブラジル国民である。それが決勝戦ではプラスに働いてほしいと思った。

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
     

Copyright(C) 2007 US&Viva!Soccer.net All Rights Reserved.