サッカー日誌 / 2011年04月09日


トップレベルのエキジビション


東北大津波震災チャリティ試合(中)
日本代表 2-1 Jリーグ選抜
(3月29日 大阪長居競技場)


◇全員起用の難しさ
 今回のチャリティ・マッチは、一種のオールスター・ゲームだったから、選手の使い方が難しかっただろう。オールスター・ゲームでは、スターを見に来ているお客さんのために全部の選手の出番を用意する必要がある。
 今回は、さらに特別な意味があった。
 Jリーグ選抜には、被災地出身の選手もいる。被災地仙台の選手も選ばれている。日本代表には、シーズン中のヨーロッパ組の選手が公式国際試合ではないのに馳せ参じている。その全員が一つになって、復興を支援しようと願っている気持ちを、フィールドで、あるいはテレビの画面で示したい。
 だから、Jリーグ選抜は選ばれた20人全員がピッチに立ち、日本代表も26人のうち、足を痛めていた2人(本田拓也と細貝萌)のほかは全員が出場した。

◇W杯、アジア杯を思い出させるゴール
 次つぎに選手交代をすると、チームとしてのまとまったプレーをするのが難しい。「まともな試合」にならないおそれがある。
 そこで、日本代表のザッケローニ監督は、前半は1月のアジアカップで優勝したメンバーをほぼ固定して使った。前年のワールドカップでも、いっしょにプレーした仲間だから、息が合っている。
 前半15分に遠藤保仁が正面20㍍余のフリーキックを右隅へ直接決めて、ワールドカップを思い出させた。19分には岡崎慎司が走り出て、本田圭佑からのパスを巧みなシュートで決めて、アジアカップの殊勲を思い出させた。
 後半は最初から大半の選手を入れ替えた。チームとしてのいいプレーは少なくなったが、どの選手も、のびのびとプレーして、それぞれの個性を発揮した。

◇明るく元気づける試合
 Jリーグ選抜は、2日前に集まって前日、練習しただけの寄せ集めである。
 ストイコビッチ監督は、前半は固定したメンバーで小野伸二を軸にチームをまとめ、後半は次つぎにメンバーを入れ替えながら中村俊輔を中心に攻めを狙った。臨時の寄せ集めでも、それぞれの良さを生かしたチームプレーを、かなり組み立てていた。
 カズが登場したのは後半なかば。残り8分に期待どおりのゴール。まるでシナリオがあって演出されたような試合展開である。
 震災犠牲者への追悼もあるから派手なお祭り騒ぎはない。しかし、被災者を元気づける明るい雰囲気があり、エキジビションの良さを生かしながらも、真剣にいいプレーを見せようとする気持ちがテレビの画面からも感じられた。
 チャリティ・マッチとしてトップレベルのエキジビションだったと思う。


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