サッカー日誌 / 2008年01月02日


地域の特色はなくなっていない


クラブ・ワールドカップ2007から (7)
浦和 3対1 セパハン
(12月10日・豊田スタジアム)

◆グローバル化はない
 浦和のオジェック監督が「サッカーのグローバル化はない」と断言した。クラブ・ワールドカップ最終日、3位決定戦後の記者会見のときである。
 「世界中で同じようなサッカーが行われるようになり、地域の特色がなくなっていると自分は思う。あなたの考えはどうか?」という誘導質問を跳ね返した答えだった。
 相手の考えをたずねる立ち場の記者が、自分の意見を記者会見で述べるのはどうかと思うが、質問者の考えも見当違いではない。テレビの衛星中継や航空機の発達もあって、世界中がサッカーの情報を、たちまちのうちに共有できるようになっている。選手や監督の交流も多い。そのおかげで、新しい技術や戦術はすぐに他の地域に伝えられえる。
 1924年のパリ・オリンピックでウルグアイが優勝したときに、欧州のサッカー界が南米のスタイルにびっくりしたようなことは、現代では起こりそうにない。

◆パチューカのスタイル
 そうであっても、世界の各地域のサッカーのスタイルは、クラブ・ワールドカップにも、ちゃんと現れている。その点に注目すればオジェック監督の考えは当たっている。
 たとえば、メキシコのパチューカ。メキシコは南米とも北米とも交流の多い国であり、ワールドカップを2度も開催した国である。それでも、メキシコ伝統のサッカー・スタイルは単独クラブのパチューカにも明らかだ。
 個人のテクニックを生かし、個人のアイデアでグループの攻めを組み立てる。しかし、フィールドを大きく使うチームとしての組み立ては得意ではない。守りは、ときとして激しく、反則も多い。そういうスタイルは、パチューカの特徴でもあった。
 サポーターの応援もメキシコ独特の伝統どおり。「アラビオ、アラバオ、ビンボンバン、メヒコ、メヒコ、ラララ」の合唱が国立競技場でもこだました。

◆日本のサッカーの特色は?
 今回のクラブ・ワールドカップでは同じ地域同士の試合があった。アジア・チャンピオンズ・リーグ(ACL)1位の浦和レッズと2位のイラン・セパハンの対戦である。日本が主張した開催国枠が認めれらたが、浦和がアジア代表になったのでセパハンが出場権を得た。ACL決勝の再戦になって、大会の趣旨から見れば意義の乏しいカードだった。
 セパハンは中東アジア(アラブ諸国)のクラブらしい特色があった。同じアジア同士でも、地域内の地域でそれぞれに特色がある。
 ただし、日本のクラブチームに日本独特の色はきわだってはいない。浦和はドイツ人オジェック監督のもと、どちらかといえば欧州スタイルのサッカーだが、攻めでワシントン、守りでネネとブラジル選手が活躍している。日本のサッカー自体に、まだ欧州や南米のサッカーを溶け込ませるだけの伝統がないためかもしれない。


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