ワールドカップ12大会取材のサッカージャーナリストのブログ
牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
コンフェデ杯2013 / 2013年06月17日
ブラジル・サッカーの社会学
コンフェデ旅行記(2)
6月13日 ドバイ→ブラジリア
★米国の女性研究者の本
東京→ドバイ→リオデジャネイロ→ブラジリアと飛行機を乗り継ぐ長旅の間に読もうと、一冊の本を機内持ち込み荷物に入れた。
ジャネット・リーヴァー著、亀山佳明/西山けい子訳
『サッカー狂の社会学ブラジルの社会とスポーツ』
(世界思想社1996年第1刷発行、2003年第3刷発行)
著者はセントルイスのワシントン大学2年生の夏休みにロンドンに旅行した。たまたま1966年ワールドカップ・イングランド大会の年で、このスポーツに世界各国の大衆がいかに熱狂しているかを、はじめて体験した。
翌年の夏、ポルトガル語の勉強のために交換留学生のプログラムに参加してブラジルのクリチバに滞在した。
その最初の週に、ホームステイの家族がサッカーの試合を見に連れて行ってくれた、
それがブラジル・サッカーの研究にのめりこむきっかけになった。
★歯ごたえのある読み物
大学院を出て大学の先生になり、スポーツ社会学の研究者として「ブラジルのサッカー」についての論文を書き続けた。
その間に英語とポルトガル語の多数の文献をよみこなしている。そのエッセンスが引用され、出典はすべて巻末に紹介されている。
また非常に多くの人たちにインタビューして「聞き取り調査」をしている。クラブの役員、サポーターの代表、FIFAや協会の役員など「下から上まで」である。
世界的なスター選手にも直接会って話しをきいている。
ペレとはその後、友人として長い付き合いを続けている。
この本は論文集ではなく一般の人たちのために書かれたものだが、スター選手や名勝負の物語ではない。だから読み物としてはちょっと歯ごたえがある。
★対立から生まれ、対立を統合する
著者の考えを大雑把に紹介するとつぎのようになる。
スポーツは対立から生まれ対立を激しくしている。しかし一方で、対立をやわらげ統合している。ブラジルのサッカーには、そのことがはっきり出ている。
リオデジャネイロでは「フルミネンセ」が豊かなエリートたちのクラブ、「フラメンゴ」が貧しい一般大衆のクラブである。社会階層の対立を代表している。
しかしワールドカップでは「セレソン」(代表チーム)を一体になって応援する。社会階層の対立を国のレベルで統合している。
内容は1970年代のものだから、ブラジルのサッカーも社会も現在では大きく変わっている。
どのように変わり、どの点が変わっていないか?
来年のワールドカップでそれを見てみたいと思った。

6月13日 ドバイ→ブラジリア
★米国の女性研究者の本
東京→ドバイ→リオデジャネイロ→ブラジリアと飛行機を乗り継ぐ長旅の間に読もうと、一冊の本を機内持ち込み荷物に入れた。
ジャネット・リーヴァー著、亀山佳明/西山けい子訳
『サッカー狂の社会学ブラジルの社会とスポーツ』
(世界思想社1996年第1刷発行、2003年第3刷発行)
著者はセントルイスのワシントン大学2年生の夏休みにロンドンに旅行した。たまたま1966年ワールドカップ・イングランド大会の年で、このスポーツに世界各国の大衆がいかに熱狂しているかを、はじめて体験した。
翌年の夏、ポルトガル語の勉強のために交換留学生のプログラムに参加してブラジルのクリチバに滞在した。
その最初の週に、ホームステイの家族がサッカーの試合を見に連れて行ってくれた、
それがブラジル・サッカーの研究にのめりこむきっかけになった。
★歯ごたえのある読み物
大学院を出て大学の先生になり、スポーツ社会学の研究者として「ブラジルのサッカー」についての論文を書き続けた。
その間に英語とポルトガル語の多数の文献をよみこなしている。そのエッセンスが引用され、出典はすべて巻末に紹介されている。
また非常に多くの人たちにインタビューして「聞き取り調査」をしている。クラブの役員、サポーターの代表、FIFAや協会の役員など「下から上まで」である。
世界的なスター選手にも直接会って話しをきいている。
ペレとはその後、友人として長い付き合いを続けている。
この本は論文集ではなく一般の人たちのために書かれたものだが、スター選手や名勝負の物語ではない。だから読み物としてはちょっと歯ごたえがある。
★対立から生まれ、対立を統合する
著者の考えを大雑把に紹介するとつぎのようになる。
スポーツは対立から生まれ対立を激しくしている。しかし一方で、対立をやわらげ統合している。ブラジルのサッカーには、そのことがはっきり出ている。
リオデジャネイロでは「フルミネンセ」が豊かなエリートたちのクラブ、「フラメンゴ」が貧しい一般大衆のクラブである。社会階層の対立を代表している。
しかしワールドカップでは「セレソン」(代表チーム)を一体になって応援する。社会階層の対立を国のレベルで統合している。
内容は1970年代のものだから、ブラジルのサッカーも社会も現在では大きく変わっている。
どのように変わり、どの点が変わっていないか?
来年のワールドカップでそれを見てみたいと思った。

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コンフェデ杯2013 / 2013年06月16日
ドバイ経由でブラジルへ
コンフェデ旅行記(1)
6月12日 成田→ドバイ
★機内の新聞に関連記事
81歳の誕生日に成田空港を出発、ブラジルに向かった。コンフェデレーションズ・カップ取材のためである。
まず中東アラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ。
丸い地球の向こう側へ行くのだから、どこを経由しても距離と時間はそんなに変わらないはずである。
今回はFIFAのスポンサーになっているエミレーツ航空で中東のアラブ首長国連邦のドバイ経由にした。
機内でもらったドバイの英字新聞KHALEEJ TIMESのスポーツ面にコンフェデ杯関連の記事が出ていた。アフリカ代表のナイジェリアについてだった。
「スーパーイーグルス(ナイジェリア)は国際大会で20年ぶりに脚光を浴びることを狙っている。欧州でプレーしているスターたちと自国のクラブから登用した若手をうまく溶けあわせることができるかどうかがカギである」。
そういい趣旨だった。
★高齢者の「試し旅」
コンフェデレーションズ・カップ取材は初めてである
この大会が始まったのは1998年で、そのころぼくは大学の教員をしていた。6~7月は学期中で休めない。次の年のワールドカップのときには無理に都合をつけさせてもらいたいので、ほかの大会は自粛していた。
今回のコンフェデレーションズ・カップは逆に無理をしてでも行こうと思った。それは翌年のワールドカップの準備のためである。
「試し酒」という落語がある。
一升の酒を飲めるかどうかテストされることになった男が、その前に試しに一升飲んでみる噺である。
超後期高齢者になって地球半周往復の長期一人旅ができるかどうか?
今回は「試し旅」である。
★コンフェデ杯の見どころ
来年のワールドカップ出場権を獲得した日本代表チームの再スタートにも、もちろん注目している。
アフリカ代表のナイジェリアは5月31日に米国での親善試合でメキシコと2対2で引き分けている。
メキシコはコンフェデ杯で日本と同じAグループだ。
アジア代表の日本、アフリカ代表のナイジェリア、北中米カリブ海代表のメキシコ。それぞれがトップレベルの欧州、南米の代表チームとどのくらい戦えるか?
これがコンフェデ杯の見どころの一つだろう。
3チームとも、欧州など他の地域のクラブでプレーしている選手が主力である。それに国内のクラブから新戦力を加えることができるかどうか?
これも、ナイジェリアだけの問題ではない。
そんなことを考えながらドバイまで10時間10分の飛行だった。
乗り継ぎのドバイ空港のレストランで。
6月12日 成田→ドバイ
★機内の新聞に関連記事
81歳の誕生日に成田空港を出発、ブラジルに向かった。コンフェデレーションズ・カップ取材のためである。
まず中東アラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ。
丸い地球の向こう側へ行くのだから、どこを経由しても距離と時間はそんなに変わらないはずである。
今回はFIFAのスポンサーになっているエミレーツ航空で中東のアラブ首長国連邦のドバイ経由にした。
機内でもらったドバイの英字新聞KHALEEJ TIMESのスポーツ面にコンフェデ杯関連の記事が出ていた。アフリカ代表のナイジェリアについてだった。
「スーパーイーグルス(ナイジェリア)は国際大会で20年ぶりに脚光を浴びることを狙っている。欧州でプレーしているスターたちと自国のクラブから登用した若手をうまく溶けあわせることができるかどうかがカギである」。
そういい趣旨だった。
★高齢者の「試し旅」
コンフェデレーションズ・カップ取材は初めてである
この大会が始まったのは1998年で、そのころぼくは大学の教員をしていた。6~7月は学期中で休めない。次の年のワールドカップのときには無理に都合をつけさせてもらいたいので、ほかの大会は自粛していた。
今回のコンフェデレーションズ・カップは逆に無理をしてでも行こうと思った。それは翌年のワールドカップの準備のためである。
「試し酒」という落語がある。
一升の酒を飲めるかどうかテストされることになった男が、その前に試しに一升飲んでみる噺である。
超後期高齢者になって地球半周往復の長期一人旅ができるかどうか?
今回は「試し旅」である。
★コンフェデ杯の見どころ
来年のワールドカップ出場権を獲得した日本代表チームの再スタートにも、もちろん注目している。
アフリカ代表のナイジェリアは5月31日に米国での親善試合でメキシコと2対2で引き分けている。
メキシコはコンフェデ杯で日本と同じAグループだ。
アジア代表の日本、アフリカ代表のナイジェリア、北中米カリブ海代表のメキシコ。それぞれがトップレベルの欧州、南米の代表チームとどのくらい戦えるか?
これがコンフェデ杯の見どころの一つだろう。
3チームとも、欧州など他の地域のクラブでプレーしている選手が主力である。それに国内のクラブから新戦力を加えることができるかどうか?
これも、ナイジェリアだけの問題ではない。
そんなことを考えながらドバイまで10時間10分の飛行だった。

乗り継ぎのドバイ空港のレストランで。
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