ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




椙森神社。左が社殿、右手前が神輿蔵、奥に社務所。中央区日本橋堀留町1-10
2016(平成28)年4月23日

椙森(すぎのもり)神社に平成8年に設置された中央区教育委員会の説明板には、平安時代に平将門の乱を鎮定するために藤原秀郷が先勝祈願した所という。江戸期には富興行が行われた。関東大震災で全焼し、昭和6年に現在の社殿が耐震構造の鉄筋造りで再建された、とある。
建物については『東京都の近代和風建築』(東京都教育庁編集、2009年)に詳しい説明がある。社殿(拝殿・幣殿・御本殿)はSRC(鉄骨・鉄筋コンクリート)造、社務所・神輿蔵・神楽殿(写真右後ろにある)はRC(鉄筋コンクリート)造。1931(昭和6)年9月15日の竣工。外観はすべて伝統的な様式によるので、見た目ではRC造とは思えない。
造営図面が区の文化財となって保存されている。それに記載があったのだろうか、設計監督=本田保次郎、現場監督=小橋金治、工事請負=高山組・高山憲三、と名前が記録されている。高山憲三については『国立国会図書館デジタルコレクション>事業ト人』(『奮闘秘話 事業と人』福岡時事社編 昭和4年)という資料がある。福岡出身で、1908(明治41)年に蔵前の東京高等工業学校卒業して清水組に入社。1922(大正11)年に独立して高山組を興す。清水組でRCの技術を習得したらしい。川越商工会議所(旧武州銀行川越支店、昭和3年、設計監督前田健二郎)が高山組の施工という(全国近代化遺産活用連絡協議会>川越商工会議所)。


椙森神社、社務所。裏から見るとRC造と分かる。2016(平成28)年4月23日

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