ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 





正木記念館。台東区上野公園11
上:2007(平成19)年3月2日
左:2013(平成25)年11月6日

東京芸術大学美術学部に建っている日本の城郭のような外観の美術作品の展示館。『芸大大学美術館』には、「東京美術学校〈芸大美術学部の前身〉の第五代校長である、正木直彦〈1862-1940〉の長年にわたる功労(校長32年間〈1901-1932年〉在任、帝国美術院院長、各博覧会審査官等)を記念するために建設された近世和風様式の鉄筋コンクリート造」の建物。「1935(昭和10)年7月竣工、設計は金沢庸治」。
東京美術学校は1887(明治20)年に設立され1889年2月に現在地で授業を開始した。当時の校長は二代目の岡倉天心(在位:1890-1898)。日本画などの伝統美術の保護に力点を置いたようである。1896(明治29)年になって西洋画科が新設された。正木直彦も日本美術のほうが好きだったらしく、既出サイトには「2階は正木校長の希望によって日本画を陳列するための書院造の和室が…設けられました」とある。建物の外観のデザインも正木の希望だったのだろうか?


東京美術学校本館。『東京美術学校一覧 従大正2年至3年』(東京美術学校編集・出版)より

正木記念館の右にある和式の門は『日本近代建築総覧』に「旧東京美術学校本館玄関庇、建築年=大正2年、木造、設計=鳥海他郎」とあるもの。『東京都都市整備局>都選定歴史的建造物』によると「昭和47年の学校本館取り壊しの際、玄関部分のみ正木記念館中庭に移築。周囲とよく調和しており、移築保存の好例」、設計者は「文部省建築課(鳥海他郎)・大澤三之助・古宇田實」としている。
旧本館は平面が「日」形の木造2階建て、外観は残された玄関と同質な和風の建物だった。

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