ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




神奈川新聞社。神奈川県横浜市中区太田町2-23。1988(昭和63)年8月6日(2枚とも)

現在、同じ場所に「横浜メディア・ビジネスセンター」が建っていて、神奈川新聞社の本社もそこに入っている。2004(平成16)年3月に完成した。その先代に当たるビルで、『日本近代建築総覧』に「神奈川新聞社(旧十五銀行ビル)、中区太田町2-23、建築年=1922(大正11)年、構造=RC4、施工=清水組」と記載されている。



『かながわの近代建築(河合正一著、神奈川合同出版、かもめ文庫、昭和58年、630円』に、このビルの経歴がわりと詳しく出ているので以下に内容を書き写してみる。

1919(大正8)年、茂木合名(生糸貿易商で横浜財界の雄)の本店として起工された。ところが茂木合名は大正9年5月に倒産、工事は中止される。その土地を十五銀行が大正10年12月に取得して、11年2月に清水組の設計で工事を再開、11月に完成した。大正12年9月の関東大震災で被災したが倒壊まではいかず、渡辺仁の設計によって補強・改築して14年3月に復旧した。
昭和2年4月、金融恐慌の影響で十五銀行は休業。以後、建物の所有権は転々、昭和18年3月に漸く十五銀行に戻る。19年帝国銀行(後の三井銀行)と合併、帝国銀行太田町支店になる。
敗戦後の21年1月、占領軍に接収され、解除後の29年、三井銀行の所有となる。
31年12月に印刷工場の火災で焼け出されていた神奈川新聞が、32年3月に移ってきた。当然、輪転機など入れるための改装補強が行われている。

『神奈川新聞社』の沿革によると、「1957(昭和32)年8月、横浜市中区太田町2-23の社屋(旧「十五銀行」ビルを改修)に移転」である。3月に神奈川新聞社が買収してビルを改装し、8月から操業を始めた、ということかもしれない。

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