ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




大阪ビル1号館。千代田区内幸町1-2。1986(昭和61)年2月2日

ビル上部に飾られたテラコッタの動物の首は、建替えられた日比谷ダイビルの前庭に飾られたので、間近に見られるようになった。伊那製陶の製作だったかどうか分からないが、INAXの「釜のある広場・資料館」にも展示されている。『東京路上博物誌』(藤森輝信+荒俣宏著、鹿島出版界、昭和62年)によると動物の首は182体あるという。




正面玄関。左:1986(昭和61)年2月2日、右:同年5月18日

昭和21年6月から昭和33年11月まで、このビルは連合国軍に接収され、「大阪ビル婦人宿舎(Osaka Hotel (Fem Billet))」となった。「大阪ホテル」と言っていたらしい(『図説・占領下の東京』(佐藤洋一著、河出書房新社、2006年)。

大阪ビル1号館
1986(昭和61)年5月18日

ビルの壁面に「日比谷大ビル」の文字が貼られている。大阪ビルを大ビルと略したのだろうか。玄関の表示は「第一號」と「日比谷大阪ビルヂング」。住宅地図は「日比谷大阪ビル1号館」。現在のビルは「日比谷ダイビル」。
ビルを所有する会社は、創業時の「大阪ビルヂング」から1992(平成4)年に「ダイビル」と社名を変更した。その中間で「大ビル」の表記を使ったのかもしれない。

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大阪ビル1号館。千代田区内幸町1-2。左:1986(昭和61)年2月2日、右:同年5月18日

設計=渡辺節、施工=竹中工務店、竣工=1927(昭和2)年。
ビルの外観は「ネオ・ロマネスク様式」とか「イタリア・ルネッサンスの城郭風」とか表現されている。ビル上部に張り出しているマチコレーション(張り出し狭間)の飾りが中世ヨーロッパの城塞のようで、ビルの特色になっている。その上下にテラコッタの獣と鬼の首を並べている。
構造的にはコアシステムというものを日本で始めて導入したという。コアシステムとはエレベーター、階段、給排水設備など各階を貫くものをビルの中央に集中させる平面構成をいう。(えらそうに解説してしまったが、「マチコレーション」と「コアシステム」という用語はこの記事を書くときに知ったばかりだ。)
撮影をした昭和61年中には取り壊しが始まったようだ。


7・8階部分。1986(昭和61)年5月18日


正面左端の出入り口と人物像。1986(昭和61)年2月2日

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