魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
36『白雪の成功と赤ずきん』 

ドワーフたちは、朝の八時には小屋を出て行ったぜ。
いつもなら、白雪姫の棺の番をするために一人が残るんだけどな。今朝はエルフの王女レミとマユ、それに、赤ずきんがいるんで、七人揃って「ハイホー」を唄いながら行ってしまいやがった。
今朝は勝負の朝だぜ!
くちびるを白雪姫と取り替えた赤ずきんが、白雪姫の服を着て、白雪姫の声で唄いながら、庭のお花に水をやってやがる。
念のため白雪姫の棺には白いベールが被せてあってよ。万が一、アニマ王子が白雪姫に目を奪われないための用心までしてあるぜぃ!
しかしよ、その用心は必要じゃなかった。九時前に森の小道にさしかかったアニマ王子は、歌声にひかれて、ゆっくりとドワーフたちの庭に入ってきやがった。
しかしよ、その用心は必要じゃなかった。九時前に森の小道にさしかかったアニマ王子は、歌声にひかれて、ゆっくりとドワーフたちの庭に入ってきやがった。
「きみは……」
「はい……」
王子と赤ずきんの目が合った。
王子は戸惑った。かわいいという共通点はあるんだけどよ、白雪姫とは別人だ。でもよ、くちびるを中心に感じるオーラは、白雪姫そのものだからな。
赤ずきんも、王子の一途な想いをたたえた目には惹かれるものがあってよ……赤ずきんの元カレと同じ切ない想いを感じた。
赤ずきんも、王子の一途な想いをたたえた目には惹かれるものがあってよ……赤ずきんの元カレと同じ切ない想いを感じた。
え、赤ずきんに元カレ……?
ビックリした……けど正念場! 二人のキスに集中したぜ!
赤ずきんは、そっと目を閉じた。
王子の顔が、くちびるが、だんだん近づいていきやがる……('◎◇◎')。
そして、二人のくちびるが重なった!
赤ずきんは、くちびるになんの感触も感じてねえ。だって、くちびるは白雪姫のくちびるだからな。
そして、二人のくちびるが重なった!
赤ずきんは、くちびるになんの感触も感じてねえ。だって、くちびるは白雪姫のくちびるだからな。
でも、王子の熱は感じた。
元カレのそれとは違うけれど、思いの丈は同じ。赤ずきんの閉じた目から、涙が一筋流れ落ちたぜ。
小やぶに隠れていたマユは、急いでスマホ型携帯魔法端末を操作して、くちびるを入れ替えたぜ!
小やぶに隠れていたマユは、急いでスマホ型携帯魔法端末を操作して、くちびるを入れ替えたぜ!
すると、白いベールがフンワリ飛んで、棺の蓋が開いて、自分のくちびるにもどった白雪が、ゆっくりと起きあがったぜ。
「王子さま……」
そうして、めでたく、アニマ王子と白雪姫はむすばれやがった!
その様子は、レミが撮って、ファンタジーの世界にライブ配信され、山で仕事にとりかかろうとしていたドワーフのやつらも、ファンタジーの世界のキャラたちも、みんな集まりやがった!
「王子さま……」
そうして、めでたく、アニマ王子と白雪姫はむすばれやがった!
その様子は、レミが撮って、ファンタジーの世界にライブ配信され、山で仕事にとりかかろうとしていたドワーフのやつらも、ファンタジーの世界のキャラたちも、みんな集まりやがった!
もう、グリムもアンデルセンもディズニーも宮崎アニメもへったくれもなしに集まって、二人の幸せを祝いまくりやがった!
中には、刺激を受けて目を覚ました眠れる森の美女まできやがるし「わたしの王子さまは!?」と叫びやがって、その間の良さにみんなは暖かい拍手で応えやがった(^_^;)!
後日談だけどよ、「わたしの王子さまは!?」は、その年、ファンタジー世界の流行語大賞にもなってよ、あくる年の春には、眠れる森の美女の王女さまにも、めでたく王子さまの婚約者ができたって話だ。
でもよ、マユ一人、他のキャラに気を取られちまった。
そう、赤ずきんだぜ。
赤ずきんは、くちびるを戻したとたんに、使い捨てられた赤ぞうきんほどにも意識されなくなっちまったんだ。
赤ずきんは、小屋にもどると、そっと服を着替えた。
でもよ、マユ一人、他のキャラに気を取られちまった。
そう、赤ずきんだぜ。
赤ずきんは、くちびるを戻したとたんに、使い捨てられた赤ぞうきんほどにも意識されなくなっちまったんだ。
赤ずきんは、小屋にもどると、そっと服を着替えた。
そして赤ずきんの衣装にもどって、お祝いの輪を避けるようにして、その場を去ろうとしたぜ。
あんまりの人だかりで、当たり前なら十秒ほどで出て行ける庭を出るのに五分もかかってやがる。
「ちょっと、すみません……あ、ごめんなさい……」
まるでAKBかなんかのライブの人混みをかき分けるような状態だ。
目立つ赤いコスの赤ずきんだけども、だれも、街角の郵便ポストが動いたほどにも関心を示さねえ。
悪魔学院の芸術鑑賞で観た『影武者』を思い出したぜ。武田信玄の影武者をやってた男が影武者であることがバレちまって、雨の中、裏門から追い出されるとこに似てやがる。
マユは追いかけたぜ!
追いつけたのは、森の外れの分かれ道のところだった。
「よかったぁ、ここ分かれ道だから、ここを過ぎたら、会えなかったかもだぜ……」
「なにかご用?」
ふりかえった赤ずきんは、とても寂しげな笑顔だったぜ……。
追いつけたのは、森の外れの分かれ道のところだった。
「よかったぁ、ここ分かれ道だから、ここを過ぎたら、会えなかったかもだぜ……」
「なにかご用?」
ふりかえった赤ずきんは、とても寂しげな笑顔だったぜ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生