魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
67『黒羽Dの苦悩』 

「マユ、オモクロの研究生になるの?」
「虎穴に入らずんば虎児を得ずだぜ」
「……でも、このパンフ、応募用紙がないよ」
「さっき、配達されてきたとこだ。書類審査は軽いもんよ。なんたって、クララと、拓美の合成だからな」
「ヒュ~」「(#*´・`*#)」
クララは小さく口笛を鳴らして、拓美は顔を赤くして感心しやがった。
「とにかく、オチコボレ天使のお節介は放っておけねえからな」
「だよね」「う、うん」
クララと拓美がうなずいたところに、黒羽Dが入ってきやがった。
「すまない。これからちょっと外さなくっちゃならなくなった。今夜のレッスンには付き合えないけど、みんな励んでくれよ。明日は、その成果しっかり見せてもらうからな。パフォーマンスはカレーじゃないから一晩寝かせて上手くなるってもんじゃない。今のモチベーションを『コスモストルネード』の発表まで、持ち続けていること。選抜もアンダーの研究生もね!」
「すまない。これからちょっと外さなくっちゃならなくなった。今夜のレッスンには付き合えないけど、みんな励んでくれよ。明日は、その成果しっかり見せてもらうからな。パフォーマンスはカレーじゃないから一晩寝かせて上手くなるってもんじゃない。今のモチベーションを『コスモストルネード』の発表まで、持ち続けていること。選抜もアンダーの研究生もね!」
はい!
百人近いメンバーと研究生が返事をしやがる。そのモチベーションの高さは目の前で花火が爆発したみてえで、マユはビクッとして飛び上がりそうになっちまったぜ。
でもよ、その中で、たった一人、ブラックホールのみてえに落ち込んでる人間がいやがる。
誰でもねえ、いま檄を飛ばした黒羽D自身だ。
誰でもねえ、いま檄を飛ばした黒羽D自身だ。
いくら表面を取り繕っても小悪魔の目はごまかせねえ。
――死ぬ――オヤジ――よくもって一週間――
思念がスパークしてやがる。表面は明るそうに振る舞ってやがるけど、心の中は悲しみと混乱でいっぱいだ。どうやら、さっき事務所に電話があったみてえだ。
――どうして、携帯切りっぱなし……よくもって一週間……そうよ……はい?……看護師さんが呼んでる……父が……お父さんのメモ……読むよ『英二、いい歳して嫁さんもなし。仕事一途もいいけど、体には気を付けろ。見舞いなんぞこなくていいからな。通夜も葬式にも来なくてもいい。気の済むまで仕事に打ち込め。父』……お兄ちゃんの勝手! バカ、その勝手じゃなくて、勝手にしろの勝手よ!――
黒羽Dの妹からだ。
お父さんとは13~15回に出てきたジジイのことだ。どうやら、思いあまって「今から行く!」と返事をしやがって……え……「彼女だっている」……おやおや、ハッタリかましやがったんだ。
――死ぬ――オヤジ――よくもって一週間――
思念がスパークしてやがる。表面は明るそうに振る舞ってやがるけど、心の中は悲しみと混乱でいっぱいだ。どうやら、さっき事務所に電話があったみてえだ。
――どうして、携帯切りっぱなし……よくもって一週間……そうよ……はい?……看護師さんが呼んでる……父が……お父さんのメモ……読むよ『英二、いい歳して嫁さんもなし。仕事一途もいいけど、体には気を付けろ。見舞いなんぞこなくていいからな。通夜も葬式にも来なくてもいい。気の済むまで仕事に打ち込め。父』……お兄ちゃんの勝手! バカ、その勝手じゃなくて、勝手にしろの勝手よ!――
黒羽Dの妹からだ。
お父さんとは13~15回に出てきたジジイのことだ。どうやら、思いあまって「今から行く!」と返事をしやがって……え……「彼女だっている」……おやおや、ハッタリかましやがったんだ。
「じゃ、みんなガンバローぜ! イェイ!」
元気にカマしやがった。
オオオオオオオオオオ!!
何も知らねえメンバーと研究生は、黒羽のエールを倍にして返しやがる。
オオオオオオオオオオ!!
何も知らねえメンバーと研究生は、黒羽のエールを倍にして返しやがる。
ブチブチブチブチブチ!!
その跳ね返りが、無数の矢になって黒羽Dに突き刺さるイメージが浮かびやがるぜ(-_-;)
リハーサル室を出た黒羽Dは、電源を落としたスマホ画面みてえに暗かった。しかし、黒い画面の向こうは整理されてねえ仕事や思い出の欠片でクラッシュ寸前だ。
マユは、ポチの姿にもどって黒羽の後をつけたぜ。
地下の駐車場で黒羽が車のドアを開けたとき、魔法でカラーコーンを倒して注意をそらし、その隙に後部座席に乗り込んだ。
リハーサル室を出た黒羽Dは、電源を落としたスマホ画面みてえに暗かった。しかし、黒い画面の向こうは整理されてねえ仕事や思い出の欠片でクラッシュ寸前だ。
マユは、ポチの姿にもどって黒羽の後をつけたぜ。
地下の駐車場で黒羽が車のドアを開けたとき、魔法でカラーコーンを倒して注意をそらし、その隙に後部座席に乗り込んだ。
運転中も、黒羽Dの心は混乱したままだったけど、新曲キャンペーンのアイデアの整理にかかってやがる。そんて、こんな状況で仕事のことを考えている自分に自己嫌悪も襲ってきやがる。まるで、サンチャゴの海みてえだ。黒羽Dは、何度もため息をついたり、意味もなくハンドルを叩いたりしやがった。
マユは、久々に見たぞ。こんなに苦悩している人間を。
小の字は付いても悪魔。黒羽Dの苦悩を頼もしく思ったぜ。
人間とは苦悩や錯誤のあとに道を切り開いていく不完全な生き物なんだ。いわば、悪魔と天使のせめぎあいから湧いて出た虫みてえなもんだ。
でもな、一寸の虫にも五分の魂、魂は鍛えなくっちゃならねえ、天使みてえに気まぐれで安直な救済はしねえんだからな。
いまは、雅部利恵の安直なクワダテを阻止することがマユの使命だ。そのためには、黒羽Dにダウンしてもらっては困る。むろん、黒羽Dの魂も放っちゃおけねえ。
そんな具合に根性たぎらせてっと、フロントグラスにA病院の建物が揺れながら現れたぜ……。
そんな具合に根性たぎらせてっと、フロントグラスにA病院の建物が揺れながら現れたぜ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生