大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

オフステージ・145『ミリーの頼まれごと・1』

2020-11-24 15:08:24 | 小説・2

オフステージ(こちら空堀高校演劇部)145

『ミリーの頼まれごと・1』ミリー    

 

 

 わたしの日本語は基本的に大阪弁。

 

 シカゴの実家の隣がタナカさんという日系のお婆ちゃんで、大阪出身。

 もう100歳目前という年齢なので、喋る日本語はコテコテの大阪弁。

 物心ついた時からタナカのお婆ちゃんとは大の仲良し。だから自然に身に着いた日本語は大阪弁で、それも70年ほど昔のね。

 お尻のことを「オイド」と言って、ホームステイ先の千代子に通じなかったし。夕べの事を「ゆんべ」と発音して「お婆ちゃんみたい(* ´艸`)」と笑われたり。阪神巨人戦を観に行って「うわあ、さすが阪神ファンはしこっとるなあ!」と感激して千代のパパさんにまで「年寄りみたい」笑われてしまう。

 それからは、どうも「うちの大阪弁は古いらしい」と自覚して、テレビやYouTubeなんかで勉強して、高校二年の現在では現代大阪弁を喋れるだけでなくて、標準語もマスターした。

 その甲斐あってか、今年で五年目になる大阪では、ご近所でも学校でも、みなさんと仲良くやれている。

 心がけているのは――つかず離れず――人には親切にするし、親切にされたら、キチンと感謝の気持ちを伝える。だけど、感謝以上には人の心には踏み込まない。

 まあ、アメリカ人だし、日本に居る限りは『外人さん』で『お客さん』だしね。

 アメリカからやってきた交換留学生のミッキーには油断した。どういう油断かは、まあ、バックナンバー読んでちょうだいな。

 

 なんで、こんな前振りしてるかって言うと、頼まれごとをしたからなのよ。

 頼みごとの主は一年のSさん。

 演劇部に入りたいということだった。

 普通ならね「わ、嬉しい! 今日からでも部室に来てよ!」てことになるんだろうけど、わたしは一歩引いてしまった。

 だってさ、うちの演劇部って演劇しない演劇部なんだよ(;^_^A。

 今までの物語を読んでくれた人には分かると思うんだけど、うちの演劇部って演劇しないことで有名な演劇部なんだよ!

 文化祭で『夕鶴』やったけど、あれは例外的事情からだし(どんな事情かは、これもバックナンバー読んで)、みんな仲良しだけど、放課後マッタリ過ごしたいってだけの、生徒会には絶対内緒のグータラ志向からなんだからね。

 だから、入部希望って聞いて「嬉しい!」じゃなくて「え、どうして!?」になるわけなのよ。

 二人とも、かなりドラマチックの予感だから、次回から改めて経緯(いきさつ)を語ることにするわ。

 次回は。Sさんが、どうやってわたしに接近してきたか、その真の狙いはなにかを語るわ!

 乞うご期待! 刮目して次回を待て!

 

 ヘヘ、むつかしい日本語知ってるでしょ(^▽^)/

 

 

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やくも・08『猫尽くし』

2020-11-24 06:10:55 | ライトノベルセレクト

・08『猫尽くし』   

 

 

 図書室当番が終わった。

 

 本来の図書室当番だったら一週間つづく。それが四日で終わったということは、もともと当番だった女子が学校に戻ってきたということなんだろうけど、その説明は無い。「小泉さん、今日からはいいから」。終礼で担任から言われておしまい。

 ま、いいんだけど。

 四日もピンチヒッターやったんだから説明くらいあってもいいんだけどね。

 この四日間で本の貸し出しと返却が二件ずつあっただけ。四時半を回ると、ほとんど杉野君と二人っきりだった。

 ま、いいんだけど。

 杉野君とは、マップメジャーのことと近道の事で、ちょこっと話しただけ。

 なんか、お互いに気を使ってるみたいな四日間だった。

 わたしも杉野君も人間関係苦手みたいだけど、まあ、よくやったんじゃないかな。

 ま、いいんだけど。

 

 もうちょっとで崖に突き当たるとこまで来た。

 ささやかなことを悩む。右に曲がるか左に行くか……。

 右に曲がれば160メートルの遠回り。

 左に行けば、路地っぽいのを抜けてつづら折りの道。つづら折り通ったら、また時間が巻き戻ってしまうかも。

 終礼終わって真っ直ぐ帰ってるから、あの調子で巻き戻ったら、まだ授業をやってる時間に家に着いてしまう。「おや、早いわね」では済まなくなるだろう。

 でも……ウジウジしてるうちに左に曲がってしまった。

 路地っぽいを抜けてつづら折りが見えてくる。

 

 トトト……音もなく猫が駆け下りてきた。白いネコだったから印象的。

 音もなくと言って、トトトって表現はおかしいんだけど、なんか擬音めいた表現しないと頼りない。

 トトト……今度は黒猫が駆け下りてきた……と思ったら、茶猫が駆け下りてきた。

 次に三毛猫が下りてきたら笑っちゃう……思ったら、ほんとに三毛猫が下りてきたよ!

 アハハ!

 久しぶりに笑った。

 つづら折りを半分上がって振り返ると四匹の猫も振り返っていて「「「「ニャー」」」」と鳴いた。なんだか挨拶みたいだ。

 残り半分を上りかけると虎猫が下りてきた。こいつは挨拶もせずに、わたしの足元を駆け下りて行った。

 ということは……四毛猫とかが下りてきたりして?

 トトト……ほんとうに四毛猫が下りてきた、白黒茶に虎模様。

 めちゃくちゃ面白い!

 

 家に着いたら、別に時間は巻き戻っては居なかった。

 

 でも、お風呂掃除しながら思った。でもさ……四毛猫って存在してたっけ?

 ひょっとして世紀の大発見?

 人には言わないでこう、コミュ障少女の痛い妄想と思われるから。

 コミュ障少女って言いにくい(^_^;)、つづめてコミュ少女……コミュ障女……?

 ああ、だめだ、こんなこと考えたら、本当にそう呼ばれてしまう。

 湯船の中に手を潜らせて、ひそかにエンガチョをしてみる。

 一人でエンガチョができるかって?

 できるんだよ、内緒だけどね。

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かの世界この世界:142『トール元帥のミョルニルハンマー』

2020-11-24 05:53:58 | 小説5

かの世界この世界:142

『トール元帥のミョルニルハンマー』ブリュンヒルデ    

 

 

 身の丈三十メートルのトール元帥はムヘン駐留の一個連隊の親衛戦車部隊を引き連れている。

 

 親衛戦車部隊は空を飛べる。

 日ごろ、ムヘンの警備任務にあたっているのは国防軍で、国防軍の戦車は飛ぶことができない。

 我々が苦労して積み込んだことで分かる通り、我々の四号は国防軍仕様の四号だ。テルやケイトは羨ましそうな顔をしているが、空飛ぶ戦車は燃費が悪い。飛行していると満タンでもニ十分が限度。それが一個連隊の大編隊で飛べるのはトール元帥が飛行しながら補っているからだ。

 トール元帥の図体が大きいのも、その全身にエネルギーを貯めているからなのだ。

 かつて、父オーディンから辺境の討伐を命ぜられた時、元帥は父に言った。

「一年や一年半なら、存分に暴れまわって見せましょう。しかし、二年三年となっては、まったく目途が立ちません。それでもやれとおっしゃるなら、オーディンの歴史には書けない非常の手段を用いなければなりませんが。よろしいか?」

 父は、黙って頷いた。

 父はずるい。

 困ったときは、相手に喋らせ、自分は頷くだけだ。

 わたしの時も、そうであった。

 わたしは、そんな父が許せなくてヴァルハラを飛び出してしまった。父は、わたしの討伐を命じたが、トール元帥はムヘンの流刑地に押し込めるだけで済ませてしまった。それも、いずれは、わたしが抜け出し、独自に行動に出ることを見越していた……でなければ、こんな風に仲間を募ってヴァルハラを目指すことなどできなかったであろうからな……。

 トール元帥のエネルギーが尽きる時……耐えがたいことが起こる。

 クリーチャーの上空を旋回しながら攻撃のタイミングを見計らっているトール元帥。もう、そのことを覚悟したのだろうか。

 それとも一撃で敵を屠って、エネルギーをリチャージすることなく終わらせる奇策があるというのだろうか。

 

 元帥がミョルニル(聖なる大鉄槌、ミョルニルハンマー、以下ミョルニル)を振りかぶった!

 

 鬼神であろうとゴジラであろうと大魔神であろうと一撃で粉砕する聖なる大鉄槌ミョルニルが巡洋艦を取り込んだクリーチャーのど真ん中に振り下ろされる!

 グヮッシャーーーーーーン!!

 ミョルニルの炸裂にクリーチャーは粉々に粉砕! さすがはトール元帥!

 しかし、本体は粉砕されたものの、破片の多くが独立したクリーチャーになって四方八方に逃げ始めた。

 追え!

 元帥の一言で、一個連隊の戦車部隊がクリーチャーを追いかけ、三次元行進間射撃を加える。

 一つも残さず、地の果てまで追いかけてせん滅せよ!

 戦車たちは水平線の彼方までクリーチャーどもを追撃していった。

 

 元帥は、マーメイド号に並んで飛行しながら語り掛けてきた。

 

「姫、パラノキアとクリーチャーは、この元帥にお任せあれ。姫は、ひたすら障害を乗り越えつつヴァルハラを目指されよ」

「元帥!」

「大丈夫、時の女神がそろって目覚めるころには方がつきましょう」

「元帥、わたしもお供を!」

 タングリスが手を差し伸べる。分かっている、元帥が立ち上がったのだ、副官であるタングリスは付いていかざるを得ないだろう。過酷な任務と知りながらでも……でも、こういう時のタングリスって、わたしが見ても震えが出るほどに美しくなる。アンビバレンツな美しさを、わたしは正視出来ないぞ。

「おまえは、姫のお供をしろ。今度の出征にはタングニョーストが付いてくれている、心配するな」

「元帥……」

「テル、ケイト、ロキ、ユーリア、おまえたちにも苦労をかけるが、なにとぞよろしく頼むぞ」

「元帥、あたしにもお!」

「ポチ、この戦が終わって、姫の旅が成就したら、このトールが新しい名前をつけてやろう。それを楽しみにわたしも戦う。姫も皆も息災でな!」

 身体を捻り、二度旋回すると、元帥は西の水平線を目指して飛び去ってしまった。

 大丈夫だろうか……空飛ぶ戦車もミョルニルも恐ろしくエネルギーを消費するのだが……。

 

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:300 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:12 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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