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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!48『もうひとつ別のライオン』

2024-11-01 06:45:41 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
48『もうひとつ別のライオン』 





 ノドチンコむき出しで叫んでやがったのは新聞配達のジョルジュだ。

「どうしたの、ジョルジュ!?」

「大変なものに出くわしてしまった……あ、こっちこっち!」

 ハタハタと手を振ってジョルジュはミファとマユを道路脇の大きな岩陰に連れて行きやがった。

「いったいなによ、なにがあったのよ!?」

「いいか、いいか、驚くなよ……」

「シッ……!」

 息を整えながら話を続けようとしたジョルジュをマユは制止した。

 岩の向こうの道を町長が歩いてくるのが見えたんでな。

 道は、岩のところで曲がっていて後ろから来た町長は気づいちゃいねえ。いつもの町長なら、目の前を歩いていた二人の姿が見えなくなれば「おかしい」ぐらいは思うだろうけど、この時は気づきもしなかった。それほどサンチャゴとライオンのショックが大きかったんだ。


 町長の気配が完全に無くなるまで息をひそめ、さらに三つ数えてからジョルジュは話し出した。


「さっき、ライオンに遭ってしまった……(-_-;)」

「「え!?」」

「新聞を配達し終えて、家に……帰ろうとしたんだ、そして北……の、町はずれのイガイガ林の……ところまで来た……ら……オレの上……上を、大きな影がよぎったんだ……」

「あの(……)のとこは、人目を気にしてるんだろうけど、分かりにくいから」

「とりあえず、イガイガ林まで行って話してくれる。ただでもお喋りなあたしたちが、人前で黙り込んじゃ、かえって怪しまれるわよ」

「それもそうだ」

 ということで、イガイガ林に着くまで、三人はバカ話ばかりした。おかげで、マユのこともジョルジュは自然に理解した。年頃の少年や少女は改まった話は苦手だ、バカ話の中で話したほうが、お互いに通じやすい。

「ところでよ、マユは悪魔なんだ(^▭^;)」

 話の途中で正体をバラす。いっしゅんビックリだったけどミファが「小悪魔なんだけどね」と付け加えると「そ、そうか小悪魔なんだ(^△^;)」と、半分ビビッて半分親しみのこもった笑顔になりやがる。まあ、正直でいいけどな。

 薮を三つ、小川を一つ越えるとイガイガ林の前に出て来た。

「で、ライオンはどうした? どこにいやがるんだ?」

「林の、あるところに閉じこめてある……」

「ジョルジュが、閉じこめたの!?」

「あ、ああ、町に出られちゃ大騒ぎだからさ。オレだってやるときゃやるよ!」

「で、どこに閉じ込めたんだ?」

「こ……ここ(''◇'')」

 ジョルジュはカチコチになって目の前の薮を指差しやがった。

 そこは一見薮に見えたけど、それは木の枝を切り積み重ねたカモフラージュだ。三人でカモフラージュの薮をどけると岩肌が現われて、そこには人一人ががやっと通れるくれえの割れ目が開いていたぞ。

 割れ目の奥から気配がした……たぶんライオンの気配……でも、サンチャゴじいちゃんのライオンの気配とは違っていたぞ。

 ちょっと暗い……マユは魔法で明るくしてみた。

 割れ目の中は意外と広く、奥の方で「く」の字に曲がっているようで、気配は曲がった「く」の字の奥の方からしてきやがる。

 マユを先頭に、ゆっくりと奥に進んでいくと、後ろの方で、ガラガラガラと大きな音がした。

 ウワーーー( >Д<)!!

 崩れてきた岩で入り口がふさがれてしまった。

 ミファとジョルジュは思わず抱き合ってしまってやがる。

「おめえたち、友だち以上の仲なのかあ」

「あ……思わずよ、思わず。手近にいたから!」

「そ、そうだよ(^O^;)!」

「ま、どうでもいいけど……先に進もうか」

「「あ、うん((''◇''))!」」

 マユは、今のが(二人が抱き合ったことじゃなく、岩が崩れたこと)ライオンの仕業であることに気づいていたぞ。

 気配はいきなり「く」の字の角を曲がって現れた。

 それは身の丈二メートルは超えるライオンだった!

 ん……身の丈?

 そう、ライオンは二本の足で立っていやがった!


「やあ、わざわざすまないね」


 そのライオンが口をきいた……!?



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 狼男
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  





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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!47『ライオンの夢』

2024-10-31 13:28:29 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
47『ライオンの夢』 






 声の主は町長だったぞ。

 メタボの禿げ頭だけど、気配は生活指導の梅崎に似てやがる。

「気になってサンチャゴの家を覗いたらベアが倒れていた。君たち二人の姿はないし、サンチャゴは寝てるし。サンチャゴが寝てるのはいつものことだが、ベアは倒れているし、先に来ているはずの君たちはいないし。そこでサンチャゴの瞳を見ると、君たちの気配を感じてな。心配になってここまで来たんだ」

「町長さん、夢の中に入ってこれるんだ」

「めったに使わんが、この程度の魔法はな……しかし、二人合体してZ指定の結界を超えるとは……君の仕業かな、マユだったな、なかなかの魔法使いだ」

「ふふん、そんなアマチュアじゃなねえよ。こう見えても悪魔のハシクレ、魔法でマユには勝てねえぞ」

「……そうだったのかい」

「どうする?」

「やれやれ……」

 町長は、ため息一つついて、岩の上に腰を下ろしやがった。

「もう、こうなったら、お願いするしかないな……ライオンが目覚める前に、この夢から出て行ってくれないかい。ミファ、マユ……」

「どうして、起きているライオンを見ちゃいけないの」

「……手に負えないんだよ、ライオンは。昔は……といっても、わたしなんかが生まれる前だけどね。ライオンのことは学校でも教えていた。みんなライオンを信じていた……そして、そのために大きな戦争までやってしまった……大勢の人が死んで、島は、さびれてしまった。だから、わしたちは、もうライオンを見ないことにしたんだ、考えることもやめた。いま、島でライオンを見続けているのはサンチャゴただ一人。だから起こすわけにはいかない。君たちに、起きたライオンを見せるわけにもいかないんだ」

「そうなんだ……でもね町長さん。そんなこと言ってたら、あたし達の島は、いつまでたっても今のままよ。あたし達、まだ子どもだけど、任せてくれないかなぁ。ライオンをどう受け止めるか……それは見てみなくちゃ分からないから、感じてみなくちゃわからないから」

 その時、ライオンが薄く開いた。


  (((⁰͈꒨⁰͈))) !! 


 三人、声にならない叫びをあげたぜ。


 気がつくと、ミファと二人、サンチャゴの小屋にもどっていた。ベッドの脇にはケットからはみ出たベアの脚がはみ出ていたぜ。


 ライオンが目覚めたとき、それは気配で分かった。島の空気が強い力でみなぎったからな。

 サンチャゴの目もライオンの目も……井戸の底のように真っ暗だった。でも、今すぐにでも紅蓮の炎が噴き上がってくるような予感をさせる闇で。町長も合体したマユとミファもその底知れない闇に、声にならない悲鳴をあげることしかできなかった。

「わ、わしが、やったわけじゃない(-_-;)」

 町長の震えの残った声がテーブルの下からした。町長は少し遅れて戻ってきたんだ。

「わかってるよ、町長さん。わたしも、ただ怖ろしかっただけだし」

 合体が解けて、本来の姿に戻ったミファが言った。

 マユは表情を読まれたくなくて、窓の方を振り向いた。

 ガタン

 でも、余裕が無くて横の椅子を倒してしまったぜ。

「ごめん……たぶん、もどしたのは、マユだ。ライオンの目を見るのには、町長は歳をとりすぎてるし。ミファは、まだ幼すぎる。そして……二人を守るには、マユの魔力は弱すぎたんだ。だから……たぶん、マユが反射的に二人を連れて夢から飛び出したんだ」

「そうなんだ」

「サンチャゴじいちゃんは!?」

 ミファの声で三人は、サンチャゴのロッキングチェアーを振り返る。

 サンチャゴは安らかな寝息を立てて眠っていた。

「こんな安らかな寝顔を見たのは、初めてだなぁ」

「うん……サンチャゴじいちゃんは、ライオンを見ることができたんだもんね」


 そうじゃねえ……二人には言わなかったけれど、マユには見えぞ。ライオンとサンチャゴの目の底にあるものを。ミファは怖さのあまり記憶からとんでしまっているけど、もう少し大人になれば無意識に思い出すだろう。マユは、そう思って言わなかったぞ。

 マユの未熟な魔法で、なんとか戻って来て、だいじょうぶかなぁと思ったけど……うん大丈夫。

 言い訳めいた大丈夫だけど、サンチャゴじいちゃんの小屋を出て坂道を町へもどるころには安心してきたぞ。ミファの肩から力みが消えていたからな。


 ミ、ミファァァァァァァ!


 ミファを呼ぶ声が安心をぶち壊すように坂道を駆け上がってきやがったぞ……!



☆彡 主な登場人物
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  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!46『サンチャゴとライオン』

2024-10-30 07:55:51 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
46『サンチャゴとライオン』 





 気安く引き受けたミファだったけど、ロックオンまで二時間もかかるとは思わなかったぜ。

 ピクピクピク……

 R2ボタンを押している人差し指がケイレンをおこしかけてやがる。

 ロックオンして間もなく、サンチャゴじいちゃんのボートは、大きな島の浅瀬で停まった。

「あ、着いたんだ……」

 くそ、これならロックオンなんかやらなくて、ただボートを追いかけてるだけでよかったぞ(-_-;) 

 小さな碇を投げ入れると、身軽にボートから飛び降りて、膝まで水に漬かりながら砂浜に上がっていくサンチャゴ。

 遅れて浅瀬に着くと、ミファもサンチャゴを追いかけた。

 ノッポのヤシの木がブッシュって言うか薮の中からニョキニョキ生えてて、いかにもカリブの島だ。

 サンチャゴは砂浜からずんずんブッシュの中に進んで見えなくなっちまった。

――▼マークが、まだ点いているだろ。ロックオンを続けろ――

 無駄と思ったロックオンが、ここで役に立つ。

「サンチャゴじいちゃん、なんだか身軽になってたよ……」

――ってか、若返ってやがる。背筋は伸びてるし、あの身のこなしは……どうやら、ここからはドキュメンタリーじゃねえみたいだぞ――

 十分ほど行くとブッシュをぬけて、草原に出たぞ。


 え?


 ▼マークの下にいるのは……海兵隊のフル装備に身を固めた若者だ。


――あれ?……サンチャゴは?――

「あれだよ……じいちゃん、若い頃は軍隊にいたんだ。あれ、そのころのサンチャゴじいちゃんなんだよ」

――うそ……!?――

「だって、ここはもうドキュメンタリーじゃないんでしょ」

 小悪魔のマユよりも、人間のミファのほうが、目の前のことを正確に受け止めているようだぜ。

 サンチャゴ……サンチャゴ軍曹は、ゆっくりと草原を見渡した。むろんミファとマユが合体した女の姿は見えねえ。ここは、あくまでサンチャゴの夢の中なんだ。

 やがて、サンチャゴ軍曹は、なにを見つけて小走りで寄っていった。まるで宝物を見つけたハックルベリーみてえにな。


 え?


 それは、大きなライオンだった。


 ライオンは、金色に近い豊かなたてがみをしてて、それを草原を吹く風になびかせてうずくまってやがる。

 ZZZZZZZ……ZZZZZZZ……ZZZZZZZ……

 ゆったりとした呼吸は草原全体の時間を支配してるみてえに威厳があった。

 サンチャゴ軍曹は、かがんで、ライオンの顔を居眠っている友だちのように見ている。

 そして、目覚めるのを待つように、ライオンの横に並んで座ったぞ。

 海兵隊の軍曹とライオン……変な取り合わせだったけど、なんだか友だちみてえだ。

「サンチャゴじいちゃん、ライオンが目を覚ますのを待っているんだね」

――これだったんだな、サンチャゴが見ていた夢は――

「あたしたちも、待っていようよ、ライオンが目覚めるのを」

――おお。ライオンが目覚めたら、全ての秘密が分かる気がするぜ――

「なんだか、胸がドキドキしてきた」


 そこまでだ……!

 え?


 合体した二人の後ろで声がしたぞ。




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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!45『シーシュポスの岩みてえだ!』

2024-10-29 08:59:44 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
45『シーシュポスの岩みてえだ!』 




「このままじゃ、終わらないよ……」


 言葉の意味は、すぐに分かっぜ。

 あたりに、ウヨウヨとサメが集まってカジキマグロを狙い始めやがった!


 サンチャゴは、モリを構えて立ち上がった。


 波に揺れるボートの上で仁王立ちになり、獲物を狙うサメたちを寄せ付けまいと必死の形相だ。
 普通の人間なら、あの揺れるボートに立っていることすらできねえだろう。それをサンチャゴはサーファー顔負けのバランス感覚で立ってやがる。

 立っているだけじゃねえ、カジキマグロに寄ってくるサメのやつらを追い払ってやがる! 

 ガシ! ガシ! ドガ!

 最初の三匹は、急所の鼻面を一撃にして仕留めたけど多勢に無勢。一騒ぎ終わったころには、カジキマグロは半分近く食いちぎられていたぜ。

「こういうことなんだな……」

 マユは、小悪魔らしからぬ気弱さで呟いちまった。

「まだまだ、これからよ(-_-#)」

 ミファは怒りと闘志のみなぎった声で言うと、船縁をギュッとつかんだ。

「これが夢でなきゃ、魔法で助けてやれるんだけどな……」

「これは夢だけど、サンチャゴじいちゃんが言っていた最後の漁よ」

「……じゃ、これはドキュメンタリーなのか」

「うん。なにもかもサンチャゴじいちゃんの話のとおりだもん……ほら」

 また、サメの一群が来やがった。

 ガブガブ! ガシ! ガシ! ドガ! ガブ! ガシ! ガブガブ!

 カジキマグロは半分以上食われちまったぜ!

「まだまだサメは襲ってくるよ」

 ミファの予想どおり、サメはもう二回やってきて、とうとうカジキマグロを骨だけにしてしちまいやがった。

 しかし、サンチャゴは最後までサメと戦ったぞ。

 カジキマグロが骨だけになっちまって、サメも寄ってこなくなると、サンチャゴは、くたびれ果てて船縁に頬を乗せるようにしてくずおれちまった。

 え……?

 船べりに顎を載せながらも、サンチャゴは海の様子を窺ってやがる……また獲物の気配がして……え、これってループするんじゃね?

 あ、また竿を持ちやがった!


 シーシュポスの岩を思い出したぜ。


 二度まで神を欺いたシーシュポスは神に「そこの岩を山の上まで持ち上げろ」って言われるんだけど、山の上まで持ち上げた岩は、あくる日には音もなく麓まで降りてきてやがる。シーシュポスはまた岩を持ち上げて、また降りてきてを無限に繰り返すって、鬼みてえな罰だ。

 鬼は、こんなことはやらせねえ「鬼差別だ!」って怒ってやがったくれえだ。

 シーシュポスは心が折れて、死んだ魚みてえな目になって、今でも岩を運んでやがるけど、 サンチャゴジジイ、ここで無限に獲物を獲ってはサメに食われるやがるんだ!

 魔法は使えねえけど、見ることはできるぞ。小悪魔の目であたりを探ってみる……。

「あ、水平線に抜け道があるみてえだぞ!」

 ゲームの中のヒントみてえにピカピカしてるのが見えたぞ。きっと、別ルートにちげえねえ!

「あ、あそこはダメ」

「なんでダメなんだ?」

「あっちは、よその国の漁場なんだよ。うちの島はね、むかし大きな戦争に巻き込まれたの……で、負けちゃったから、漁場をひどく制限されて……頭の回る大人たちは、よその島に行って雇われ漁師をやっている。うちの島の漁師は優秀だから、どこでも重宝がられてる。あとは、ちょこっとした観光やら、葉たばこ作ったり……だから、島は、年寄りと女子どもだけになってしまったんだ」

「サンチャゴは、そういうのは出来ねえたちなんだなぁ……でも、もう一つの方は?」

「あっちは……(-_-;)」

「あっちは?」

 俯いてしまいやがる。

「ミファまでタソガレてどうすんだよ……」

「…………」

 言っても仕方がねえ感じなんで、ひとことグチっただけにする。

「それでも、サンチャゴじいちゃんは漁に出た。こうやってリアルに見ちゃうと、こっちまで折れちゃう……」

「でもよ、なんで、サンチャゴを眠らせつづけておくんだ? こんな夢を見続けるのはシーシュポス以上の拷問だぜ」

「そうだよね……」

 なんでだよ!? 

 ノドチンコのとこまで出てきたけど、マユはもう一回吞み込んだぜ。

 見てっかぁ、デーモン先生。マユも辛抱強くなっただろうが。

 ここは、もう出口がねえ。もう戻るぞ( ' ^ ' #) 。


 キリキリキリ

 カチューシャが閉まってきやがる!


 わ、分かった、もうちょっとだけ居てやっから(>皿<)!

 コツン

 そのときボートの舳先が、なにかに当たった。

「ん、なんだろう……?」

 なにかの先には、まだ海が続いているけど、ゲームのエリア限界にきたように前に進めなくなっちまった。

 しかし、サンチャゴのボートは二人のボートを残して、その先に進んでいく。

 ジャジャーーン!

 すると、目の前に大きなアラームが映し出された。


 この先Z指定! CEROレーティング(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)


「なに、これ……?」

 ミファが首をひねった。

「だれだか知らねえけど、この夢に介入してるみてえだな」

「Z指定だったら、あたしたち入れないよ」

「フフ、こんなもの……」

 マユが、指を一振りすると、アラームは簡単に消えてしまった。

「え……どうやったの?」

 ミファは、マユに聞こうとしたが、マユの姿は見えねえ。

「マユ、どこに行ったの……海に落ちた?」

 ミファは船縁から海を見た。すると……。


 海面に映っていたのは、ミファでもマユでもない三十過ぎの女だったぜ。


 なかなかの美人みてえだ。

 ミファは驚いて、後ろを見て、もう一度海面を見た。その美人は紛れもなく、ミファ。

「……これって、あたし?」

――でもあるし、マユでもある――

 自分の頭の中で、マユの声がした。

「マユ!?」

――なんだか無意識にやっちまったぁ。マユとミファを足したみてえだな。すると、こういう三十過ぎのイケたおねえさんになる。三十過ぎだからZ指定は関係なしだ……ちょ、ちょっと、どこ触ってやがんだ(''◇'')!?――

「あたしって、こんなに胸大きくなるんだ!」

――ま、二人分足した姿だからな。どっちの要素で、こうなったか分からねえ。ま、体はミファが動かせ。考える方は、マユがやるから――

「で、とりあえず、どうしたらいいの。もうサンチャゴじいちゃんのボート見えないよ」

――足もとにコントローラーがあるだろ――

「あ、これ……ワイヤレスじゃないの?」

――首からぶら下げんだ。この夢に介入したやつは、ゲーム仕様にしたみたいだから。△ボタンを押してみ――

「あ……!」

 水平線に▼マークが現れた。

――その方角にサンチャゴがいる。R2ボタンがアクセル。L3のグリグリが舵だから、がんばれ。ボートが見えたらロックオンの※が出るから、R3で合わせて、押し込む。すると自動追尾になるからな――

「よっしゃー!」

 気安く引き受けたミファだったけど、ロックオンまで二時間もかかるとは思わなかった。R2ボタンを押している人差し指がケイレンをおこしかていたぜ(^_^;)。



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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!44『カジキマグロ』

2024-10-28 08:10:06 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
44『カジキマグロ』 


 
 


 いつの間にか、ストローハットはボートになってクルクル回ってやがる。

 マユは小悪魔でミファは港町の子だからボートに酔うことはねえ。

 しかし、様子が分かるのには、少し時間がかかったぜ。

 海は荒れてやがる。

 まるで海自身が何かを予感して興奮してるみてえだ。

 人の背丈ほどの波が絶えずわき起こり、マユには海の妖精たちが、なにかおもしろいことを見つけて騒いでいるみてに思えた。

「低気圧が過ぎたところみたい。ほら、波はまだ騒いでいるけど、空は青いよ」

 ミファが、港町の子らしく解説しやがる。

「こういうときは獲物がかかりやすいんだ……」

 ミファが、そう続けたとき、波間にチラッと他のボートが見えたぞ。

「あ、あれは……?」

「……サンチャゴのボートだ!」

「え、よく分かったわね」

 ミファが感心した。

「だってよ、ここは、サンチャゴじいちゃんの夢の中だからな」

「え……そうなの!?」

「見たいと言ったのは、ミファの方だぞ」

「夢って、こんなにリアルなの……潮の香りも、海の感覚も本物だよ」

「……それだけ、サンチャゴの想いが真剣だってことだ」


 波間に見えるサンチャゴジジイは格闘してやがった。


 リールを巻いては緩め、緩めては巻くを繰り返してやがる。

 ただの繰り返しじゃねえ、ボートのケツを獲物に向けながらだ。

 横からリールを巻くと、獲物の勢いで転覆させられる。それで、時どき足で梶棒を蹴って絶えずケツを向けてやがるんだ。 呼吸を整え獲物のそれに合わせてやがる。

 時どきサンチャゴは体ごと海に引きずり込まれそうになるけど、必死でふんばる。負けそうになるとリール空回りさせ、釣り糸を伸ばす。梶棒を蹴って尻を向ける。向けては竿ごと獲物を手繰り寄せる。

 伸ばして、引いて、梶棒を蹴って、リールを巻いて、また緩めて……そんなことを何十編もくりかえし、瞬間、サンチャゴジジイが渾身の力でふんばったとき、そいつは海の上に躍り上がるように姿を現した。

 ザッパーーン!!

 そいつは、マユの背丈の五倍もありそうなカジキマグロだったぜ!

「じいちゃん、がんばれえ(>〇<)!」

 ミファが思わず声をかけた。

「ここは夢の中だ。言っても聞こえねえぞ」

「でも、でも、サンチャゴじいちゃん、あんなにがんばってんのに……!」

「だから、夢だって。あんまり入り込みすぎると、夢の中から出られなくなっちまうぞ」

「う、うん……」

 それから何時間たっただろうか……ようやく、サンチャゴは獲物を船縁までたぐり寄せ、モリでトドメを刺した。マユもミファといっしょにボートの船底に尻餅をついてしまったぜ。

『く、くそ……こんな時に、あいつが居てくれたら』

 獲物のカジキマグロは大きすぎて、ボートに引き上げることができない。サンチャゴジジイは、仕方なく船縁に獲物をくくりつけた。

「あいつって、だれ?」

「……少年」

「少年? 新聞配達のエロガキか?」

「べつの子。いつもサンチャゴじいちゃんのボートに乗っていた」

「今日はいねえのか?」

「……親が反対していたから。サンチャゴじいちゃんは大物狙いで、坊主で帰ってくることが多くて稼ぎにならないって、親が反対してたんだ……これは、じいちゃんの最後の漁なんだ。じいちゃんの記憶……それとも願望なのか……」

「そうかぁ……でも、最後に大物仕留められてよかったじゃねえか」

「このままじゃ、終わらないよぉ……港まで持って帰って陸に上げるまでが漁なんだよ」

「そうなんだ」

 ミファの言葉通りサンチャゴの気は張り詰めたままだったぜ……。



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  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 狼男
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!43『サンチャゴ爺さん』

2024-10-27 08:52:12 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
43『サンチャゴ爺さん』 




 あれえ?

 サンチャゴじいちゃんの小屋は、近くで見ると意外に大きいぜ。

 岬の一軒家なんで、比較になる建物がねえことや、作りがザックリしているんで小さく見えてるんだろうけど……家の前に立つと、自分が小さくなったんじゃねえかと錯覚するほどに大きいぜ。


「お早う、じいちゃん」


 ミファのあいさつに応えははなかった。そんなことにかまわずに、ミファは中に進んでいきやがる。

 教室ぐらいの部屋に寝室や台所がついているだけのようなシンプルさ。漁具や海で拾ってきたガラクタがあちこちに散らばってやがるけど、足の踏み場もねえ……というわけでもねえ。

「来るたびに片づけているから、まあまあだけどね……ベッドにはいない……ということは」

 サンチャゴじいちゃんは、教室ぐらいの部屋の海側に面した大きな窓辺、そこのロッキングチェアで眠ってやがった。

 色あせた横しまのシャツにオーバーオール。骨太だけど、しぼんだ風船みてにに萎えてやがる。漁師特有の赤茶けた顔には深いしわが刻まれ、頬から下は真っ白な無精ひげ。

 戦場で迷子になって、もう一歩も動けねえジジイの兵隊みてえだ。

「サンチャゴは、海の上が一番似合うんだ。さあ、潮風を入れようね。ちょっと手伝ってくれる」

「おお、いいぞ」

 大人が二人両手を広げたぐらいの窓は、ごっつい樫の木でできている。ひとマス三十センチほどの格子のガラスは厚さが一センチほどもあって、横引きのシャッターを開けるくらいの力がいりそうだ。

「よいしょ!」「せーの!」

 ガラ ガラガラガラ!

 トロッコが走るみてえな音がして窓が開いたぜ。

「うん、これくらいでいいよ」

 ミファがOKを出すと、潮風が海鳥の声や波音といっしょに入ってきたぜ。

「さあ、タバコに火を点けるよ」

 ミファが、タバコの用意をしている間、ジジイの薄く開いた目を見た。白目は歳相応に濁ってやがるけど、瞳は、海の色をそのまま写したように青くて、ちょっと見とれちまったぜ。

 その瞳は動くことはなかったけど、瞳孔は、なにかを見つめてるみてえに絞り込まれてやがる。
 

 戦う男の瞳だと思ったぞ。


 小悪魔の歴史の授業で習った、プルターク英雄伝のサラミスの海戦、その中のデメトリオス一世の瞳と同じだと思った。

――退屈な授業を聞かせるより、こういう実物を見せた方がよっぽど分かりやすいぜ――

 マユは、自分の不勉強を棚に上げて感心したぞ。

 と……次の瞬間、青い瞳は死人みてえに力を失い、鋭く絞り込まれた瞳孔は、だらしなく緩んじまったぞ。

「ミファ、タバコを消せ!」

「え……?」

「いいから早く!」

 ミファにタバコを消させ、魔法で窓を全開にした……!

「こんなことをしたら、じいちゃんの体に悪いよ」

「悪くなんかねえよ。じいちゃんの瞳を見てみろ」

「……あ!」

「分かった……?」

「……うん」

「サンチャゴじいちゃんの目は戦う男の目なんだ。でもサンチャゴじいちゃんは起きることは無ぇ……んだろ。瞳は絞り込まれているけど、体は緩んだまま」

「これって……」

「たぶん……オンディーヌの呪いだ」

 ゾワ( ゚Д゚)


 そのとき背後に人の気配を感じた。


 いつのまにか、入り口のところにベアおばちゃんが立ってやがる。

「やっぱり、その子は魔女、いや、ひょっとしたら魔法少女!?」

「ちがうわ!」

「いま、たばこを消して、窓を魔法で閉めただろ。あんたたちみたいな子どもでなきゃ、サンチャゴの世話はできないけど、いつか、こんなことになるんじゃないかと心配もしていた。サンチャゴの夢を知りたがるんじゃないかって」

「ベアおばちゃん、やっぱりなにかあったのね。サンチャゴじいちゃんを起こしちゃいけないなにかが」

「ミファ、その子から離れるんだ。いま封じ込めてやるから!」

「おお( ゚Д゚)!」

 ベアおばちゃんは一枚のカードをかざしやがった。元プリマドンナだから、めちゃくちゃカッコよくて、思わず感動の声が出たぜ。

 けど、この小悪魔マユをどうこうできるシロモノじゃねえ。

「魔女封じの宝珠か……そんなもんでマユは封じられねえぞ」

「レアもののカードなのに……」

 パチ  ボ!

 マユが指を鳴らすと、カードに火が点いた。

「うわ、アチチ……!」

 ベアおばちゃんは、慌ててカードを手放しやがった。

 カードは意思あるものみてえにワンカートンのたばこの包みの上に落ちた。

「マユは、魔女でも魔法少女でもねえ、小は付いても悪魔なんだぞ。そんなヘナチョコカードにゃ負けねえぞ!」

 ブスブスブス

「グ、だれがブスだ! え、ちがうのか?」

 たばこの包みがくすぶり始めた。気を取り直して話してやったぞ。

「サンチャゴには、すでに、精霊オンディーヌの呪いがかかっていて、目覚めることはねえよ。その上ハバナたばこの煙……この煙を嗅ぐと仮死状態になって目の光りまで失ってしまうんだ。そうだろベア!」

「そ、それは……」

「うそだよ、そんなこと。だったら、いっしょにいるミファたちも仮死状態になっちまうじゃないか(;'∀')!」

「このたばこは、大人しか効き目がねえんだろ。だから子どもにだけ世話をさせてるんだ」

「グヌヌ……」

「消すぞ、ベア」

 くすぶるたばこに息を吹きかけてやった。煙はベアの顔を包み込むようにわだかまって、ベアは、あっけなくくずおれちまった。

「ベアおばちゃん!」

「だいじょうぶ、寝てるだけだ」

 それでもミファは、ベッドからケットを持ってきてベアに被せてやる。いいやつなんだ……けど、口には出さねえ。

「……そんなにサンチャゴじいちゃんの夢って、怖いものなの?」

「怖いものじゃなくて、危ないものなのかもしれねえぞ」

「……この目で確かめてみたい。この絞り込んだ瞳が見ているものを……でも、無理な相談ね。そのオンディーヌの呪いとかがかかっているようじゃ」


 ボォォォォォ


 開け放たれた窓から汽笛が聞こえてきた。めずらしく大きな船が入港してきたみてえだ。

 ボォォォォォ

 チラッと見ると灰色の軍艦だ。

 ボォォォォォ

 汽笛は、もう一度鳴って、気づくと、サンチャゴの目は汽笛が鳴る度に光が強くなっていってる。

 あれ?

 そして、偶然か、魔法か、坂道で吹き飛ばされたマユのストローハットが、窓から、フワリと小屋のテーブルの上に舞い降りてきやがったぞ。

「じいちゃんを起こすことはできねえけど、夢の中に入っていくことはできるかもしれねえ」

「行ってみたい!」

「どんな夢だか分からねえ。場合によっちゃ夢に取り込まれて出てこれなくなるかもしれねえぞ」

「でも、見てみなくちゃ始まらないよ……お願い」


 ボォォォォォ


 南度目の汽笛が、とどめのように鳴り響いた。


「わかった。じゃ、マユの目を見つめろ……」

 そう言いながら、マユはストローハットを逆さにしたぞ。

「エロイムエッサイム……エロイムエッサイム……」

 呪文と共に、マユとミファの体はどんどん小さくなって、逆さになったストローハットの中に収まった。

「エロイムエッサイム……エロイムエッサイム……」

 呪文は、さらに続く。

 今度は、ストローハットそのものが小さくなり、浮き上がったかと思うと、サンチャゴじいちゃんの青い瞳の中に吸い込まれるように入っていったぞ!


 それは、巨大な青い渦に巻き込まれていくボートみてえだったぞ……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 狼男
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!42『ストローハットを飛ばされた!』

2024-10-26 09:13:50 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
42『ストローハットを飛ばされた!』 




「ミファ、サンチャゴにこれ」

 ベアおばちゃんがミファに包みを渡しやがる。

 気になる包みだけど、ここで聞くのはヤベエ気がしたぞ。ささいな疑問や質問を口にしたとたんに、全部が崩れてしまいそうな危なさがしやがるんだ。

 たとえばよ、トランプタワー……って、アメリカの元気なジジイじゃなくて、トランプの札を器用に積んでって、ピラミッドとかビルみたいに積むやつな。ちょっと一枚失敗しただけで全部が崩れっちまうって遊びがあるだろ。たいてい何人もでやって賭けにしてやがる。

 魔界でも、いい歳した悪魔のオッサンたちが『エンジェルタワー』って名前つけてやってやがる。崩れたら「奢れえ!」とか、嫌な仕事押し付けたりとかな。

 あのエンジェルタワーみたいな感じ。

 
「その包み、何が入ってんだ?」

 港町の狭い坂道を上がりながらマユは聞いたぞ。

「タバコよ」

「サンチャゴの爺さんにか?」

「うん(-_-)」

「だいじょうぶか(^_^;)?」

「うん。もう自分じゃ喫えないんだけどね、これを焚いとくと、サンチャゴじいちゃんはうなされないの」

「爺さん、かなり悪いんだな……」

「うん。もう何年も寝たり起きたり。近頃じゃ、起きてるのは日に二時間ほど。それも起きてるだけで、なんにも喋らないし、面と向かっても視線も合わない……でも、分かるんだ。瞳の奥には、何か訴えかけてくるような光があるから」

「光……」

 そこで二人は、坂道の上に出てきた。

「うわぁ……!」

 カリブの海が一望に開け、吹き上げる潮風が心地よく髪をなぶっていく。ストローハットが飛ばされないように反射的に頭をおさえたぞ。「キャ」なんて声上げちまって、その仕草が自分でも可愛くって――こんなのマユじゃねえ!――と戸惑っちまう。

「ウフ」

 ミファが笑いやがって、ますますオタつくぜ(#'∀'#)。

「う、うわー、すごいね、ここの眺め。100%の海だ( ゚Д゚)!」

 わざとビックリして誤魔化すんだけど、ほんとに感動してっから、ますますオタついちまう!

「晴れているときは絶景だけどね、海が荒れたときは、すごい風で、小さい子なんかは、とても通れたもんじゃないんだよ。この道をちょっと行ったとこの岬の先にサンチャゴじいちゃんの家があるの……ほら、あそこ」

 ミファが、道の先を指した。三百メートルほど先の岬にくすんだ小屋が見えた。

「お、ミファじゃないか」

 潮風に鍛えられた声が間近にして、二人は驚いて振り返った。驚いた拍子に、マユはストローハットを飛ばしてしちまった。

「いや、すまん驚かせてしまったな」

「町長さん!?」

「たまには、サンチャゴの様子を見ておこうと思ったんだけど、ミファ、行ってくれるところだったんだね」

「うん、ベアおばちゃんとこで時間くっちゃったけど」

「そっちのかわいい子は?」

「あ、従姉妹のマユ。休暇で訪ねに来てくれたの」

「そうかい。じゃ、わしが行くこともないな。よろしく頼むよ。マユちゃん、帽子すまなかったね」

「いいえ、たいしたもんじゃありませんから(^_^;)」

 よそ行きの言葉は口がムズムズするぜ。

「じゃ、わしは、これで。ちょっと日が高くなっちまったけど、漁にに出てみるよ」

「大きなカジキマグロでも釣れるといいね」

「ああ、サンチャゴにあやかってなあ」


 町長は、ベアおばちゃんと同じように、瞬間マユの顔を見つめて坂道をもどっていきやがった。


「ねえ、さっきも、そうだったけど、どうして従姉妹になっちまうんだ?」

「サンチャゴじいちゃんの家に着いたら話す……ああ、マユ( ゚Д゚)!」

「え……ああ(゚Д゚;) !」

 体が透け始めていやがる! 

 ミファの姿や景色もぼやけ始め、学校のトイレの個室が浮かんできた。だれかに魔法をかけられたとピンときたので、大急ぎで記憶を巻き戻した。

 ベアおばちゃんのカフェで飲んだソーダにアラームが点いていた。

――まだ時間がたっていない。間に合う――

 マユは、ソーダを飲むところまで戻ってみた。

「大人は世話をしないんですか?」

 マユがソーダを一口飲んで聞いた。一瞬目が光って、ベアが続けた。


 41章の、そこまで戻ると、こう変えた。


「みんなでお世話してるんですね」

 マユはソーダを飲もうとした手を止めてお愛想を言ったぞ。ベアは一瞬残念な目になって続けた。

 景色は、ほとんど学校のトイレの個室に戻っていた。

 手遅れかと思ったら、青いモヤを吐き出している便器の中から手が伸びてきた。とっさに手を掴むと、もとの坂道に戻された……握った手の主はミファだった。

「危ないところだったね」

「従姉妹じゃないってことバレてるみたいだな」

「ううん、半信半疑ってとこ。マユが、この世界の人間だったら、ソーダの魔法は効かないから」

「そうか、じゃ、まだしばらくは大丈夫だな」

「でも、ベアおばちゃんまで、あいつらの仲間だとは思わなかった」

「急ごう」

「うん」


 二人は、岬のサンチャゴじいちゃんの小屋をめざして足を速めたぞ……。 


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人)
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!41『ベアおばちゃん特製カリビアンソーダ』

2024-10-25 08:12:57 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
41『ベアおばちゃん特製カリビアンソーダ』 




 レミが言った「急場の問題」がキューバのナゾであることに気がついた……ファンタジーの世界は駄洒落で回ってんのかぁ?……そういや、レミの次に現れたのは目の前のミファ、この次はファソとか。まさかな(^_^;)


「ついてきて(^▽^)/」


 ミファは笑顔で言うと歩き出した。生まれながらの友だちに言うような気楽さだぜ。

 道を少し行くと、声をかけられた。

 横っちょの年季の入ったカフェでオバハンが手を振ってやがる。

「ミファー、今日は連れがいるんだねえ」

「うん、従姉妹のマユ。休暇で遊びにきてんの、昨日から」

「そりゃあ、気がつかなかった。こっち寄って、ジュースでも飲んでいきなよ」

「ありがとう、ベアおばちゃん」

 いくらも歩いてねえのに、ベアおばちゃんの飲み屋兼カフェに立ち寄ることになったぞ。

 テラスのテーブルに収まると、港が一望だ。小型の漁船やフェリーが舫っていて、ゆったりと波に揺られている。マストの間を器用に海鳥たちが飛び回って、こぼれた小魚をとったりして、豊かじゃねえけど、いい感じの港町だぜ。

 不思議に思った。ミファは、なぜ自分のことを従姉妹なんて言ったんだろう。またベアおばちゃんも、簡単に信じ込んでんだ……。

「はい、ベアおばちゃん特製のカリビアンソーダ」

「ありがとう。これにアルコールが入るとカリビアンリキュールになるんだよね」

「今日もサンチャゴのとこ行くんだろ」

 ソーダを勢いよく、かつ一滴もこぼさずにテーブルに置きながら、ベアおばちゃんが聞いた。

「うん。今日は、あたしの番だから」

「サンチャゴって?」

「ああ、ポンコツの漁師。若い頃は遠洋航路の貨物船なんか乗ってたんだけどね、近頃は飲んだくれては、寝たり起きたり。身の回りのこともできなくなっちまって、ミファみたいな子供たちが交代で世話してんだよ」

「このごろは、寝たり、寝たり、寝たり、起きたり、寝たりだよ」

「いよいよかねぇ……」

「よいよいだけど、まだまだ」

「大人は世話をしないんですか?」

 よそ行きの言葉で聞いた。一瞬目が光ってベアが続けた。

「サンチャゴは大人が嫌いでね。たまに正気になると大げんかになったりするから、ミファに頼んでんの。ま、マユもゆっくりしていきな」

「うん、ありがとう……勢いもいいけど、姿勢のいいおばちゃんだな」

「昔は、踊り子やってたの。プリマだったんだよ。ほんとうはベアトリーチェって名前なんだけど、このお店開いてからはトリーチェを取りーちぇ」

「アハハ、女の人なのにベアなんて熊みてえな名前で変だと思ってたぞ」

 ビュン!

 感心しているマユの目の前を新聞が飛んでいった。

「びっくりするじゃないのよ!」

 ミファが怒鳴った。

「かわいい子といっしょだからよ。紹介してくれよ!」

 テラスの下で、日焼けした新聞少年が吠えやがった。 

「あたし、ミファの従姉妹でマユ。あんたは?」

「おれ、ジョルジュ。今夜空いてる?」

「マユには婚約者がいるの。あんたなんか足もとにも及ばないような!」

「今はバイトの途中だから、終わったら、そのテラスぐらいには足は及ぶぜ」

「油売ってると、ボスに言いつけちゃうぞ!」

「ヘヘ、じゃ、またミファのいないときにな」

 口笛を吹いて新聞少年は行っちまった。

「あたし、いつ婚約なんかしたんだ?」

「そういうことにしておかないと、直ぐに虫が寄ってくるからね」

「……どうして、従姉妹て設定なんだ?」

 マユがミファの耳に口を寄せて聞くと、奥で新聞を読んでるオッサンが驚いた。

「白雪姫の国が内戦状態だってよ!」

 マユは、オッサンたちの輪の間に顔を入れて、新聞のおおよそを読んだぞ。


 ええ、なんだこりゃ!?


 白雪姫の国は、王妃側と白雪姫側に別れて内戦状態。そこにアニマのゲッチンゲン公国が絡んで、眠れる森の美女の国が仲介。でも失敗して争いに巻き込まれやがった。そして、マユが、この港町に一瞬で来たような気がしていたけど、実際には一週間かかっていたことを知ってしまって……ファンタジーの世界のゆがみは広がっていくばかりだ。

 スマホで確認すると、リアル世界の時間では半日すぎてやがる「ここでの一年はそっちじゃ十秒ぐらい」とレミは言ってやがったけど、それほどでもねえみてえだ。

 でも、まあ、もう少しなら大丈夫か。
 


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人)
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  • 白雪姫
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!40『急場のことなのよ!』

2024-10-24 08:24:31 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
40『急場のことなのよ!』 




「おかしくないのよ」
 
 分かれ道のところに、レミが立っていた……。

「ファンタジーの世界はさまざま。打ち出の小槌で大きくなっちゃう小人もいるし。ガラスの靴穿いて王子さまのハートをゲットした子もいるわ。ガラスの靴って、どう考えても穿いて歩けるシロモノじゃないでしょ。見つめ合っただけで赤ちゃんができることもあるし、木で人形の子どもを作ったら、本当の子どもになった話もあるし。人間が豚さんになって空中戦をやって、女の子のキスでもとの人間にもどったり。おむすびが転がって長者になったり。まあ、いろいろ。マユの仲間にもいるでしょ。結婚式に呼ばれなかったら呪う魔女とか、帽子屋の少女を九十歳のお婆ちゃんにしちゃうのとか」

「アハハ、まあそうだけどな……」

 魔女とか魔法使いってのは、そうやって事件を起こして人間を鍛えるって、損な役割なんだけどな、ここは笑ってスルーしとく。

「それより、いいのか。あの二人、姿が見えねえぞ」

 気がつくと、赤ずきんと狼男の姿がなかった。

「多少問題はあるけど、いいんじゃない。ハッピーエンドにしたんだから。これで、とりあえず白雪姫と赤ずきんちゃんの問題が解決したわ。つぎ、お願いしていいかしら」

「もう、つぎかよ(^_^;)」

「問題多いのよ、この世界。急場のことで申し訳ないんだけど……」

「急ぎの用事かぁ?」

「そう、急場のことなのよ!」
 
 そう言うと、レミはストローハットを思い切り空高く放り上げやがった!


 エイ!


 ストローハットは、思いのほか高く舞い上がり、マユの視界は一瞬の間、青空とストローハットだけになっちまったぞ。


 ストン


 ストローハットが落ちたのは石畳の上だったぜ。


 さっきまでは、森の中の分かれ道。草の生えた地面と薮しかなかったのに……レミのやつもなかなかやるぜ。

 海の香りがして、マユは周りを見た。

 右手の方は、桟橋がいくつもあって、小さな漁船たちが繋がれている。左手は、漁師たちの家や魚の水揚場、飲み屋なんかが並んでる。

 どこからか、賑やかな歌や音楽が聞こえてきて、なんとなくカリブの港町が連想されたぞ。

「そう、ここは、カリブの港町よ。マユ」

 わ( ゚Д゚)!

 目の前に、バミューダパンツにギンガムチェックのシャツの女の子がストローハットを持って立ってやがる。

「お、おまえ……」

「あたし、ミファ。レミに頼んでおいたの。マユの手が空いたら、こっちに来てもらえるように」

 そう言いながら、ミファはストローハットをズイっと差し出しやがる。

「ん、なんだ!?」

「被ってみて」

「え、こうか?」

「……うん、けっこういけてんじゃん。セーラー服にストローハット。港町にピッタリだよ。あたしに着いて来て……」

「おい」

「…………」

「聞いてんだろうが、おい」

「『おい』じゃないわ、ミファよ」

 こいつ、ちょっとめんどくせえかもな。

「じゃあ、ミファ」

「なあに(^▽^)?」

「ここ、どこの港町?」

「あ……キューバ。街の名前はかんべんしてくれる」


 マユは、レミが言った「急場の問題」がキューバのナゾであることに気がついた……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
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  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!39『ちょっと腹が立ったぜ』

2024-10-23 08:22:37 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
39『ちょっと腹が立ったぜ』 




 見交わす二人の目から☆が出て、空中でぶつかると大きなハートマークになりやがった!

「で、いいのかよ。こいつが狼男のままで?」

 ポトン

 マユの一言で、ハートマークは赤ずきんと狼男の間に落ちてきた。

 赤ずきんは、それを子どもが大事なぬいぐるみを愛おしむようにだっこしやがった。

「よくないけど……満月の夜だけ避ければ、こんなふうに、ただの男の子だから……ね」

 赤ずきんは再び狼男に目を向けやがる。むろん☆が出て、見返した狼男の目からも☆が出て、空中に、さっきと同じような♡マークが浮かんだぞ。

 ちょっと腹が立ったぜ。

「それじゃ♡マークが増えるだけだろーが!」

 マユの一喝で、ハートマークは再び赤ずきんと狼男の間に落ちてきて、今度は狼男がだっこしやがった。

 お揃いになったんで、二人はいい雰囲気だぞ。

 くそ!

 なんだか、そのままバレンタインチョコのコマーシャルに使えそうな感じになっちまいやがる。

「いいか、このまま狼男のままでいたら、満月の晩は、こいつ、なにするか分かったもんじゃねえぞ。それに、このファンタジーの世界はおかしくなりはじめてっから、暦通りに満月になるかどうかも分かんねえぞ」

「そ、そんな……」

 赤ずきんが、満月を想像したためか、あたりは急に夜になり、お日さまが満月に変身した。

「ガルル~、ガルル~……」

 狼男が、さっそく変身し始めた。マユは特大のビーチパラソルを出して月光を遮断したぞ。

「ガルル~……ルル~ルンルンルン♪」

 狼男は、気のいい恋するアンチャンにもどった。

 その気のよさに、さっきのバツの悪さなんかふっとんじまった! 赤ずきんと二人で「てんとう虫のサンバ」なんか歌い出し、さすがのマユもあきれてしまったぞ。そんで、調子に乗って二番の終わりまで唄いやがった……。

  ……まあるい まあるい お月さま 愛の光で ほほえんで 森の月夜は ふけました♪

 とたんに、ビーチパラソルの中に、小さな満月が現れた!

「あ、ヤベ!」

 再び狼男は……。

「ガルルル~……」

「いいかげんにしろ(>◇<)!!」

 パッシャーーン!

 マユの大声で、満月もハートマークも粉々に散ってしまった。

 生活指導のタコ部屋で、不純異性交遊をとがめる先生と生徒みてえになっちまった。

 だけど、しばらくしてマユに名案が浮かんぞ!

「なあ、狼男。おめえ国籍を日本にしちまえ」

「え……日本人になるの?」

「いいや、日本オオカミだ」

「日本オオカミ……聞いたことないよ」

「そりゃそうだ、百年前に絶滅してる」

「「……ぜ・つ・め・つ( ゚Д゚)」」

「そうだ、だから、おめえが日本国籍をとっても狼男になることはねえ。日本にはリアル狼のイマジネーションがねえ。だから狼男のイマジネーションも、せいぜいアニメか映画のレベルでしかねえ。ファンタジーの世界ってよ、イマジネーションの世界だからな、おめえがなろうと思っても成りようがないってわけだ」

「それ、いいかも……」

 ということで、マユは魔界の役所に連絡をとって、狼男の国籍を日本に変えてやった。

 日本名もマユが考えてやったぞ。

――流狼似 謙信――

「「うん、かっこいい(^▽^)!」」

 二人とも、大納得。

「で、最初の話だけど、二人、裸でなにしてやがったんだ(#`Д´#)!?」

 マユは、オチコボレの小悪魔らしい質問を頬を染めて浴びせたぞ!

「そりゃあ……愛する二人が裸ですることって……ねえ(#*´ω`*#)」

 赤ずきんは、自分のマントと同じくらいに赤くなって、狼……流狼似謙信に目配せしやがった。

 これ以上ハートマークを出されては、たまらねえので、二人の目から出てきた☆をすぐにたたき落とした。それにむくれたように、赤ずきんが言いやがった。

「わかったわ。百聞は一見にしかず。ここでやって見せてあげる!」

「そうだ、問題解決祝いに、マユにも見てもらおう!」

 二人は、さっさと服を脱ぎ始めた!

「あ、あの、これって、一応ラノベだぞ!……ジュニア対象だからな!」

「だから、なんだってのよ!」

 赤ずきんは、そう言ってスカートを落として謙信はズボンを脱ぎやがった(#'∀'#)。

「あ……そういう行為に及ぶのはダメだぞ!」

 マユは、両手で顔を覆ったが、しっかり指の間から見るものは見ていたぞ。

 そして、二人の愛する者が、息を弾ませ始めたことは……。

「な、なんだ、それ!?」

 二人が、やり始めたのは、激烈なアッチムイテホイだ。裸といっても赤ずきんは花柄のパレオ付きセパレート、謙信はひざ丈の水着だったぞ。

「……やっぱ、ファンタジーの世界はおかしくなってやがる」


「おかしくないわよ」


 分かれ道のところで声がしたかと思うと、レミのやつが立っていやがった……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 狼男
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!38『赤ずきんと狼男』

2024-10-22 08:15:37 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
38『赤ずきんと狼男』 




――ああ、ここにいたのか――


 振り向くと、楓(かえで)の葉っぱが一枚宙に浮いていやがる。

「そんなに気を遣わなくてもいいわよ、風邪をひくわよぉ(-_-;)」

 赤ずきんが、葉っぱの方を見ないようにして言いやがる。

――でも、姿を現したらキミが辛いだろう――

「もう、気持ちの整理はついたから。それに透明になって身を隠すんだったら、その楓の葉っぱはよしたほうがいいわよ」

――透明でも……ここだけは、きまりが悪くって――

「葉っぱがユラユラしてるの、かえっていやらしいわよ」

――そ、そっかなあ――

「エヘン……あのな、マユはぜんぶ見えてるんだぞ」

 葉っぱの1メートル上のところを見ながら言うと。葉っぱがびっくりしたように落ちてしまって、さすがのマユも真っ赤になっちまったぜ(#'∀'#)。

――ほ、ほんとか( ゚Д゚)!?――

「ああ、ほんと」

 大あわてで、葉っぱが元の位置にもどると道の向こうにすっ飛んで、薮の中に隠れてしまいやがった。

「ごめんねぇ、情けないとこ見せちゃって」

「あれが、赤ずきんタソガレの原因なんだな」

「うん……あいつが戻ったら、説明するわね」


 少しすると、気配が服を着て現れた。

 マユは斜め向かいに別のベンチを出してやったぞ。

「ひょっとして、キミがウワサの魔法使い……おっと、危ない。このベンチ、崖のすぐ間際だよ!」

「そう、事と次第によっては、ベンチごと崖下に落してやるからな」

 ふーっと息を吹きかけると、ベンチが後ろに傾いた。

「ワ、アワワワ(''◇'')!」

「ああ!」

 イケメンが吉本のお笑いみてえに慌てやがる。意外な反射神経で赤ずきんがそいつの脚を掴んで、危ういところを引き戻しやがった。

 それから、そいつ九割、赤ずきん一割ぐらいで事情を説明しやがる。

「……と言うわけ」

「……なのよ」

「エ――( ゚▢゜)!?」

「ウワァアアーーー(≧◇≦) !」「キャーーー(≧⊿≦) !」

 マユは慌てて口を押さえたけど、漏れた息で、イケメンは手を伸ばした赤ずきんごと落ちていきやがった!

「あ、ごめん……」

 ふたりはバラエティーで罰ゲームをうけた二線級アイドルみてえな引きつった笑顔で戻って来て、話の続きをしやがった。

「じゃ、なに、赤ずきんは、この狼男。それをそうだとは知らずに好きになった。で、この狼男は、狼になったときに、知らずにお婆ちゃんと赤ずきんちゃんを食べちまったってわけか!?」

「「うん……」」

 二人がそろってうなづいた。

「で、でもよ……どうして、そのことが分かったんだ!?」

「……それは……ね……この人の裸を見たら、お腹に大きな傷があって」

「ボクは、腎臓結石をとったときの傷だと思っていたんだ。だってお母さんがそう言ってたから」

「わたしも、それで納得したんだけどね。デートが終わって、名残惜しいものだから、ずっと彼が帰っていく姿を見ていたの。そうしたら峠を越えた向こうで狼の遠吠えがして……てっきり彼が狼に襲われたと思って、怖さも忘れて駆けつけたの……」

「そうなんだ、赤ずきんちゃんは、自分も裸だったのにもかかわらず、ボクのことを心配して駆けつけてくれたんだ」

「すると、そのとき、雲がお月さまにかかって……この人が、ちょうど人間にもどりかけているところを見てしまって、思わず叫び声をあげてしまったの。マユほどじゃないけど、わたしの叫び声もすごくて、あのとき、わたしを助けてくれた猟師さんが駆けつけて『そいつは、こないだお婆ちゃんと赤ずきんちゃんを食べた狼だ。その傷はわたしが縫ったんだから!』なって」

「ボクは、なにも知らなかったんだ。そのとき、初めて自分が狼男だったってことが分かったんだ……(-_-;)」

 マユは眉をつり上げて聞いたぞ。

「でもよ、そうだったとしても、自分のお腹にいきなり大きな傷ができて、なんとも思わなかったのかよ!?」

「ボクは、子どものころから記憶がまだらなんだ。血だらけで帰ったり、服がボロボロになっていたり……そのつど、お母さんが説明してくれて……」

「そうか……でもよ、そんな夕暮れ前に、なんで二人裸でいたんだ……?」

「それは……(-○-;)」「ねえ……(-,-;)」


 見交わす二人の目から☆が出て、ぶつかって、大きなハートマークになっていきやがった!


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 狼男
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!37『赤ずきんの秘密』

2024-10-21 06:42:10 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
37『赤ずきんの秘密』 




「赤ずきん、約束だっただろ。白雪の件が片づいたら話してくれるってよ」

「……覚えていてくれたの?」

「悪魔の記憶力は、神さまよりもいいんだぞ」

 分かれ道の奥まったところに、ころあいの日だまりを見つけ、魔法で小さなベンチを出して二人で掛けた。

「うれしいわ、覚えていてくれて……みんな、白雪さんのことに有頂天になって、わたしのことなんか忘れてしまったみたいだったから」

「だからさぁ、赤ずきん……」

「あの……」

「なに?」

「本題に入る前に、はっきりさせておきたいんだけど……」

「なんだよ?」

「わたしたちって、著作権が切れてるから、いいって言えばいいんだけどね……でも、やっぱ」

「やっぱ? なんなんだよ!?」

「夕べも言ったと思うんだけど、わたし、アンパンマンのキャラじゃないの」

「は……?」

「だから……」

「はっきりしろよ。天下の赤ずきんだろーが!」

「ほら、また……」
 
 赤ずきんは、ため息をついてうつむいてしまいやがった。

「わたし、赤ドキンじゃないの……赤ずきん」

「え……まだ、そんなふうに聞こえるのか?」

「う、うん」

「マユ、ちゃんと『赤ずきん』て言ってるぞ。ほら、今だってそうだし、三行前も、その前のト書きだって、六行前だって、この37章になってから、五回出てくるけど、ちゃんと赤ずきんになってるぞ」

 マユは、携帯魔法端末を出して今までのログを見せてやったぞ。

「ほんとだ……でも、わたしには赤ドキンて聞こえる」

「……これも、この世界のゆがみのせいなのかぁ?」

「じゃないかな。白雪さんは、マユちゃんが、なんとかしてくれたけど、まだ他のゆがみは残ったまま」

「そうだな、眠れる森の美女も、起きてきやがったし」

「わたしも先週までは、十歳の女の子だったのよ」

「ええ……どう見ても十八歳以上……どこ見てんだ?」

「あ、ごめんなさい……かたちのいい胸をしてるなって思って」

 マユは、頬を染めて胸を隠したぞ。

「どうせ、マユはBカップだ。おめえのCカップには見劣りするよ!」

「わたしDカップ……あ、そんなつもりじゃないのよ(;'∀')」

「ま、ま、いいけどな。本題だ本題。赤ずきんが、そんなになっちまったのは先週のことか?」

「うん、六日前……猟師さんに助けられた明くる日」

「ああ、狼におばあちゃんといっしょに食べられて、猟師のオッサンが狼のお腹を切って助けてくれたんだよな」

「うん……その明くる朝、目が覚めたら、こうなってたの。最初はうれしかった、急にオネエサンになれたみたいで。それから心配になったわ。ひょっとしたら、一日ごとに歳をとって、一週間もしたら、お婆ちゃんより年寄りになってしまうんじゃないかって」

「でも、そうはならなかった……だろ?」

「うん、明くる日も、その次の日も、起きてみたら変化はなかったわ……」

「だったらよ、なんで、そんなにたそがれてるわけさ?」

「四日目にね……」

「!?」


 赤ずきんが、後を続けようとしたとき、後ろの分かれ道で人の気配がした。


――やあ、ここにいたのか!?――


 気配が口をきいた……。



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  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!36『白雪の成功と赤ずきん』

2024-10-20 07:24:42 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
36『白雪の成功と赤ずきん』 





 ドワーフたちは、朝の八時には小屋を出て行ったぜ。
 
 
 いつもなら、白雪姫の棺の番をするために一人が残るんだけどな。今朝はエルフの王女レミとマユ、それに、赤ずきんがいるんで、七人揃って「ハイホー」を唄いながら行ってしまいやがった。


 今朝は勝負の朝だぜ!


 くちびるを白雪姫と取り替えた赤ずきんが、白雪姫の服を着て、白雪姫の声で唄いながら、庭のお花に水をやってやがる。
 念のため白雪姫の棺には白いベールが被せてあってよ。万が一、アニマ王子が白雪姫に目を奪われないための用心までしてあるぜぃ!

 しかしよ、その用心は必要じゃなかった。九時前に森の小道にさしかかったアニマ王子は、歌声にひかれて、ゆっくりとドワーフたちの庭に入ってきやがった。

「きみは……」

「はい……」

 王子と赤ずきんの目が合った。

 王子は戸惑った。かわいいという共通点はあるんだけどよ、白雪姫とは別人だ。でもよ、くちびるを中心に感じるオーラは、白雪姫そのものだからな。

 赤ずきんも、王子の一途な想いをたたえた目には惹かれるものがあってよ……赤ずきんの元カレと同じ切ない想いを感じた。

 え、赤ずきんに元カレ……? 

 ビックリした……けど正念場! 二人のキスに集中したぜ!

 赤ずきんは、そっと目を閉じた。

 王子の顔が、くちびるが、だんだん近づいていきやがる……('◎◇◎')。

 そして、二人のくちびるが重なった!

 赤ずきんは、くちびるになんの感触も感じてねえ。だって、くちびるは白雪姫のくちびるだからな。

 でも、王子の熱は感じた。

 元カレのそれとは違うけれど、思いの丈は同じ。赤ずきんの閉じた目から、涙が一筋流れ落ちたぜ。

 小やぶに隠れていたマユは、急いでスマホ型携帯魔法端末を操作して、くちびるを入れ替えたぜ!

 すると、白いベールがフンワリ飛んで、棺の蓋が開いて、自分のくちびるにもどった白雪が、ゆっくりと起きあがったぜ。


「王子さま……」


 そうして、めでたく、アニマ王子と白雪姫はむすばれやがった!

 その様子は、レミが撮って、ファンタジーの世界にライブ配信され、山で仕事にとりかかろうとしていたドワーフのやつらも、ファンタジーの世界のキャラたちも、みんな集まりやがった!

 もう、グリムもアンデルセンもディズニーも宮崎アニメもへったくれもなしに集まって、二人の幸せを祝いまくりやがった!
 中には、刺激を受けて目を覚ました眠れる森の美女まできやがるし「わたしの王子さまは!?」と叫びやがって、その間の良さにみんなは暖かい拍手で応えやがった(^_^;)!

 後日談だけどよ、「わたしの王子さまは!?」は、その年、ファンタジー世界の流行語大賞にもなってよ、あくる年の春には、眠れる森の美女の王女さまにも、めでたく王子さまの婚約者ができたって話だ。

 でもよ、マユ一人、他のキャラに気を取られちまった。
 
 そう、赤ずきんだぜ。

 赤ずきんは、くちびるを戻したとたんに、使い捨てられた赤ぞうきんほどにも意識されなくなっちまったんだ。

 赤ずきんは、小屋にもどると、そっと服を着替えた。

 そして赤ずきんの衣装にもどって、お祝いの輪を避けるようにして、その場を去ろうとしたぜ。

 あんまりの人だかりで、当たり前なら十秒ほどで出て行ける庭を出るのに五分もかかってやがる。

「ちょっと、すみません……あ、ごめんなさい……」

 まるでAKBかなんかのライブの人混みをかき分けるような状態だ。

 目立つ赤いコスの赤ずきんだけども、だれも、街角の郵便ポストが動いたほどにも関心を示さねえ。

 悪魔学院の芸術鑑賞で観た『影武者』を思い出したぜ。武田信玄の影武者をやってた男が影武者であることがバレちまって、雨の中、裏門から追い出されるとこに似てやがる。

 マユは追いかけたぜ!

 追いつけたのは、森の外れの分かれ道のところだった。

「よかったぁ、ここ分かれ道だから、ここを過ぎたら、会えなかったかもだぜ……」

「なにかご用?」

 ふりかえった赤ずきんは、とても寂しげな笑顔だったぜ……。
 


☆彡 主な登場人物
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!35『七人の小人と赤ずきん』

2024-10-19 07:22:10 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
35『七人の小人と赤ずきん』 




 鉱山から戻ってきた小人たちは、自分たちの家が見えてきたところでビックリしやがった! 

 無理もねえ、白雪の歌声が聞こえてきたんだからな!

「てっきり白雪姫が生き返ったと思ったじゃないか( ' ^ ' #) !」

 おこりんぼのグランピーが鼻息荒く言った。

「でも、そのバラ色のくちびると声は白雪姫だ。ま、いいじゃないか(^_^;)」

 照れ屋のパッシュフルが、頬を染めてため息をついた。

「でも、これって、どういうこと(´^`) ?」

 おとぼけのドービーは、まだ分かっていねえ。

「だから、今言ったろ、これはだなぁ……ハーックション( >ω<) !」

 知ったかぶりのスニージーがテキトウに解説を加えようとして大きなクシャミ。

「つまりだな、ここにいる魔女のマユが、魔法でなんとかしてくれるってことだ……ってぐらいは、なんとなく分かった(''◇'')」

 リーダー格のドックが、とりあえずまとめやがった。

「だーからぁ、明日の朝、アニマ王子がやってきて、白雪のくちびるをした赤ずきんにキスして……それで、うまくいくってことなんだ! 文句ねえだろが(>▢<)!」

 マユはキレかかったぜ。

「ま、どうにかなるんだから、どうにかなるんだろ。ハッピーじゃないか(^▽^)!」

 ポジティブなハッピーが素直に喜んで、やっとドワーフたちは納得しやがった。めんどくさいやつらだ!

「山から帰ったばかりで、お腹空いてるでしょう。今夜は、わたしが晩ご飯を作ってあげるから」

 レミが、とりなしやがる。

「ああ、お腹空きすぎて、眠いのも忘れちまったよ」

 ねぼすけのスリーピーがうなづくと、七人のドアーフたちのお腹が、いっせいにグー……と鳴りだし、みんなで大笑いになったぜ。

「でも、今日は、山で働きすぎて、燃料の薪を集め損なったな!」

 おこりんぼのグランピーが腕を組んで、右足で地面をドンドンした。

 すると、さっきから、三人娘たちが盛大にまき散らした『!』や『?』や……が、ピョンピョン跳ねだした。

「これは、いい薪になるよ。純粋な『!』や『?』だ、グランピーのは不完全燃焼になるんで使えたもんじゃないけど、これなら、今夜のぶんの薪には十分だ」

「どれも、よく乾いていて、いい種火になりそうだ」

 ドックとハッピーが『!』や『?』を集めはじめた。

「アチチ、この『!!』は熱すぎるぞ!」

 グランピーが拾ったのは、白雪姫が最初に言ったやつ。「ああ、もう、やってらんないわよ!!」の『!!』でだったぜ。


 にぎやかな晩ご飯が終わって、マユは赤ずきんを庭に連れだしたぞ。


 庭は、月のやつも満腹になったのか、まん丸の満月で、ひっそり話すのにはぴったりだったぞ。

「なにか、お話でもあるの?」

 赤ずきんが白雪姫の声で訊いた。

「最初に現れたとき、なんだか顔色が冴えないって感じて……でも、こちらのお願いは喜んで引き受けてくれて……なんか、あるんじゃねえかって思ってよ」

 マユは、切り株のベンチに、赤ずきんをさそった。

 月の光に縁取られた赤ずきんの姿は、マユがびっくりするほど美しかったぞ。

「わたし、思ったより大人だったでしょ……」

「おお。十歳くらいのガキンチョかと思ってたぞ」

「わたし……時間の流れが、他の物語の登場人物と違うの」

「え……?」

「お婆ちゃんを、オオカミさんから助けて、それで、わたしの物語は終わるはずなんだけど、終わりにならなくって……気がついたら、こんな……多分十八歳ぐらいの女の子になってしまって。なんだか、芝居が終わったのに、まだ幕が下りない役者さんみたいに戸惑ってるの」

 赤ずきんは、足もとの松ぼっくりを、そっとけ飛ばした……松ぼっくりは、コロコロ転がって、白雪姫の棺の下まで転がっていった。

 自然に二人の目は、白雪に向けられたぞ。

「同じファンタジーの、それも同じグリム童話の仲間。その役にたてたら、それで、わたしはいいの……」

 バランスが悪かったのだろ、いったん停まった松ぼっくりは、コトリと音を立ててこけた。

「アイデンティティーのない主人公って、なんだかね……」

「アイデンティティーとか、レーゾンデートルの問題だけじゃねえように思えるぞ」

 マユも足もとの松ぼっくりをけ飛ばした。松ぼっくりは、見事に赤ずきんの松ぼっくりに当たった。

「ビンゴ……?」

「明日……白雪さんのことがうまくいったら……ああ、やっぱりダメだ」

 赤ずきんは、うつむいてため息をついた。

「ねえ、あの松ぼっくりたち、なんだかお話してるみたいだよ」

「ほんとだ……」

 そう言いながらも話がまとまらねえ今日一番の功労者。

「明日、その気になったら話してよ。赤どぅきんちゃん」

 優しい気持ちになってきたんで、きちんと「ちゃん」付けで言ってやったぞ。

「いま、赤ドキンちゃんって言った?」

「え、そう聞こえたかぁ?」

「わたし、アンパンマンのキャラじゃないんだからね」

「アハハ、そうだよな。赤どぅきんちゃん」

「ほら、また!」

「そうかぁ?」

「もう……」

 赤ずきんがふくれた。

 マユは、手を伸ばして、赤ずきんのホッペをつついた。

「プ」と音がした。

「アハハハ」

「やっと笑った。赤どぅきんの負け。この件が終わったら話してくれよな」

「はいはい。さすが小悪魔ですね」

「おちこぼれだけどな」

「「アハハ……」」
 
 二人を照らすお月さまの光が柔らかくなったような気がしたぜ……。

 人の気配に気づいて振り向くと、七人のドワーフたちが、白雪姫の棺の周りにあつまり、口々に「お休み」とささやいていきやがる。

 ドワーフたちは、白雪姫への「お休み」が終わると、小屋へと帰っていく。
 小窓から、レミがドワーフたちの優しい「お休み」のあいさつを見守っていたぞ。

――明日は、たのむよ――

 リーダー格のドックが、メガネをずらして、マユの方を向いた。

――まかしとけ――

 想いをこめてうなずくと、ドックは、ニッコリ笑って、小屋の中にもどっていった。

 あいかわらず、お月さまは星どもを従えて、柔らかく微笑んでいやがった……。


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!34『唇交換魔法』

2024-10-18 08:07:03 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
34『唇交換魔法』 




「「赤ずきんちゃーん(^▽^)!」」


 レミと白雪姫が、頭のてっぺんから声を出しやがる。


 二人が声を出さなきゃ、赤い服がよく似合う、マユよりちょっと年上の女の子に見えただろうぜ。

「わたし、どうしてここへ?」

「わたしが、魔法で呼び出したの」

「提案したのは、わたし」

 白雪姫が、申し訳なさそうに言った。赤ずきんの顔色が冴えない。でも、目覚めた白雪姫を見て、赤ずきんは素直に喜んだ。

「まあ、白雪さん。生き返ったのね!」

「あ、まあ……」

「……ということは(^▢^)!?」

「残念だけど、マユが一時的に蘇らせただけだ。魔法でな。あと三分ほどで魔法がとけて、また仮死状態にもどっちまう」

「この人は……?」

「あ、こないだし話したでしょ。悪魔の……」

「あ、ああ! この人が希望の星の悪魔さん( ゚Д゚)!?」

 レミが説明しかけると、赤ずきんは分かったようだ。

「こ、小悪魔だけどな(^_^;)」

「あなたが、このファンタジーの世界を救ってくれるのね! わあ、めちゃくちゃ嬉しい!……あ、あ、で、わたしは何をしたらいいのかなあ(^▽^)!?」

 赤ずきんは、知井子みたいな笑顔でピョンピョン跳ねやがる。

「実はな……」

 マユが説明すると、三人はエサを撒かれたハトのように顔を寄せてきやがった。


「「「くちびる交換(((◎*◎)))!?」」」


 三人の声が、それぞれの頭のてっぺんから出て、三つずつの!と?がみんなの頭の上でこんがらがってしまった。

「アニマ王子には、明日の朝、会った女性にキスしたくなるように魔法がかけてある。だから、明日、この森に来て赤ずきんにキスをするんだ。で、その時のくちびるが白雪のだったら、それで白雪は生き返ることができるって寸法だ!」

「「「なーる……!」」」

 また三人がいっしょに感心した……と!が、また三人分飛び出して、ぶつかって火花を散らした。

「でもさ、お城には若い侍女さんとか、かわいい女の子がいっぱいいるから、その子たちにキスしちゃうかも」

 レミが心配げに言い、白雪姫と赤ずきんがうなずいた。

「大丈夫。効き目が出るのにタイマーをかけておくから。何時頃に王子は来やがるんだ?」

「判を押したように、朝の九時。それから、少なくとも日に三度は来るわ」

「じゃ、九時に……セット」

 マユは、スマホを出して時間をセットした。

「へえ、小悪魔さんでもスマホ使うんだ」

 みんなが感心した。

「スマホ型の携帯魔法端末。人間界にいるもんで、こういう型にしてあるんだ。じゃ、時間ないからいくぜ」

「あ、でも」

「なんだレミ?」

「魔法でキスするようにしたるんなら、わざわざ唇を入れ替えなくても」

「ああ、そこなんだけどよ。この魔法は目覚めて起きてる相手にしか効かねえんだ。それに王子のやつ、だいぶこじらせてやがるからよ」

 ほんとは、マユの魔法が未熟なんだけどよ、それは言わねえ。

「いくぞ!」

「「「うん!」」」

 返事が揃って、また三人分の『!』が飛び出した。

「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム……えい!」

 マユは、スマホ画面の白雪姫と赤ずきんのくちびるを指ですり替えた。

「ああ……」

 白雪姫は、赤ずきんの声を発したかと思うと、クルクルっと二回転して、棺に収まってしまった。

「時間ギリギリだったみたいね」

 マユは、冷や汗をかいたぜ。

「わたし、なんだか歌を唄いたくなってきた……」

 赤ずきんが、白雪姫の声で言った。

「白雪さんて、歌が好きだったから!」

 また『!』が一つ転がり出てきた。

「いつか王子さまがやってきて~♪」

 赤ずきんは、白雪姫の声で唄いだした。すると、森の向こうからドアーフたちの「ハイホー」の歌声が聞こえてきて、うまい具合にハモったぜ。

「ハイホー」は、いつか、驚きの声に変わり、七人分の歓声になって近づいてきた……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  



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