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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!63『拓美とクララの助けを借りて』

2024-11-16 07:14:38 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
63『拓美とクララの助けを借りて』 





 マユの姿をした拓美が手伝ってくれるんだけどな、めちゃくちゃ恥ずかしい(>△<)。

 便座から滑り落ちねえように拓美が体を支えてくれる。悪魔というのは何からでもエネルギーを摂ることができる。人間みてえに飯も食う。でも、食ったものは百パーセントエネルギーに代わるんで、排泄ということをしねえんだ。

 でもよぉ、ケルベロスは犬だからな、豆柴の姿になっても、飯を食えば子犬らしくポコンとお腹も出るし排泄もしちまう。

 ア アァ~~~~

 屈辱と快感を同時に感じて、思わずため息が出ちまう。


「楽になりましたか……」


――いやはや、なんとも(-_-;)――

「え……?」

 犬語なんで、さすがに通じねぇ。

「犬に化けてるけど、マユさんなんでしょ?」

 そう言いながら、クララがウォシュレットのボタンを押した。

「キャイーン (✹Д✹ノ;;) !」

「「おっとぉ!」」

 水圧で吹き飛ばされるところだった! 拓美が支えていてくれたんで、なんとかこらえることができたんだけどなあ。これじゃもたねえ!

――化け・てる・ん・じゃな・くて犬のか・らだ・を・借りて・んだ!――

 思念でこれだけのことを伝えんのに、五分もかかっちまったぜ。

 仕方がねえんで、ケルベロスの魔力で人間の姿に化けた(''◇'')!

 ドロン!

「「わ……!」」

 豆柴がいきなり人間の姿になったんで、個室はギュ-ギュー……おまけに、その姿はスッポッンポン。マユは慌ててトイレットペーパーで最低限のところを隠したぜ!

「天使の雅部利恵ってのが、なんか企んでてよ、AKRに対抗しようとしてやがんだ。だから緊急事態! それで、魔界の犬の体を使って、ここに来たわけ!で、犬の姿じゃ、意思の疎通もムツカシイから、犬の魔力で、人間に化けてる! でも犬の悲しさ、化けても服までは手が回らねえ。で、お願いなんだけど……」

「あ、服ですか!?」

「ううん。便器の中のモノ流してくれる。ここからじゃ、レバーに手が届かなくって……」

 クララがレバーを押して水を流した。

「でも、裸でいいんですか?」

「いいんだ、またすぐにポチに戻るからよ。利恵は、ルリ子の欲望を、純真な向上心と思いこんで、このAKRに対抗してきてやがるんだ。下手をするとAKRが潰されっちまう。やつらの動きはここのスタッフも掴んでるぞ。この世界ってクサイ臭いで満ちてるからな」

 拓美が、思わず鼻を押えやがる。

「その臭いじゃねえ!」

 その五分後、マユはポチの姿にもどってよ、トイレの通気口からダクトに入って黒羽たち幹部のいる部屋を目指したぞ。ここのスタッフたちが、どれだけオモクロの情報を掴んで、対策してやがるか知るためにな(`△')。

 拓美とクララは、衣装部屋に行って、マユが人間の姿に戻ったとき、困らねえように服を探しに行ってくれた。

「どれも、ステージ衣装だから派手ねぇ……」

 拓美がため息をついた。

「これがいいよ!」

 クララが一着の衣装を取りだした。

 それはAKRのデビュー曲『最初の制服』に使った衣装で、ほとんど、女子高生の制服と変わりなかったぜ。

 二人は、それをトイレの通風口下の用具入れの上に目立たねえように置いてくれた。

「でも、クララ」

「なに?」

「マユさん、人間に化けたとき、クララに似てなかった。なんとなくだけど」

「わたしは、なんとなく、あんたに似てるような気がした」

 ポチの悲しさ……人間に化けるときは見本がいる。つまり、その時見えた人間の姿を真似てしまうんだ。だから、マユの姿をした拓美と大石クララを足して二で割ったような姿になったわけなんだ。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  



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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!62『ポチになっちまった!』

2024-11-15 06:30:00 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
62『ポチになっちまった!』 




 不敵で無責任な高笑いを残して、デーモン先生は消えちまいやがった。

 足もとではポチが嬉しそうにお座りしていやがる。


 次に気がつくと目線が低くなってやがる。


 目の前にあるのがAKR47のスタジオやら事務所やらが入っているビルだということは分かったけど、いやにデカイ。

 トコトコとビルの前の玄関に行って、ガラスに姿を映してみた。

「え……うそ!?」

「かわいい~!!」

 二番目の声とともに、マユは抱き上げられちまった。

「この子、豆柴だよね?」

 AKR最年長の服部八重の声だぜ。

「飼い犬でしょうね、どこから来たのかしら?」

 この声は、最年少の矢頭エモ。

――顔近づけんなよ、こら、スリスリなんかすんな!――

 そう言っても犬語なんで、二人には分からねえ。

「あ、首輪の下に、名札……ポチっていうんだ」

「でも、この子、女の子みたいですよぉ……」

――こらあ、どこ見てやがんだ(;>∀<)!――

 というわけで、豆柴のポチとして人間界にもどされたマユは、迷子犬として、事務所の受付に預けられちまったぜ。

 段ボールの箱に入れられ、子犬用のドッグフードと水をあてがわれた。

 チ、こんなもの……と、思ったけど、豆柴の子犬はすぐに腹が減る。

 ドッグフードがご馳走に見えてきた……と、思ったら、シッポを振りながらがっついてんじゃねえか! 

 ハグハグハグ……ハグハグハグ……ハグハグハグ……

 その姿がかわいくて、受付前にきたやつらがしゃがんで見ていきやがる。休日なんで、ほとんどAKRが所属するHIKARIプロのやつらだ。それも早朝からレッスンのあるAKRのメンバーが多い、多すぎ!

「ああ、こいつ、ウンコしたがってるぞ」

 出勤してきた黒羽ディレクターがデリカシーもヘッタクレもなしに言いやがる(''◇'')。

「やだぁ、ウンコですか!?」

 受付の女の子が、もろイヤな顔をしやがる。こんなやつクビにしろ!

「仕付けられてるようだから、ここじゃやらないよ。でも、このソワソワ感、早くさせてやんないともらしちゃうぞ……」

 豆柴のあわれさ、食べたらすぐに胃腸が動き出し、もよおしてしまう。黒羽ディレクターは、管理人室から古新聞とレジ袋をもらってきて、ポチになったマユを、ビルの前の歩道に連れて行きやがる。

 街路樹の植え込みに下ろされた。

「さあ、ここなら落ち着いて用が足せるだろう。オレあんまり時間無いから、早くすませろよな」

 と、言われても犬になって三十分、意識がついてこねえ。出るものが出てこねえ……。
 
 そこに、早朝練習にジョギングをやっていたリーダーの大石クララと、マユの姿をした拓美がやってきやがった。

――ちょっと、拓美!――

「え……!」

 拓美が声を出して驚いた。無理もねえ、魔界で補講を受けていると思っていたマユが豆柴のポチになって、植え込みでしゃがんでるんだからな。

「お早うございます」

 クララといっしょに、黒羽に挨拶しながら拓美は考えた。

「この子、わたしが飼っているポチなんです。いつも決まったところでないとおトイレできない子だから、わたし、やります」

「頼むよ、でも、犬連れて来ちゃいけないなあ」

「すみません。わたしも気がつかなかったんですけど、着いてきちゃったんですね。気をつけます」

 黒羽は、一言ありげだったけど忙しいやつだ、古新聞とレジ袋を渡すと、ビルの中に消えていきやがった。

「この子、女子トイレに連れていってあげたほうがいいんじゃない?」

 クララは、分かってやがるみてえだったぞ……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
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  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!61『マユ、補講を受ける』

2024-11-14 09:03:50 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
61『マユ、補講を受ける』 




 かくしてルリ子と美紀はオモクロのメンバーになった。
 
 オモクロは略称こそ変わらなかったが正式名称は変わった。

 オモシロクローバーではない。

 想色(おもいろ)クロ-バーである。

 オモシロ系の色は一掃され、清楚とビビットが同居したようなアイドルグループになった。

 むろん、センターは奇跡のようにのし上がってきた吉良ルリ子である。

 マユが、このことを知ったのは、その週の日曜日であった。

 週末は拓美に体を貸してあるので、マユは魔界の補講である。



 その週の日曜日は、魔界の補講の初日にあたっていた。



 ああ気が重いぜぇ……(-_-;)。

 マユがオチコボレになっちまったのは悪魔論Ⅰを落としたからなんだぁ(-_-;)。

 悪魔論Ⅰは、悪魔にとっちゃ基本中の基本なんだけどなあ(-_-;)。

 前にも言ったけどよ、悪魔は、もともとは天使だったんだ。

 人間の救済方について、他の天使と意見が合わなくなちまってよ、ケンカになっちまったんだ。それがサタンてやつでよ。三位一体って理屈が天界にはあってよぉ、天使に盾突くことは神に刃向かうことと同じなんだってぬかしやがる(三位一体とは、父=神 子=キリスト 精霊=天使の三つが同じということ)。

 でよぉ……ああ、忌々しいヽ(`Д´#)ノ !!

 天使に楯突くことは父と子にも楯突くことにされちまってよ! 多勢に無勢、サタンは天界から出ざるをえなくなっちまったってわけだ!

 で、悪魔論には、サタン流の人間救済方の基本が示されてる。頭の良い小悪魔のやつらは、丸暗記して十三日間の実習をそつなくこなして、悪魔になっていきやがる。

 でもよ、マユは筆記試験の段階で落っこちまう。

 魔法のかけ方という問題で、いつも救済という点じゃなくて、面白いことに重点を置いて答えちまうからだ。

 たとえば、こんな問題があった。

 ◎IT時代における、悪魔的な人間救済について、八百字以内で答よ
 
 マユは、こう答えた。スマホの写メに同時進行機能の魔法をかける。なぜならば……以下略。

 デーモン先生は、この答で、マユの落第を決めやがった。

 写メに同時進行機能の魔法をかけると、写したものが現実の時間に沿って変化していく。ベッピンさんを撮って、数時間後に見てみればスッピンの寝顔が見えてしまう。おいしそうなスイーツを撮って、数時間後に見れば、消化されたそれなりの姿に見える。マユは、それに臭いの再生魔法をかけることもデコメ付きで答え、あまりの不真面目さに落第させられた。

 で、これは、人間界に飛ばされてから実際にやってしまった。その相手がルリ子だったんだけどな(^_^;)。

「そのルリ子に雅部利恵(天使名ガブリエ)がイッチョカミして、アイドル界を引っかき回しておる。マユ、おまえは人間界にもどって、なんとかしやがれ」

 デーモン先生は、きっぱりと言いやがった。

「でもよ、マユ、休日は拓美って幽霊に体貸してんだよ」

「ケルベロスのポチを貸してやる」

「え、マユ、ポチになっちまうのか!?」

「しかたないだろ。小悪魔が使えるアバターは一つだけなんだからな」

「そんな、片脚あげて電柱にオシッコなんて、ぜってえヤだ!」

「ポチには、変身能力もある。ポチの中に入ってから人間に化ければいいだろが」

「でも、先生。ポチってリアルだから、お風呂にも入らなきゃなんねえし、トイレにも行かなきゃなんねえし(>_<;)!」

「仕方ねえだろ。これがマユの試練なんだからな」

「そんなぁ、リアルトイレなんて考えらんねえし!」

「それなら、拓美と相談して、一つの体に同居することだな」

「もう!」

「それに、マユはフェアリーテールの世界もやり残したままだろがぁ」

「あ、あれは、バグっちまったから」

「バグは、いずれ回復する。取りあえずは、天使とタイマンはってこい!」

「タイマンっすか……」

「怠慢こいちゃだめだぞ」

「……オヤジギャグだし」

「来月の十三日は金曜日、悪魔の力がみなぎる吉日だ。存分に戦ってこいや! ガハハハハ……!!」

 不敵で無責任な高笑いを残して、デーモン先生は消えやがった。

 そんで、足もとでポチが尻尾振ってお座りしてやがった……(-_-;)。


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!60『パフェを二つ食べた大石クララ』

2024-11-13 16:12:10 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
60『パフェを二つ食べた大石クララ』 




 オモクロのミニライブを観ている中に黒羽がいる。筋向かいの喫茶店の二階席には、帽子を目深に被った大石クララの姿もあった。

 読者はお気づきだろうが、黒羽は先日、光プロの光ミツルの直感と道楽でつくられたAKR47のチーフディレクター。大石クララはAKRのセンターで、週末アイドルと銘打ったAKRの中で、ただ一人七日間全てをAKRに捧げているチームのリーダーである。

 パチパチパチ……!

 ミニライブが終わると、黒羽は普通のオヤジファンのように目をへの字にして拍手。クララが待っている喫茶店の二階に上がった。

「どうだった」

 握手会に移ったオモクロたちを見下ろしながら黒羽は水を向けた。

「勉強になりました」

「そうか……それはよかった」

 二人の会話は、あらかじめ決まっている。黒羽が、そう決めたのだ。黒羽は、クララの「勉強になりました」の言葉の響きや、表情から反応を観察して、オモクロがAKRの、いい当て馬になるかどうかを見たかったのだ。

 クララの言葉には熱がなかった。論外なんだろうなあ……黒羽は、クララの反応をそう受け止めて伝票を掴んだ。

「あ、今の『勉強になります』分かりました?」

「5段階評価で3ってとこだろ?」

「あ、さすがです。でも、どうしてですか、わたし、思い切りポーカーフェイスだったと思うんですけど?」

「4とか5だったらパフェを二つも食ってない」

「あ、それは、黒羽さんがいくら食べてもいいって(#'∀'#)」

「分かってるよ、クララは他の子たちの倍はカロリー使わせてるからな」

「カロリーだけじゃないですよ」

「ほう」

「あの子たち、今度はアキバでやるらしいです。そっちも見てきていいですか?」

「あ、それなら……」

「黒羽さんは別に来てください」

「え、つれないなあ」

「わたしが、どこからどんな風に見てるかも見ていただければ勉強になります」

「え、アキバの広場だろ、見つけられるかなあ」

「それぐらいのオーラ、ヒカリの黒羽ディレクターが見つけられなくてどうするんですか」

「あ、やられたなあ(^_^;)」

「じゃ、お先に」

「おう!」


 ズズズ―

 すっかり温くなったカフェオレを飲み干して苦笑する黒羽。


 そして、その苦笑いを、路上からしっかり見ていた男がいた。


 オモクロのプロディユーサーの上杉である。

 上杉は、最初から黒羽の存在には気がついていた。黒羽の向かいの子が大石クララであることも気がついて地下鉄に下りていくクララの姿もしっかり見届けた。


――やっぱり、黒羽には勝てないか――


 そう思って、視線を落としたところで気がついた。いや、オーラを感じてしまった。ヒカリプロの二人に負けないくらい醒めた目。醒めながらも、全身から――自分ならもっとすごいぞ――と不遜と思えるくらいに漲るオーラを。

 気がつくと、二人の少女に声をかけていた。

「ちょっといいかなあ……」

 むろん二人の反応は、駅前であしらったデコボコニイチャンたちへの反応とは違っていた。

 二人の少女は、その足でオモクロの所属事務所に向かった。

 あっけないほどの展開である。

 それもそのはず、この出会いと展開をコントロールしていたのは、通行人に化けた雅部利恵である。利恵は、久々に天使らしい良いことができた……そう無邪気に喜んでいる。

 利恵は、こうやって、ルリ子と美紀をアイドルにすることに成功した。むろん白魔法で、アイドルをやれるだけの素養は付けてある。ほんとうは、ルリ子のグループみんなをアイドルにしてやりたかったのだが、オチコボレ天使の利恵には二人が限界だった。


 かくして、ルリ子と美紀はオモクロのメンバーになった。
 
 オモクロは略称こそ変わらなかったが、正式名称は変わった。

 オモシロクローバーではない。


 想色クロ-バーである。


 オモシロ系の色は一掃され、清楚とビビットが同居したようなアイドルグループになった。
 むろんセンターは、奇跡のようにのし上がってきた吉良ルリ子である……。



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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!59『マユはOFFでルリ子はうさばらし』

2024-11-12 13:25:03 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
59『マユはOFFでルリ子はうさばらし』 





――おめぇにゃ関係ねえだろ――
 
 木で鼻を括ったみてぇな応えが悪かったのかもしれねえ。

 利恵とは、これまで、いろんなことでぶつかってきた。

 校長先生のカツラ事件。片岡先生の恋物語。知井子の件じゃ、狙ったわけじゃねえけど、マユの方が一歩リードしたカタチになってるしなぁ。

 あいつ、一瞬だけムッとした顔になって、それからデフォルトのエンジェルスマイルに戻って、腕組みしやがったぞ。

 めんどくさいことになりそうだけど、ほっとく。

 天使と小悪魔。元々が違う。デーモン先生も関わり持つなって言ってたしな。

 あ、ここからは、しばらくナレーターにやらせっから。

 マユは、ちょっとOFFにすっぞ。

 

「さて、どこ行こうか……」



 ハチ公前でルリ子が呟く。

 学校でのウザかったあれこれを忘れるために、美紀を連れて渋谷にやってきた。

 渋谷Tデパートにルリ子の父が出資しているブティックがあるので、そこで私服に着替えられ、遅くなれば、そのままブティックの事務所で泊まることもある。父親は道玄坂にホテルも持っているので、そこで泊ればいいというのだが、いちどもそっちで泊ったことは無い。

 渋谷の交差点は大げさにいえば谷底で、どこへ向かっても上り坂になっている。その上り坂の起点であるハチ公前。そこが子どものころからルリ子の渋谷冒険の出発点なのだ。

 その出発点の青信号を二回パスして考えている。

「あんまり悩んでると、家出少女みたいだよぉ」

 美紀が、モテカワ系のナリで続けた。

「そうだね……」

 と、応えたもののルリ子は決めかねた。今日のあれこれはナミのことでは収まりそうもない。いっそ、アキバか池袋か、それとも原宿か考えていると斜め後ろから声をかけられた。

「ねえ、よかったらお茶でもどうよ」

 遊びなれた感じの二人組。ルリ子は視野の端に入れただけでシカトした。

「ヒマしてんだろぉ。だったら、お互いヒマそうなコンビ同士だからさ、いいと思わない」

「あんたたちの相手してるほどヒマじゃないの」

 美紀が、軽くイナシた。

「とりあえず、北」

 ルリ子が言った。

「グーーーーーーーーーーゼン、オレたちも北!」

 背の高いほうのニイチャン。

「きた……ないのあんたたち」

「「ハ……?」」

 デコボコがそろって声をあげた。

「汚いのあんたたち」

「そういうこと」

 二人そろって横顔で応える。

「んだと……!」

 背高ニイチャンがルリ子の肩に手をかけた。

 ええ……!?

 背高は一瞬で天地がひっくり返った。

「気をつけてね、ホコリがたつでしょ……」

 ルリ子は、こう見えても合気道初段の腕である。ちかごろ稽古はサボっていたが、きれいにきまったので、少し気分がよくなった。

 デコボコニイチャンがボコボコニイチャンになって、ルリ子と美紀の足は、駅の西北のバスケ通りに向かった。

 バスケ通りは、センター街の一部であるが、チーマー・ガングロ・家出少女などを連想させてイメージが悪いので、地元の商店会でつけた名前。べつにバスケットボールができるわけでもなく。ルリ子としては、あまり気の向くところではない。つまらないデコボコが声をかけてきたし、そいつらをノシた勢いで、とりあえず交差点を渡ったのだ。

 しかし、ここで思わぬものに出会ってしまった。

 マックの前で人だかり。人だかりは、そのまま北に進み、突き当たって西へ。井の頭通り手前の三叉路のところに、荷台がプチステージになったトラックが止まっていて。人だかりの中心から五人の女の子たちがステージに上がった。

「あ、オモクロだ!」

「なに、それ?」

 ルリ子はオモクロを知らない。

「オモシロクローバー。いま売り出し中のアイドルグループだよ」
 
 ステージの上でミニライブが始まった。名前の通り、コントを交えた面白系の歌と踊りで二十分ほど。

「オモシロクローバー、これからもよろしくお願いしま~す!」

 いつものルリ子なら、こんなアイドルともイロモノともつかないハンパなものは十秒とは見ていられないのだが、このときは、つい最後まで観てしまった。

 え、なんでだろ?

 これが、天使の利恵が仕組んだものだとは、気づかないルリ子だった…。
 


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!58『女子トイレの後始末』

2024-11-11 07:16:59 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
58『女子トイレの後始末』 




 利恵の相手をしてるうちにトイレットペーパーのことはすっかり忘れちまった。

 で、次の休み時間、女子トイレからあふれ出たトイレットペーパーが発見されて問題になっちまった(''◇'')。

 前の休み時間、ルリ子たちは慌てて飛び出してきたところを目撃されていやがって、先生に呼び出され質問されたんだ。

「おまえたちか、あんなにトイレットペーパーを散らかしたのは!?」

「いや、あれは……(;'∀')」

 美紀が説明しようとした……。
 
 トイレットペーパーを使おうとして、包装紙を剥いてホルダーにかけ、用を足すと高速でホルダーが回り始め、次から次へと新しいトイレットペーパーが吐き出され、あっと言う間に個室に一杯になっちまって、美紀は大量のトイレットペーパーごと個室から吐き出された!

 真実だけども、だれも信じてはくれなかったぜ。

 その光景を目の当たりにしたルリ子も説明はできねえ。

 マユがトイレットペーパーを投げ入れてから少し間があったし、だいいち、トイレットペーパーを示して、「マユ、それ……」と、言ったのはルリ子自身だからな。

 涙目になって説明をくりかえす美紀を制して、ルリ子が言った。

「わたしが、始末します」

 六時間目が始まっても、ルリ子は教室にもどってこなかった。

「あたしたちにも手伝わせて」

 そう言う美紀たち。

「さっさと、教室にもどんなさいよ。後始末は、あたし一人で十分だから」

 で、ルリ子一人トイレに残って、散らばったトイレットペーパーの後始末をやっていやがったんだ。

 マユは、美紀たちの思念から、そのいきさつを読み取っちまった。

 気持ちが落ち着かねえ。

 無意識とは言え、マユがやったことだ。ちょいワルとはいえ、ルリ子はリーダーとして責任を感じて一人で後始末……マユは、ルリ子を見なおして後悔したぞ。

 十分ほどしてルリ子がもどってきた。

 なにか行き違いがあったみてえで、六時間目の島田先生は、ルリ子が遅れてきた理由を知らねえ。

「どこ行ってたんだ、吉良!」

 島田先生は、頭ごなしにルリ子を叱った。

 普段から島田先生はルリ子たちをこころよく思っていねえ。頭ごなしは二分ほど続いた。

 マユは混乱して、やっと島田先生の怒りを収める魔法をかけようとした。

 するとルリ子は、ポケットから、生活指導の指導票を出して、島田先生も、やっと事情を飲み込んだ。

――しかし、もともとは自分の不始末じゃないか――

 島田先生が追い打ちをかけるのを、やっとマユは魔法で止めたぜ。

――マユ、あんた、なんか絡んでんの?――

 魔法に気づいた雅部利恵の思念が突き刺さってきやがった……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!57『ムクれてないもん!』

2024-11-10 07:49:53 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
57『ムクれてないもん!』 





 キーンコーンカーンコーン……♪


 授業開始の予鈴がのどかに鳴って、お行儀のいい聖城学院の生徒は昼休みの中庭やキャフェテリアから、ゆっくりと教室に向かい始めたぞ。

 トイレットペーパーの山に埋もれたルリ子たちを残していくのは気がひけたけど、授業に遅れるわけにはいかねえ。魔法で片づけるのは簡単だけど、超常現象を起こすわけにもいかねえしな。ルリ子のグループが教室に戻って、トイレが空になるのを待って直すことにしたぜ。


 教室に入ると、微妙な変化を感じたぞ。


 一つは、午後だというのに日差しが心地よく、いつのまにか秋の気配が忍び寄ってきてること。

「クシュ!」

 豚草アレルギーの沙耶が品よくクシャミをしたことでも、秋の気配は確実だ。

 もう一つは、知井子とマユに注がれる好奇心……少しウラヤマシイ気持ちもそこには混じっていやがる。

 そうだ、今日の昼「笑ってイイトモ」にAKRが初めてテレビに出たんだった。

 むろん週末アイドルであることが売りだから、直接出演したのはリーダーの大石クララだけだったけどよ。レッスンのビデオが流れてる。当然浅野拓美に体を貸したマユも出てるし、選抜メンバーの知井子も映っているはずだ。

 昼休みにスマホで観たやつもいて、その真新しい記憶がマユの頭にも飛び込んできたっちゅうわけだ。

 知井子観てたやつが多いなぁ……ウラヤマ好奇心が、あちこちから湧いてきてやがる。

 みんなお行儀がいいから、直接見たり、こそこそ話すやつはいねえけど、意識はしてやがる。

 おやあ?

 その中で、一番強いウラヤマ好奇心を持ってやがったのは……オチコボレ天使の雅部利恵だ。視線を感じて視界の端でとらえると、慌てて首を黒板に戻しやがる。

――アイドルになってしまうなんて……魔法使ったでしょ!?――

――んなことねえよ。知井子は自分の力でアイドルになったんだぞ。それも不可抗力だしな――

――ウソよ! だったらなんで、あんたまでいっしょになってアイドルやってんのよ――

――落第天使には分からねえ事情があんだよ――

――落第は余計でしょうが!――

――ああ、悪りぃ。マユも落第だから、親近感からだよ、親近感――

――小悪魔の親近感なんかいらないわよ!――

――なんだ、ムクレんなよ――

――ムクれてないもん!――

――ムクれてる――

――ムクれてない!――

――ムクれてる!――

 本鈴が鳴って授業が始まってもこんな調子だった。

 まあ、かってにヘソ曲げてりゃいい。

 マユはその程度に思っていたけど、利恵の対抗心は収まらなかったぜ。先生が赤いチョークで、板書にアンダーラインを勢いよくひくと、マッチをすったように火が点いてしまった。

 ボ!

「せ、先生の情熱ってスゴイっすね(^_^;)!」

 すかさず、マユは賞賛してごまかした。化学の内田先生だったので、なんとかごまかせた。

「ど、どうだ、これが化学の力だ!」

 マッチチョークもすぐに消えたんで、内田先生を得意にさせて事なきを得た。

――あんまし熱くなんなよ――

 注意したけど、利恵はなんにも応えねえ。バリアーを張って、なにか対抗手段を考えていやがる。

――おい、なに考えてんだよ?――

――フン!――

 それっきり利恵はバリアーを開かなくなっちまった。

 やれやれ……。


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!56『あっちのバグとこっちの女子トイレ』

2024-11-09 09:15:13 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
56『あっちのバグとこっちの女子トイレ』 




 さあ、あそこから飛び立とうと、森の出口を出たところでマユは一人になっちまったぞ。

 あれ?

 振り返ると、ドロシーたちは出口までほんのちょっとというところでフリーズしてやがる。

「お、おい、みんな!」

 マユが声をかけても、だれも反応しねえ。

 やべえ、また時間を停めちまったか……?

 いや、ここで時間停める理由ねえし、停めた自覚もねえぞ。

 以前、片岡先生を助けてやろうと無意識に時間を止めちまったことがあるけど、デーモン先生にこっぴどく叱られて、もう時間を停めるなんて簡単にはできねえはずなんだぞ。

「おい……」

 かかしもブリキマンも駆け足のまま停まってやがる。ライオンは太陽がまぶしくてくしゃみをする寸前、ドロシーも、スキップして、ちょうど両足が地面から離れたところで停まってやがる。ドッキリかなんかで停まってるふりしてるわけじゃねえ。


――バグか……?――


 そう思ったとき、目の前にレミの上半身が浮かんだぞ。

『ごめん、ちょっと緊急事態なの』

 レミは、眉をひそめて上半身だけで、こっちに寄って来やがった。

「ここにきてから、十分すぎるぐらい緊急事態なんだけど」

『このまま話を進めるのは問題が大きすぎるの。たとえて言うと、サーバーの処理能力を超えてしまったみたいな』

「どういう意味……ちょっと暑くなってきたぞ?」

『……ちょっと、いろんな問題がいっぺんに開きすぎちゃって』

「マユのせいじゃねえぞ」

『分かってる、マユの耐性が大きいものだから、それに甘えて、いろんな問題がいっぺんに開いちゃったみたいで』

「やべえ……ブロックノイズが入ってきたぞ……」

『ああ、もうだめ……ごめん、強制終了するわねええ(>▢<)!!』


 レミが叫んだかと思うと、あっという間に空も森も草原も……消えて……女子トイレの便座にマユは座っているぜ。


 トイレのドアが開いて何人か女子が入ってきた気配がした。


「なんだ、開くんじゃない。美紀、使えるよ!」

 ルリ子が叫んだ。

「よかったあ、二階のトイレじゃ間に合わないとこ……ううう……漏れそう!」

 美紀は一番手前の個室に入って、ルリ子は、洗面台の鏡を見ながら髪をとかした。すると、鏡に写っていた一番向こうの個室が一瞬揺らめいたように見えた。

「え……?」

 ルリ子が不思議に思うと同時に水の流れる音がして、個室から出るとルリ子と目が合っちまった。

「あ、マユ……」

「なに……?」

「え……!?」

 鏡に映った個室がグラっとしたようにルリ子は感じ、振り返って個室を順にながめやがる。

「さっきまで、個室が六つあったような気がしたんだけど……」

「なに言ってんだ、女子トイレの個室は、どこでも五つだろ」

 洗面台で手を洗いながら答えた。平然と答えたつもりだけど、ルリ子は、まだ不審げにマユを見てやがる。

「いま気がついたんだけど、トイレでマユといっしょになったの……初めてだよね」

 一瞬ドキっとしたぞ。

 小悪魔はトイレになんか行かねえんだ。

 美紀はチョイ悪グループだけど、だてにリーダーをやっていない。勘は鋭いみてだ。

「そうか、たまたまだろ……」

「ねえ、ちょっと!」

 一番手前の個室から美紀の叫び声がして、トイレのみんながビックリしたぞ!

「紙がないのよ、トイレットペーパー!」

「ドジ子だね、美紀は……」

 トイレットペーパーは、マユの洗面台の近くにあった。

「マユ、それ……」

「うん……いくよ。キャッチしろよ」

 そう言って一巻きのトイレットペーパーを美紀の個室に投げ入れてやった……ちょっと力が入りすぎたような気がした。

「サンキュー♪」

 という声がした。

「どういたしましてぇ」

 お気楽にトイレを出た。

 その直後……。

「ギャー!!」

「ウワー!!」

 美紀とルリ子たちの悲鳴がした。振りかえると、個室から美紀が軽トラ一杯分ぐらいのトイレットペーパといっしょに吐き出されてくるところだったぜ。
 
 マユは、フェアリーテールの世界の影響か、自分のミスか判断がつきかねたぞ……。


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!55『ドロシー・ニッシー・マユシーでサンシ―だ!』

2024-11-08 08:29:04 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
55『ドロシー・ニッシー・マユシーでサンシ―だ!』 




――こんなものが、あちこちにあるようじゃねえ――

――こんなもの、だれが仕掛けたのかしら?――

 ドロシーは不安げに周りを見渡した。マユは透視魔法で探ってみたぞ。

――まだ、この家の中に五つはあるぞ――

――いいえ、十五個よ――

――分かってて、ほうっとくんですか!――

――うん、だれが仕掛けたかということも含めてね――

 ニッシーは、それ以上は答えてはくれねえ。思念のやり取りも長引けば無言になっちまって怪しまれる。それに、ドロシーは正直にプンプン丸の顔に成っちまってやがるしな。

「フフ、ドロシーっておいしいお茶を飲むと真面目な顔になるんだ」

「え?」

「ああ、もう可愛いなあ!」

「あ、ちょ、やめてくらふぁいよ~(^~^;)」

 ドロシーの頬っぺたを手で挟んでモミモミするするニッシー。誤魔化すのもなかなかの魔女だぜ。

「ねえ、いいこと思いついた!」

「え?」「なんでふかぁ?」

「今日の記念に、この三人をサンシ―って呼ぼう!」

「「サンシ―?」」

「うん。わたしがニッシー、マユがマユシー、そしてドロシーで3シーだろ(*^^)v!?」

「「ああ、なるほどぉ(^▽^)!」」

「そうだ、エイ!」

 ニッシーが指を振ると、ティーカップに添えられたスプーンが一瞬でバッジになったぞ。

「まあ、かわいい。ハートが三つくっ付いてる!」

「じゃ、がんばって、ホウキを完成させるか!」


 庭の草むしりと薪割りが終わったライオンたちが戻ってくると、西の魔女は、あっというまに仕上げて、ホウキをくれた。ライオンたちがランチを食べている間に、今度は薬を調合してやがる。

「困ったときに、お飲みなさい」

 ニッシーは、そう言って二つの薬をくれたぞ。

「どういう時に使うんですか?」

 ドロシーは、不思議そうに二つのポーションを見つめてる。

 ……マユもニッシーも思わず見とれちまう。

 ほんとにムダに可愛い奴だぜ!

「困ったときよ」

 西の魔女は、ニヤリと笑って答えに換えやがった。


「じゃ、お世話になりました」


 ドロシーは、そう言うとホウキを肩にかついでお礼を言った。



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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!54『西の魔女と女子会』

2024-11-07 15:46:56 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
54『西の魔女と女子会』 




 ヒエーーーーー(((;゚Д゚)))(((,,ºΔº,,*)))(((;゚;Д;゚;))) !!!


 ライオンは驚いて木の陰に隠れ、ブリキマンとかかしは抱き合ってガシャガシャワシャワシャ震えやがる。

 でも、ドロシーとマユはちっとも怖くなかったぞ。

 西の魔女は褐色の瞳で顔の彫りも深くて一見おっかない魔女だけど、表情は穏やかで人のいいおばさんて感じだ。

 まあ、悪魔とおんなじで、最初は身についたデフォルトの表情になっちまうんだろうな。
 それを分かってか、トトなんかちぎれんばかりにシッポを振って魔女のところに行きやがった。

「まあ、かわいいワンちゃんね、お名前は?」

「あ、トトって言います」

「ワン、ワン、ワン(''◇'')」

 トトは犬らしく魔女に甘えやがる。トトの正体はまだよくわかんねえけど、ひょっとしたらいちばんのくわせものかもしれねえ。

「そちらは、かかしさんとブリキマンさん。木の陰にいるのは……ライオンさんね。シッポが見えてるわよ……あなたは……」

「ドロシーっていいます。カンザスに帰るために……」

「分かってるわ。で……もう一人のあなたは…………女子高生みたいななりだけど……」

「小悪魔のマユだ。エルフの王女のレミに頼まれて、この世界にきたんだ」

「まあ、あなたね。こないだからこの世界を面白くしている人は(^○^)」

「アハハ(^_^;)」

「みんな、よく来てくれたわ。とりあえず楽しくランチにしましょう!」

「あ、わたしたち、さっき食事を済ませてきたところなんです」

「フフ、食べたのはドロシーだけでしょ」

「あ、そうだった。でも、どうして分かるんですか?」

「一応、西の魔女ですからね。それに、わたしのランチは、お腹が空いている人だけじゃなく、心が空いている人にも効きめががあるのよぉ。じゃあ、あなたたちもお願いねぇ」

「「「「「「「「「「「「ハーーイ、喜んで(^▽^)!」」」」」」」」」」」

 いつのまにかミナカタたちもメイド服に着替えてマユたちの後ろに集まっていて、ワチャワチャと賑やかにランチの用意にかかったぜ!

 西の魔女の指示に従って、庭のレタスやキンレンカを採りにいったり、パンを切ったり、バターを塗ったり、パスタをゆでたり、ケーキを焼いたり、みんなよく働きやがる(*^^)。あ、マユだってお皿を並べたりしたんだぞ(''◇'')。

 そして、あっと言う間にランチを作って、西の魔女の「いただきまーす(^〇^)/」の音頭でガッツく、いや、食べる。ほんとうに心がホワホワしてきたぜ。

「こんなに心がユッタリしたのは久々です。お礼に、なにかやらせてください」

 かかしが提案しやがる。このソツの無さ、元はどこかの営業マンかぁ?

「そうね……わたし、ここに来て間がないから、庭の手入れが出来てないの、薪割りとかもあるから、やってもらおうかしら」

 西の魔女のお願いで、ライオン、かかし、ブリキマンは広い庭に行ってミナカタたちと仕事にかかった。

「トトも、お庭で遊んできたら?」

 トトは、キョトンとした顔になった。

「あのねぇ、トトくん、わたしは、この子達と女子会がしたいの」

「ワン、ワン(''◇'')」

「だめだめ、あなたがオスで人間の言葉が喋れるぐらいのことは分かってるわよ」

「ちぇ、しかたねえなあ」

 そう言うと、スコップをかついで外股の二本足で庭に行きやがった。


 それから三人の女子会になった。


「……というわけで、ドロシー、あなたが最初のお客さん。まさか小悪魔さんがいっしょだとは思わなかったけど」

「アハハ、落第生だかけどな。でもよ、なんでおばさんはこんなとこにいるんだ?」

「西の魔女って、お城にいるものじゃないんですか?」

「冷え性なのよ」

「「冷え性?」」

「うん、石のお城って寒いでしょ。それに、へんぴなとこにあるし、いろいろ不便でね。まあ、ここも人里からは離れてるんだけど、時どきは、こうやって訪ねてきてくれる人もいるしぃ」

「失礼ですけど、西の魔女さんて、寂しがりやさんなんですか?」

「ええ、そうよ」

 ポン

 かわいい音がして、西の魔女の頭にウサギの耳が生えたぞ。

「あ、ウサ耳!」

「おお、西の魔女はケモミミ族だったのか!」

「そうよ、お父さんはウサギ族でお母さんはハムスター族」

「あ、両方とも『さみしいと死んでしまう動物』です!」

「あ、なんかラベルが付いてんぞ」

「あ……」

「わたし、取ります!」

 西の魔女は、ちょうどティーカップを持ったままだったので、ドロシーが手を伸ばして取ってやったぞ。

「ん、ドン・キホーテ エメラルドの都店?」

「アハハハ、ハローウィンの時にミナカタに買ってきてもらったんだ(^_^;)」

「アハ、西の魔女さんてお茶目なんですね(^▽^)」

「あ、わたしのことはニッシーでいいわよ。いちいち西の魔女って微妙に長いでしょ」

「「ニッシー?」」

「うん、西の魔女だからニシ、親しみを籠めてニッシー」

「ニッシー、くだけてていいなぁ」

「でしょ」

「ドロシーも言ってみ」

「あ、えと……わたしはニシさんと呼ばせていただきます」

「カテエなあ」

「いいわよ、それでも。そうだ、お近づきのしるしにホウキを作ってあげよう!」

「え、魔法のホウキですか?」

「そうよ、すぐには使いこなせないだろうけど、持ってりゃきっと役に立つから」

「え、あ、ありがとうございます!」
 
「でも、少しお話してから。むろん、あなたたちが急ぐんなら、今すぐに持っていってもいいわよ。あんなもの半日もあれば作れるから」


 それからはニッシーがホウキを作るのを見ながらお喋りが続いたぞ。


 マユは魔界でのことや、人間界で修行させられている苦労や、このファンタジーの世界に来てからも、なかなか思い通りにならないことなどをグチった。

 ドロシーは、早くカンザスに帰りたいことや、いかにカンザスでの生活が楽しかったかを話した。

 西の魔女は、ハーブティーを飲み干すと、手を休めてこう言った。

「マユのお話は、無意識の誇張や思いこみがあっておもしろい。まさに修行中の小悪魔さんね」

「ええぇ、マユはなぁ……」

「ほら、マユが、この世界に来てやったことが出てるわよ」

 ニッシーは、パソコンを操作して、モニターに今までの記録を出した。

「ああ、やめてぇ(>▭<)!」

「白雪姫も赤ずきんも、サンチャゴのライオンのこともグチャグチャね」

「アハハ」

「笑うな!」

 思わず、ドロシーを張り倒そうとしたけど、意外な敏捷さでかわされちまった。

「熱くならないの。世の中には『一石を投じる』ってこともあるのよ。マユがやったことの結果は、まだまだ先にならないと分からないわ」

「でもなあ、ニッシー……」
 
「こう言っとくわ『買わない宝くじは絶対当たらない』って」

「アハハ、マユのやったことって、宝くじ並みの確率しかないんですかぁ」

「ドロシー!」

 今度は、手を上げる前にかわされた。

「ドロシー、あなたの方が深刻だと思うわよ」

「え……?」

「隙あり!」

「エ、キャ!」

 すかさず、マユの左パンチが……これは避けきれずに、ドロシーはギンガムチェックのスカートをひるがえして、ひっくり返りやがった。

「アイテー……なんでですか。わたしはホウキをもらって、オズの魔法使いに渡したら、ミッションコンプリート。めでたくカンザスに帰れるんじゃないんですか?」

「ドロシーの意識の底には、もっと厄介なものが潜んでいるわ。それはマユがやったことよりもすごい影響を自分にも、このオズの世界にももたらすようなこと……」

「わたしが、そんなことを……」

「そう、でも、これ以上は言えないわ……ほら、こんなとこにも……」

 ニッシーは、床に落ちていたドングリを拾い上げると、テーブルの上に乗せ、ナイフで一刀両断にした。

 ドングリの中味は、こまかい電子部品で一杯……それは高性能盗聴器だった!

――こんなものが、あちこちにあるようじゃねえ……――

 最後の一言は思念で伝えてきやがったぜ。


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  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  



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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!53『WEST48に案内されて』

2024-11-06 08:21:58 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
53『WEST48に案内されて』 




 
 言うまでもなく行き先は「西の魔女」の城だ。


 五人でイバラの森にさしかかったとき、西の空から一クラス分ほどの空飛ぶ猿たちが飛んでくるのが見えた!

「来たあ、最初の関門だ。みんなドロシーがさらわれないように気をつけて! ペコン! ポコン!」

 かかしが言うと、ブリキマン、ライオン、それにトトはドロシーを真ん中にして、フォーメーションを組みやがったぞ!

 ……といえば、頼もしいドロシー親衛隊ができたように思えるが、みんな足が震えてやがる。

 ガシャガシャ ワシャシャ フワフワ

 ブリキマンはガシャガシャと町工場の機械みてえな音、かかしはわら布団をもみくちゃにするような音、ライオンは空気みたいな音をさせやがる。

 賑やかなんだけど、めちゃくちゃ頼りねえ!

「マユ、あなたの魔法でなんとかならないの……」

 ドロシーは、トトを抱き上げるとかわいいヘタレ眉になって注文を付けやがる。

「ちょ……あの猿たち、なんだか様子が変だぞ」

 マユが呟くと、猿たちは行儀良くマユたちの前に下りて整列しやがった!

 バシ! 

 ヒ(((( ゚Д゚))))

 勢いのいい音がして、一瞬ビビったけど、二列目の猿たちが横断幕を広げる音だったぜ。

 熱烈歓迎!ドロシー御一行様!!

 もみもみもみ……

 センターの猿がもみ手しながら出てきやがった。

「これはこれは、ようこそいらっしゃいましたぁ。わたしたちは西の魔女の先触れとしてご挨拶にうかがいましたWEST48で、ございま~す。まずは歓迎の歌と踊りを!」

 そういうと、選抜メンバーらしい16匹が前に出て、クルンと一回転するとAKBみてえな女子ユニットになって「ああ、言いたかった!」を歌い踊り始めやがった。

 ♪やっと気づいた 本当の気持ち! 正直に言うんだ! たった一つキミだけが好きだよ……♪

 マユもドロシーたちもガックン……ときたぜ。

 16匹……16人のパフォーマンスに気を取られているうちに、猿たちは、みんなAKB風の女の子に変わっちまってた。マユは一瞬AKRのみんなが懐かしくなったぜ。

「あの……なんだか様子がちがうってか、勘狂っちゃうんだけど。西の魔女って、わたしたちの……カタキなんだけど」
 
 ドロシーがそう言うと、センターにいたポニーテールに大きなリボンのやつが前に出てきやがった。

「前任の西の魔女は定年で辞めました。オズの魔法使いは、次の西の魔女を公募したんです。で、書類選考で残った5人を、オズの住人で総選挙をやって、今の西の魔女が選ばれたんです。おかげで、わたしたちも猿の姿から本来の姿にもどることを許されたんです。さあ、西の魔女がお待ちかねです。わたしたちがご案内します。どうぞついてきてください。ちなみに、わたしはリーダーのナミカタです。よろしくお願いします!」

「「「「「「「「よろしくお願いしまーす(^▽^)!!」」」」」」」

「あ、でも、わたしたち空は飛べないわ」

 ドロシーがナミカタに言うと、すっかり立ち直ったライオンが手を挙げた。

「ボクは、ハングライダーで飛べるし、マユのストローハットは飛行機になるから大丈夫だお("^▢^")/」

 うんうん(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)♪

 ライオンがフォローしてマユ以外全員がうなづきやがる。

「ああ、飛んできたのは演出です。今の西の魔女は、もうイバラの森のお城にはいません。今はこっちの方です! さあ、参りましょう!」

 ナミカタたちはマユたちを挟むようにしてにぎやかに歩き出しやがった。

 イバラの森の彼方に先代西の魔女のオドロオドロの城が見えた。そっちに向かう道は封鎖されていて、一行は左手に延びる小道に入ったぞ。
 軽自動車がなんとか入れるぐらいの小道だ。楓(かえで)の木が、両側から枝を伸ばしてトンネルのようになっていやがる。

 そのトンネルを抜けて「へ」の字に曲がった道を曲がって緑に囲まれた遺跡みてえな門柱を通ったぞ。

 おお……

 すると、意外に開けた庭に出た。

 庭の真ん中には大きな木がゆったりと立っていて、その周りを囲むように草花や庭木がきれいに並んでやがる。


「あれが、西の魔女のお家です」


 ナミカタが指差した方向には、質素だけど清潔に手入れの行き届いた二階家があったぞ。

「いい感じだなあ……あ?」

 振り返ると、WEST48のみんなは居なくなっていた。

「え……?」

 みんなも、そう思って、もう一度振り返ると、二階家のポーチのところに魔女が立っていやがる。

 褐色の大きな瞳に、半分白くなりかけたブルネットの髪をドラゴンテールにしやがって、いかにも引退した大物魔女の風格だぜ。

 その西の魔女が、アマゾンのトレードマークみてえにニヤリと笑いやがった。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 西の魔女
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!52『めんどくさくてややこしい奴ら!』

2024-11-05 08:50:37 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
52『めんどくさくてややこしい奴ら!』 




 トトが喋った!?


 ブリキマンとかかしは驚いて顔を見交わし、そして眠っているトトに目を落としやがる……。

 授業中、先生の板書を写していて書き間違えたとする。めんどくさいんで、シャーペンでガシャガシャ消したら、横の女子が「さっき消しゴムが喋ってたわよ」って言われた男子みてえだ。

「そりゃ、たぶんマユが小悪魔だから、お話ができたんだ。ペコン」

「マユには特殊な力があるんだなあ」

 かかしと、ブリキマンは勝手に理解しやがった。

「いったい何時間ぐらい眠ってるんだろう……あんまり寝過ぎても、頭がボンヤリするっペコン」

「そうだね、タイマーを見てみよう」

 かかしは、ドロシーのバスケットから写真立てを出したぞ。

「あ、これ、ドロシーが家出したときに持って出たエムおばさんといっしょに写っているやつだな」

「これは、情報端末のタブレットなんだよ。写真は、ただのマチウケ。ドロシーが、ここへ来てからの記録や、予定が出てくるんだ……めったに使わないから、操作の仕方忘れちゃったなあ……」

「ブリキマンは、分からねえのか?」

「わたしは、ブリキで出来ているから触れないんだペコン。タブレットの画面を傷つけてしまうからポコン」

「あ……記録が出てきた」

「どのくらい寝てやがるんだ?」

「いや、べつの記録だよ……やっぱり、オズの魔法使いから『西の魔女』のホウキをとってくるように言われてるね」

「で、何時間寝てるんだペコン!?」

 ブリキマンがせっついた。

「せかせるなよ、こういうの、ボクは弱いんだから……あ、これは」

「「なに!?」」

 マユとブリキマンの声がそろったぜ。

「ドロシーが、ドロシーになるまえの情報みたいだ……ほらぁ」

 画面はバグりかけていたけど、いくつかのことが読み取れた。

「この子、もとは日本人だったんだ……ポコン」

「責任感が強くて……」

「……なにか、使命があったみたいだなペコン」

「ボランティア……読めねえなあ」

「ここに来る前に、大きな手術やってる……中味は……ああ、バグちゃった」

「あ出てきた。ドロシーダイアリー……たいへんだ、もう三日も眠ってるペコポコン!」

「起こさなくちゃ。食事も水も摂ってないよ」

「ドロシー……と、その前にペコン」

 かかしがマユを見やがった。

「なんだよ?」

「言っといたほうがいいよなブリキマン?」

「うん、マユが混乱するといけないからなペコン」

「なんだよ、いってぇ?」

「ドロシーが目覚めたら、マユと話していたことや、ボクたちが、何人ものドロシーの相手をしていたこと……」

「ボクたちには、もともとの姿があったことなんか忘れてしまうからねポコン」

「わたしたちは、このドロシーが起きているうちは、このドロシーのためだけのブリキマンとかかしなんだ。だから、スカタン言うかもしれないけどね」

「……分かった、早くドロシーを起こそうぜ」

「「ドロシー、ドロシー……」」「ドロシー……」「起きやがれ、ドロシー!」「もっとやさしくペコン」「ウ、ごめん」「「「ドロシー……」」」


 それから、五分ほどかけて、やっとドロシーは目を覚ましやがった。


「ああ、よく寝たわぁ……おはようみんな」

「「お、おはよう、ドロシー(^▽^)!」」

 かかしとブリキマンが声をそろえて言った。

 なるほど、二人ともさっきまでと違ってめちゃめちゃ明るい顔になってやがる。

「やだあ、ライオンさんもトトも寝てる……そうかぁ、わたしが眠れないものだから、いろいろ面倒かけたのよね……え、ええと……あなたは?」

 三人の視線がマユに集まった。ちょっとドキドキするぜ(^_^;)

「「キミだれ?」」

 かかしとブリキマンの声が、またそろった。ほんとうにマユのことは忘れたみてえだ(-_-;)。

「あぁ、ええとな……」

 めんどくせえやつらだ(-_-;)!

「ああ、あなた、白雪姫さんのところで見かけた人よね!」

「お、おお。小悪魔のマユっていうんだ。よろしくな!」

「よろしく!」

 グゥゥゥゥ

「あ、ごめん、ちょっと待ってね(^_^;)」

 ドロシーはバスケットから、ミルクやサンドイッチ、おにぎりなんかを取りだし、無心に食べ始めた。そんで、かかしとブリキマンは不思議な顔をしてやがる。こいつら、ほんとうに忘れやがったんだ( ゚Д゚)

「だあからあ……」

 マユは、最初から説明をしなおした。でもよ、途中でライオンのやつが目を覚ましてくれたんで、マユの説明は半分ですんだぜ。って言うか、ライオンは記憶をなくさねえんだ。

 ややこしいやつらだ。


 ドロシーが三日分の食事を終えたころ、声がした。


「じゃ、そろそろ行こうか!」

 声の主は、いつの間にか目を覚ませたトトだったぜ。


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!51『かかしとブリキマン』

2024-11-04 08:55:25 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
51『かかしとブリキマン』 




 最初にもどってきたのは、かかしだったぜ。

「やあ、ドロシー、やっと眠れたんだぁ。トトとライオンも……ところでキミは?」

「ええとなぁ……」

 めんどくせえけど、かいつまんで説明してやったぞ。

「そうだったのか……小悪魔ちゃんに助けてもらうのは久しぶりだなぁ」

 ん?

 この一言にマユは驚いた。こんな目に遭う小悪魔は自分だけだと思っていたからな。

「マユだけじゃねえのか?」

「ああ、久しぶりだけど、初めてじゃないよ……」

 ガシャガシャガシャ

 かかしが大事な話をしそうになったところで、ブリキマンが帰ってきた。

 ブリキマンも驚いてやがったけど、ドロシーとかかしが説明すると、同じように懐かしがりやがる。

「ところで、おめえらはドロシーを眠らせるものを見つけられたのかぁ?」

「アリスの眠りネズミを眠らせるジャムをもらってきたんだけど、人間に効くかどうかはね……」

 シャワシャワ音をさせて懐からジャムを出すかかし。

「わたしは、ゲンコツ山のタヌキさんから、おっぱいをもらってきたペコン。ただ、寝たあとは、ダッコしてオンブしてまた明日になるから、その先の保障は無いって言われたけど……ペコン」

 カチャ

 胸のハッチを開いて哺乳瓶を示すブリキマン。

 二人とも、自分の成果に自信はなさそうだったけど、すでにドロシーが眠ってしまったので安心したようだったぜ。

「さっき、マユのこと初めてじゃないって言ってたけど……どういうことだ?」

「あ……覚えていたんだね。心ないことを言ってしまったペコン」

 ブリキマンは、ボコボコと心の入っていない胸をたたいた。

「ボクは、脳みそがないから、考えも無しに余計なことを言ってしまった」

 シャワ

 かかしは、そう言って首を振る。その勢いで、頭のワラが少し飛び散った。

「心も考えも無しに言ってしまったことだけど、ここまで言ったんだ、マユには話を聞いてもらったほうがいいかもしれないなあ……」

 ワラをかき集めながら、かかしが言う。

「ハァァ……今度のドロシーは少し変わっているからなあ……ペコン」

 かかしの頭にワラを詰めるのを手伝いながらブリキマンが、ため息混じりに言う。

「今度のドロシー?……どういう意味だぁ?」

「ここに来る子は、みんなドロシーなんだ」

「そうなんだ。ある日竜巻に飛ばされて家ごと降ってきては、東の魔女を死なせて、オズのところへ行っては、西の魔女のホウキを取ってこいと言われ……ペコン」

「いったんは魔女に捕まって、ボクたちが助けて、最後はドロシーが魔女に水をかけてやっつける……」

「で、オズの魔法使いから、ご褒美をもらって……ペコン」

「ドロシーはオズの気球に乗り損ねるんだよな?」

「そう、北の魔女のブリンダが、こう言うんだペコン」

「靴のかかとを三回鳴らして、こう願いなさい」

「「「やっぱりお家がいちばん」」」

 この台詞は揃ってしまって笑ってしまったぞ(^▽^)。

「そういうドロシーが何人もいるわけなのか?」

「ああ、このドロシーで2012人目」

「わたしは、1953人目ペコン」

「……なんで、ブリキマンの方が少ないんだ?」

「そりゃあ、ボクのほうが先輩だからさ」

 かかしが自嘲的に言いやがる。

「ボクたちは、時期が来ると交代するんだ。ここで眠ってるライオンは今回が初めてだから、そのへんの事情はよく分からないだろうけどね」

「え……意味分からねえぞ」

「ここはね、世界中の女の子……って、みんながみんな、そういうわけじゃないけどね」

「せっぱつまった女の子が、自分探しにやってくるところなんだよペコン」

「で、ボクたち三人は、その手助けをするために、交代でここに飛ばされてくるんだ」

「わたしはブリキマン。彼はかかし。この寝てるのがライオンとしてね……ペコン」

「じゃ、おめえたち、元々は……?」

「「それは……ナイショ」」

 二人が声をそろえて言った。

「じゃ、トトは?」

「トトは、ただの犬さ」

「ただの犬?」

「ああ、ただの犬ペコン」

「……でも、さっき喋ったぞ」

「トトが喋った!?」

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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!50『ポピー畑のドロシー』

2024-11-03 09:14:04 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
50『ポピー畑のドロシー』 




 
「はやくはやく、こっちだお!」


 着陸するとポピー畑に隠れて見えなくなっちまったけど、ライオンは分かっているみてえで、どんどん走ってマユたちを手招きしやがる。

 そいつは、白地に水色のギンガムチェックにフンワリ半袖のワンピースのツィンテールで、ポピー畑の中で眠ってやがった。

「ドロシー、やっと眠ることができたんだねぇ」

 ライオンは、優しく、そいつの髪をなでやがる。

「こいつ、会ったことがあるぞ」

「ええ!」

 ピョン! ドシン!

 気弱なライオンは、1メートルほど飛び上がって驚きやがる。その振動で、半径2メートルほどのポピーがなぎ倒されたぞ。

「マユシー、ドロシーのこと知ってるの( ゚Д゚)!?」

「白雪姫の庭で会った……そう言えば『ライオンさんを探してる』って言ってたぞ」

「それ、ボクのことだお  。゚(゚´Д`゚)゚。 」

「……でもなあ、この子が探してたのは、勇気を誇りにしているライオンさんだって言ってたぞ」

「ボクは、ドロシーの前では勇気あるライオンで通しているんだお……そうか、ドローシーはボクのことを探してくれていたんだお! 感激だお! ガオーー!」

 泣きながら吼えるライオンて始めて見たぞ(;'∀')。

「あの……」

「な、なんだいマユシー……?」

「こいつのことドロシーって呼んでるけど……こいつ、やっぱり『オズの魔法使い』のドロシーなのか?」

「そ、そうだよ。カンザスからオズの国に家ごと飛ばされて……竜巻でね、そいで、家が東の魔女の真上に落ちて、魔女を殺しちゃったんだお。むろん事故だお。でもでも妹の西の魔女が恨んじゃって……あ、ドロシーが、東の魔女の靴を履いちゃったせいもあるんだけどね。それは、魔女をやっつけたものが受け継いで自動的に履くことになっていたから、ドロシーのせいじゃないんだお」

「知ってるよ。ドロシーはカンザスに帰りたかっただけなんだよな」

「そうだお、そしてオズの魔法使いに頼みに行ったんだお。ほら、あのエメラルドの都まで」

 ポピー畑の向こうに、キラキラ輝くエメラルドの都が見えたぞ。

「……ということは、これからオズの魔法使いに会いにいくところなんだな?」

「もう、オズの魔法使いには会ったお。そしてオズの魔法使いに『西の魔女のホウキを取ってきたら、望みを叶えてやる』って言われてきたところなんだお」

「待てよ……ドロシーがポピー畑で眠っちまうのは、エメラルドの都に行く前に西の魔女の魔法にかけられたからのはずだぞ。それに、かかしとブリキマンがいっしょのはず。それと、犬のトトもいるんじゃねえのか?」

「ドロシーは眠れないんだお……( ノД`)シクシク…」

 ライオンは、またひとしきり泣きやがる。

「えぇと、話が見えてこねえんだけどよ」

「確かに、このポピー畑には、西の魔女の魔法がかかっていて、ボクやトトは眠ってしまったけど、ドロシーは眠らなかったお。かかしとブリキマンは脳みそと心がないから眠りようもないんだけどね。でも、ドロシーは眠らないんだ。一見元気そうに見えるけど、このオズの国に来てから一睡もしていないお。エメラルドの都を出てから心配になってきたんだ。この眠らない元気さは異常だって」

 思い出した、白雪姫のところで会ったドロシー……あの元気さは変だ。

「そう言えば、ちょっと元気すぎる感じがしたなあ」

「エメラルドの都でドクターに診てもらったら重度の不眠症だって……で、睡眠薬や催眠術を試してもらったんだけどね、ちっとも効き目がなくて。ドロシーは『構わないから、先に行こう!』って言うし。それでボクたちは、ドロシーを寝かせるために三人で手分けして、ドロシーを眠らせる方法を探しに行ったんだお。まだ、かかしとブリキマンは戻ってきていないみたいだけど……そうか、そうなんだ! ボクたちの帰りが遅いもんで、ドロシーの方から、ボクたちを探しに行って……そして、探し疲れて、ここで……やっと眠ったんだお」

「それは……ちょっと違う……」

 ポピー畑から、ひどく疲れた声がした。

 振り返ると……誰もいねえ。

「ここだよ……ここ……」

 弱々しく声が続いた。

「だれだ……?」

「足もとを見ろよ……」

「足もとぉ?」

 足もとを見ると、ドロシーの飼い犬のトトが、うなじを垂れてお座り……というより気絶寸前だったぜ!

「トト、口がきけるのかお!?」

 ライオンが驚いた。

「ライオンが喋るんだ、犬だってしゃべるよ……」

「こいつは?」

「小悪魔のマユだ、覚えとけ」
 
「あ……悪魔!?」

「おお」

「ギャーーーーーーーーーーーー!!」

 ライオンは、一気に50メートルほど逃げてしまいやがった。

「あ……」

 マユはあっけにとられた。

「あのバカ……(-_-;)」

 トトは、いっそううなだれた。

 三十分ほど説明して、ようやく小悪魔がこわいものでないことを理解させたけど。マユは少し後悔したぞ。落第の話をしたところでライオンのやつゲラゲラ笑いやがる。

「アハハハハ(˃᷄〇˂᷅ ) マユシー落第したのかお! アハハハハ(˃᷄ꇴ˂᷅ ) マユシー面白いお! アハハハハ(˃᷄▢˂᷅ )」

「ああ、もう、おまえら助けるの止めよぉかなあ……」

「いやあ、メンゴメンゴ」

「だって、時間もなあ……」

 わざとらしく時計を見る。リアル時間で5時間、まだいいか。

「で、話はもどるけど、トト、おまえはなんでそんなにくたびれてやがるんだ?」

 トトは、あぐらをかいて腕組みをした。ひどくオヤジに見えたけど失礼だと思って、笑うのをこらえてやったぞ。

「おまえたちが帰ってくるのが遅いから、ボクが見かねてやったんだよ」

「どうやって?」

「羊を数えてごらんて、ドロシーに言ったんだ」

「そんなことで、ドロシーは眠れたのかぁ?」

「ボクだったら、羊が怖くて、できないけどな」

「ドロシーはやったよ。でも100匹ぐらい数えると、いろいろ考えることが頭に浮かんで、ダメになる……そこで、仕方なくボクがやったんだ」

「おまえが羊を数えたのか?」

「羊になったんだ。ドロシーの周りをグルグル回って、目の前に来たときに数えさせたんだ……で、9999匹目でやっと……おかげで、もうクタクタ。左回りに回ったもんだから、左脚が少し短くなったかも」

「そうか……そこまで、ドロシーのために……」

 ライオンが、また泣きやがる。

「もう泣くなぁ、でかいナリして」

 そうして、ライオンは泣き疲れて、トトはもともと疲れてやがったんで、ドロシーといっしょに眠っちまいやがった。

「しかたねえなあ……」

 マユは、三人が目覚めるのを一人で待つことにした。


 ま、そのうちかかしもブリキマンも戻ってきやがるだろうしな……。


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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!49『そいつは弱虫ライオン』

2024-11-02 08:22:46 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
49『そいつは弱虫ライオン』 




 ライオンが口をきいた……( ゚Д゚)!?


「キャー、ライオン( >◇<)!」「ウワアアアアアア( >▢<)!」

 ミファが驚くとライオンも驚いて「く」の字の奥の方へ逃げていってしまいやがった!

「大丈夫だってぇ! この子たちは、おまえを助けに来てくれたんだよー」

「ほ、ほんと……( ºωº ; ) ?」

「ほんと」

「ほんとに、ほんと……( º▭º ; ) ?」

「ほんとに、ほんと……だってば!!」

「ウワー(>▢<)……怒鳴らないでお」

 ライオンは、おそるおそる「く」の字の角から顔を出しやがった。

「「「ああ~~( ̄Д ̄;) 」」」

 そろってため息が出ちまった。

 大谷翔平が着ぐるみ着たみてえにガタイはいいんだけど、目も耳もヘタレてるし、短けえ脚は内股だし、右手の親指を口に咥えてやがって。『情けねえ』をテーマにしたコスプレなら一等賞間違いなしって姿だぜぇ。

 もうほっといて帰るしかねえ。こんなのに関わったら、こっちまで情けねえ病に罹っちまう。

 そう思ったら、ミファのやつが一歩前に出やがった!

「わたし、このジョルジュの友だちのミファ……」

 し、仕方ねえ(-_-;)

「マユ……二人の友だちのマユだ」

「ど……どうも、ボク、ライオン。ごめんね、悪いね、情けないライオンで」

「でも、なんで、そんなに元気が無いのよ?」

 ミファは偉ぇよ(^_^;)。

「ど、どうも……ボク頭はいいんだけど、勇気が無くてぇ」

「入り口に、あんな仕掛けしたの、おまえか?」

 ジョルジュが、あきれたように聞いた。

「ああ、うん、えと、奥の方に別の出口があってね、入り口を塞いで、侵入者が驚いているうちに逃げだそうと思って」

「そうとうの怖がりんぼね」

「サンチャゴのライオンとは、かなり違うなあ」

「え、ボクの他にライオンがいるの( ゚Д゚)?」

「あ、おじいちゃんの夢の中にね」

「うらやましいねぇ、夢がみられるほど眠れて……」

「眠れないの、ライオンさん?」

「う、うん、いろいろ心配やら、怖いことが、頭に浮かんできて……」

「羊の数でも数えればいいんじゃね」

「だめだよ!」

「なんでだ!?」

「だって羊が怖いんだもん」

 ああ~~(-△-;)

「ジョルジュ、おめえ、なんでこんなライオンに関わったんだあ(¬_¬) 」

「だって、最初に会ったときは、こんなじゃなかったんだもん」

「あのときは、ハングライダーで降りてきたばかりで、テンションが高かったんだお」

「ハングライダーでやって来たの?」

「うん、たたんで奥の方に隠してあるお」

「で、いってぇ、どういうわけでここに来たんだあ?」
 
 肝心なことを聞いた。

「レミが、ここへ来るように教えてくれたんだお」

「レミがぁ……?」

 悪い予感がしたぞ。そもそもレミは、このファンタジーの世界のゴタゴタにマユを巻き込んだ張本人だからな。

「レミが、ここに来れば、助けてくれる魔法使いがいるって言ったお」

「魔法使いって……」

「北の魔女のブリンダより優しくって、オズの魔法使い……ほど強くはないけど、力になってくれる女の魔法使いがいるって」

 ジョルジュとミファが、ゆっくりとマユの顔を見た。

「それって、ひょっとしてマユのことじゃないのか……?」

「ちょ、指すんじゃねえよ!」

「ちょ、ジョルジュ」

「おお、きみが力になってくれる魔法使い!?」

「ち、違ぇよ!」

「そうだ、レミからプロフ送ってもらってたんだお!」

 腹のポケットからスマホを出しやがる。

「おまえ、ライオンだろ! なんで腹にポケットがあるんだ!」

「母方のお祖母ちゃんがカンガルーだった(^_^;)」

「ふざけんな!」

「ふざけてないよ、ほら、ほらほら、この写真マユだよマユシーだお」

「「あ、ほんとだ!」」

 ミファとジョルジュが正直すぎる反応をしやがって、今度は、ストローハットを飛行機にして空を飛ぶことになっちまった!



「ありがとう、マユシー! やっぱり、レミが言った通り、いい魔法使いだ」

「魔法使いじゃねえし」

「じゃ、魔法少女! 魔法少女マユシー! かっこいい、きまりだお!」

「魔法少女なんかじゃねえ!」

「やさぐれ魔法少女マユシー!」

「やさぐれてねえ!」

「二つ名はカッコいいお」

「いらねえ!」 

 いらんことばっかり言って、なんの用事かは、ライオンは言ってくれなかった。

「来てくれれば分かるお」

 その一言で行く……ほど、マユは、お人好しではない。

「いいかげんに……」という言葉が口をついて、「しやがれ!」という、残り半分の言葉が頭に浮かんだとたん、久々にカチューシャに頭を締めつけられちまった。

 やがて、ストローハットの飛行機は黄色い道を見つけ、その道に沿って、低く飛んだ。

 そして、ポピー畑の真ん中で眠っている女の子を見つけたぞ。

「どこかで、見たような……」

 そう思いながら、マユは、飛行機を、ポピー畑の側の黄色い道に着陸させた。

 


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 狼男
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
コメント
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