ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

マゼール&ウィーンフィル チャイコフスキー交響曲第1番「冬の日の幻想」

2006-05-24 | CDの試聴記
最近、お天気の神様は少々ご立腹気味です。
でも、あんなに急に雷雨にしなくてもいいのに・・・。
おかげで、バスが大幅に遅れて大変でした。

こんなときは気分を変えて、若々しい晴れやかな音楽を聴きたい!
そういえば、明日はラザレフ率いる読響の定期演奏会の日。
曲目はチャイコフスキーの1番、3番。
そこで取り出したディスクは、予習もかねて第1番「冬の日の幻想」です。
演奏はマゼール指揮のウィーンフィル盤。

<曲目>
■チャイコフスキー 交響曲第1番ト短調 作品13 「冬の日の幻想」
<演奏>
■ロリン・マゼール指揮
■ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
<録音>1964年

          

一聴してわかりますが、まだ30代だったマゼールは本当に意欲十分。
オケがベルリンフィルやシカゴ響あたりであれば、このマゼールの強い表現意欲が、きっとそのままストレートに音楽として表れたことでしょう。
しかし、今回のディスクのパートナーは何と言ってもウィーンフィル。
出来上がった音楽は、ウィーンフィルのフィルターをとおして聴こえるというよりも、まったく別の化合物?ができたという感じです。
そして、その化合物がなんとも魅力的!

第1楽章冒頭のフルートとファゴットで奏されるフレーズを聴くと、私は「あー、懐かしい」といつも想ってしまうのです。きれいとか美しいというよりも、「懐かしさ」を感じるのはなぜだろう。
加えて、このマゼール盤で聴く音楽の伸びやかさ、瑞々しさは、格別なものがあります。
管楽器も絶妙の美しさですが、弦楽セクション、とりわけチェロ・コントラバスの何と見事なこと!
たとえば、練習番号Uの手前(9分30秒くらいのところ)でチェロ・コンバスがいったんppに落とし、徐々に緊張感を高めて駆け上がっていく箇所があります。ここでマゼールとウィーンフィルは、このppは音を小さくすることではなく、背を丸めて次の飛躍に備えてじっとエネルギーを蓄えているんだということを、肌で感じさせてくれます。もうぞくぞくするような素敵な表現です。

第2楽章は、ウィーンフィルの魅力が全開。どんなフレーズでも「ああ、きれい!」と感じさせてくれます。とりわけ管楽器が絶品。練習番号F(7分10秒くらい)のウィンナホルンのffのフレーズは、何度聴いても鳥肌がたちます。

第3楽章、第4楽章は、正直なところ最初の2つの楽章ほどの魅力は感じないのですが、やはりチェロ・コンバスの弾力を持った素晴らしいサウンドと表現力には大いに惹きつけられました。ややネガティブな書き方をしましたが、これは最初の2つの楽章があまりに素晴らしかったからに他なりません。

試しにアバド盤、スベトラーノフ盤もダイジェストで聴いてみましたが、私はこのマゼール&ウィーンフィル盤が最も好きです。
また、最後に録音についてひとこと。
今から40年以上前の録音ですが、さすがに黄金時代のデッカの録音ですね。
素晴らしい音です。生々しいし音楽的だし・・・。

演奏、録音ともに絶対のお薦めです。
コメント (6)
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