ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

芥川也寸志 交響管弦楽のための音楽

2005-08-30 | CDの試聴記
今週は、少し遅めですが夏休みをもらっています。
昨日から、水上温泉近くの上牧(かみもく)温泉というところに行ってきました。泊まったのは、ゆったりした立派な造りの旅館で、日に最大2組しか予約をとりません。昨日はたまたま他の客がなかったので、何と贅沢なことに事実上貸しきりということになりました。
料理は美味しいし、温泉は貸切状態ですからいつでも入れるし、女将さんをはじめとする家族的で気持ちのいい接客と相まって、もうこれ以上ない贅沢を味わわせてもらいました。しかもお値段はきわめてリーゾナブルなんです。
夕食時には、「てんからもん」という鹿児島の芋焼酎をいただきましたが、これがまた美味しいんです。焼酎好きの私には堪えられない一日になりました。

素晴らしい料理、酒、温泉、ときたら、次は素敵な音楽ですよね。
こんなとき重宝するのが、愛用のipod + B&Oのイヤホンという黄金のコンビです。聴きたいCD・気になっているCDをipodに詰め込んでいきました。
今日とりあげた芥川也寸志の管弦楽作品集以外に、トリスタンとイゾルデ(デ・ワールト指揮によるオーケストラ編曲版)、パルシファル(同)、マティスの歌ったシューマンの「女の愛と生涯」等、たっぷり素晴らしい音楽を堪能することができました。
それらについては後日感想を書きたいと思います。

<曲目>
芥川也寸志(作曲)
交響管絃楽のための音楽 (1950)
絃楽のための三楽章-トリプティーク (1953)
交響曲 第1番 (1955)
エローラ交響曲 (1957/8)
<演奏>
芥川也寸志(指揮)
新交響楽団
(1986年11月30日 ライブ録音)

今日とりあげた「交響管絃楽のための音楽」は、1950年のNHK放送開始25周年管弦楽作品懸賞で、團伊玖磨さんの交響曲第1番とともに特賞を獲得した作品で、芥川也寸志さんの事実上の出世作といわれています。
曲は2楽章構成で演奏時間も10分足らずの曲ですが、若々しく活力に満ちた素晴らしい作品だと思います。
第1楽章はアンダンティーノ。バルトークの管弦楽のためのディベルティメントを思わせるような雰囲気で始まりますが、中間部の哀愁を帯びた旋律が印象に残ります。
第2楽章はアレグロ。シンバルの一撃のあとトロンボーンによって奏でられる明るいリズミックな旋律が第1楽章と見事な対比を作ります。思わず口ずさみたくなるような変拍子の明るいメロディです。このあたりのいい意味での人懐っこさが、その後映画音楽の世界でも名曲を数多く生み出した芥川さんの真骨頂でしょう。
この曲がアメリカで200回以上も演奏されたという事実も、芥川さんの魅力をよく物語っていると思います。

このCDに含まれている他の曲についても、いずれも若き日の芥川さんの作品ですが、どの曲もそれぞれ独自の魅力をもった作品ばかりです。
とりわけ、私は「絃楽のための三楽章-トリプティーク 」に惹かれました。
「交響管絃楽のための音楽」と比べ、一層緊張感をもった緻密な作品です。
第2楽章で楽器を叩かせたり、第3楽章で祭りのリズムを絶妙に再現したりしていて、聴くものの心を捉えて離しません。

それから、最後に演奏者についてひとこと。
指揮者は他でもない芥川さん自身ですが、オーケストラは新交響楽団です。
このオーケストラはプロではありませんが、素晴らしく迫力をもった熱い演奏を繰り広げています。きっと芥川さんの厳しい練習がベースにあるとは思いますが、マエストロを尊敬する気持ちがこのような素晴らしい演奏を成し遂げたのでしょう。この「交響管絃楽のための音楽」については、ナクソス盤の沼尻竜典&都響の演奏も聴きましたが、私は芥川さんの自作自演の演奏のほうが好きです。
この活力に満ちた曲を、よりストレートに表現していると感じたからです。

武満徹さんや吉松隆さんの曲は昔から好きで、今までも多く聴いてきましたが、他の日本人作曲家の曲についても、これから積極的に聴いていきたいと思います。
コメント (6)
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