ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

花巻温泉と宮沢賢治

2009-03-03 | その他
思い立って、先週花巻へ行ってきました。
お目当ては、もちろん温泉です。
「露天風呂につかりながら、雪見酒・・・」なんて夢のようなことを考えながら、新幹線に乗って一路新花巻へ。

新花巻駅に着くと、駅前に宮澤賢治の石碑がありました。
この石碑、人が近づくとチェロが歌い出すのです。
曲はトロイメライ。
「セロ弾きのゴーシュ」のイメージなんですね。
みなさまに音を聴いていただけないのが、何とも残念!
今も昔も、宮澤賢治は花巻の宝だと痛感しました。
こうなると、何をさしおいても、まずは宮澤賢治記念館へ行かねばなりますまい。
歩いても行ける距離のようですが、お腹もすいたことだし、軟弱にもタクシーで記念館へ。(汗)


記念館のすぐ横にあるレストラン「山猫軒」に入って、まずは腹ごしらえです。
うん?山猫軒?
そう、あの「注文の多いレストラン」に登場するお店です。
どんなお店だろうと思いながら中へ入ると、そこはもう宮澤賢治の童話の世界。
そしてメニューをみると、冷麺がおいしそう・・・
だけど、私の場合うっかり食べると命にかかわるのです。
なぜって?
冷麺は冷麺でも、「そば冷麺」だったのです。
実は、私、知る人ぞ知る極度の「そばアレルギー」でして、大袈裟ではなく過去に何度か死にかけたことがあるのです。
「「そば粉」がどんな形で料理に入っているかわからないので、冷麺はもとより、山猫軒名物「特製すいとんセット」等も万が一のことがあるといけないので、泣く泣く諦めました。
(ウィーンへ旅行したときに、ガイドブックに、「そば団子入りのスープ」が美味しい田舎料理として紹介されていて、その時以来恐怖心が抜けないのです(泣)・・・)
その「特製すいとんセット」をためらいなく注文する妻を横目で睨みながら、私は迷ったあげく絶対安全(と思われる)カツカレーにしました。
しかし、この白金豚を使ったカツカレーが美味しくて、思わずにんまり。
この実在した「山猫軒」、おすすめですよ。

さて、童話の世界に浸りながら、腹ごしらえができたところで、記念館へ。
実によく考えてレイアウトされた館内で、これなら前知識のない人でも宮沢賢治の人となりを理解することができるでしょう。
「○○の天才!」ということではなく、37年という短い生涯の中で、とにかくすべてのことに対して、ひたむきに全力で走りきった人間のすがすがしさのようなものを私は強く感じました。
宮沢賢治は多くのジャンルで才能を発揮した人でしたが、私にとって最も親近感を感じるのは、やはり彼が熱心な音楽愛好家であったこと。
とくにベートーヴェンの「田園」が好きだったようですが、戦火を免れた彼の愛聴盤(SP)が館内に展示されており、よくみると、プフィッツナー指揮のベルリンシュターツカペレのポリドール盤でした。
すぐ隣には「未完成」のSPがありましたが、こちらはクレンペラー指揮の同じくベルリンシュターツカペレ盤。
何か、時空を越えて音楽が聞えてきそうな感じがして、しばし時間を忘れてその場に立ちつづけていました。
館内をくまなく見た後は、ラウンジで珈琲を飲みましたが、これがまた美味しかった。
なんだか心の中が洗われるような、素敵な時間を過ごさせてもらいました。

その後、花巻温泉「游泉 志だて」へ。
落ち着いた雰囲気の大人のホテルで、温泉も料理も掛け値なしに二重丸でした。
写真は部屋の露天風呂から眺めた風景ですが、静寂の中にきこえる川のせせらぎの音、澄んだ空気、「ああ日本人でよかった、日本に住んでいて良かった」と実感させてくれます。
そして、夕食前に大浴場の露天風呂にのんびり浸かっていると、雪がちらちら降ってきました。
この風情を何と例えればいいのでしょうか。
冒頭「夢のような・・・」と書いたことが、早くも半分実現したのです。
一方、雪見酒のうち「お酒」については、夕食時にプレミアムモルツ、シャンパーニュ、吟醸酒と、まさにフルコースで堪能させてもらいましたから、私の夢はこれで完全に実現したことになりますね。

ゆったりと流れる時間。
柔らかさをもった癒しの温泉。
最高の料理とお酒。
笑顔が素敵な従業員の人たち。
もう、最高の贅沢を味わわせてもらいました。

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2 コメント

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Unknown (リベラ33)
2009-03-04 22:09:42
宮沢賢治というとずいぶん前の人のように感じますが、クレンペラーを聴いていたというとなんだか同時代人とまではいかないながらも、案外親近感を覚えますねぇ。
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>リベラ33さま (romani)
2009-03-05 08:32:49
おはようございます。

ほんとですね。
二人の存命期間を考えると、おそらく1920年代の録音だと思いますが、宮沢賢治とはまったくキャラクターの異なるクレンペラーの音楽を、彼が好んで聴いていたというのは、驚きでした。

>同時代人とまではいかないながらも、案外親近感を覚えますねぇ。
まったく同感です。
宮沢賢治も、もう少し長命であれば、いろいろなディスクにもめぐり合えて、また違った音楽観を持てたでしょうね。ピュアで人並みはずれた感性を持っていた人だけに、とても残念な気がします。
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