一昨日、仕事を終えてから、仲間4人で餃子を食べに行きました。
安くて美味しい餃子を食べさせてくれる店で、満員のことも多いのですが、この日は先発隊の3人が上手く席を確保してくれていました。
私一人が一時間ほど遅れていったのですが、もう3人はすっかり「ご機嫌さん」状態。
何とか3人にテンションをあわせようと必死でピッチを上げて、ようやく追いついたと思ったら、もう11時過ぎです。
そこでお開きになりました。
さあ帰ろうと思って駅への階段を降りかけたら、一番若い後輩に「もう一軒付き合って下さい」とせがまれ、ようやく私のテンションも上がってきたところだったので、「じゃあ、いくか」ということで2人で二次会へ。
案内してくれた店は、静かな雰囲気の洋酒の店でした。
大好きなモエのシャンパンを注文し、雑談を始めたところで、その後輩から、
「オペラによく行かれていると聞きましたが、オペラってどこが一番の魅力ですか」
と思いがけない質問を受けてしまいました。
その後輩と言うのは、根っからのスポーツマン。
普段の雰囲気からは、クラシックやオペラに関心があるとはまったく想像できないタイプだったので、いささか面食らいました。
でも、真面目な顔で聞いてくるので、真剣に答えなきゃと思ったものの、考えてみると恐ろしく難しい問題です。
しばらく考えて、シャンパンの力も借りつつ、私は次のように答えました。
「歌・音楽・芝居という全ての要素が入った芸術であることが一番なんだろうけど、私の場合は『非日常の世界』に浸れるところかな。
たとえば、どんなに大変なトラブルシューティングをしている最中であっても、また明日まったく気の進まない商談があったとしても、オペラを観ている間だけは、誰にも邪魔されない自分だけの世界に浸れるから・・・」と。
後輩は、大きく頷きながら聞いていましたが、もうひとつ質問が来ました。
「何か分かるような気がします。でもクラシック音楽をほとんど知らない自分のような人間でも分かるようなオペラはありますか?」
これまた難問。
しばし考えて、答えました。
「もし最初に観るなら、ヴェルディの『椿姫』がいいんじゃないか。
(『椿姫』のあらすじと聴き所を簡単に説明した後)
難しく考えなくていいと思う。
頭を空っぽにして、ヴィオレッタのファンになればいい。
根っからの悪人が出てこないのに、何でヴィオレッタはこんな運命に翻弄されなくちゃいけないんだと怒ればいい。
ああ、ヴィオレッタを抱きしめてあげたい・・・って涙すればいいじゃないか」と。
私にしては、いつになく饒舌に熱っぽく話してしまいました。
モエのシャンパンのせいかなあ。(笑)
後輩は、いよいよ興味を持ったようで、
「今度オペラに行くときに、是非一緒に連れて行ってください。値段は高くてもいいです。」と言われてしまいました。
男2人でオペラというのもいささか色気のない話ですが、まあオペラ好きがひとり増えてくれるなら、それもまた良しとしますか・・・。
話の成り行きからは、やっぱり『椿姫』にしないといけないんだろうなぁ。
9月のチューリッヒオペラがすぐに思い浮かびましたが、まあもう少し考えてみましょう。
『椿姫』といえば、昨年お正月にハイビジョンで放映していたザルツブルクのネトレプコ主演の舞台や、NHKホールで実際に観たメトの舞台(こちらはフレミング主演でした)も素晴らしかったけど、やはりビデオで観たゲオルギューにとどめを刺します。
ゲオルギューの声そのものは、しなやかというよりはやや固めの声だと思うのですが、このヴィオレッタの舞台姿の何と美しいこと。
まさにヴェルディのイメージしたヴィオレッタが歌ってる。悲しみをじっとこらえて密やかに泣いている。
指揮をしていたショルティが、あまりの素晴らしさに涙したという逸話が残っていますが、さもありなんです。
アルフレード役のことはほとんど印象に残っていないのですが、ジェルモン役のヌッチも素晴らしかった。
この舞台が映像として残っていて、本当によかった。
永遠に不滅のディスクだと思います。
ヴェルディ:歌劇《椿姫》
<出演>
■ヴィオレッタ…アンジェラ・ゲオルギュー
■アルフレード…フランク・ロパード
■ジェルモン…レオ・ヌッチ(バリトン)ほか
<演奏>
■指 揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
■管弦楽:コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
■合 唱:同合唱団
<録画>
■1994年12月 コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ(ライヴ収録)
安くて美味しい餃子を食べさせてくれる店で、満員のことも多いのですが、この日は先発隊の3人が上手く席を確保してくれていました。
私一人が一時間ほど遅れていったのですが、もう3人はすっかり「ご機嫌さん」状態。
何とか3人にテンションをあわせようと必死でピッチを上げて、ようやく追いついたと思ったら、もう11時過ぎです。
そこでお開きになりました。
さあ帰ろうと思って駅への階段を降りかけたら、一番若い後輩に「もう一軒付き合って下さい」とせがまれ、ようやく私のテンションも上がってきたところだったので、「じゃあ、いくか」ということで2人で二次会へ。
案内してくれた店は、静かな雰囲気の洋酒の店でした。
大好きなモエのシャンパンを注文し、雑談を始めたところで、その後輩から、
「オペラによく行かれていると聞きましたが、オペラってどこが一番の魅力ですか」
と思いがけない質問を受けてしまいました。
その後輩と言うのは、根っからのスポーツマン。
普段の雰囲気からは、クラシックやオペラに関心があるとはまったく想像できないタイプだったので、いささか面食らいました。
でも、真面目な顔で聞いてくるので、真剣に答えなきゃと思ったものの、考えてみると恐ろしく難しい問題です。
しばらく考えて、シャンパンの力も借りつつ、私は次のように答えました。
「歌・音楽・芝居という全ての要素が入った芸術であることが一番なんだろうけど、私の場合は『非日常の世界』に浸れるところかな。
たとえば、どんなに大変なトラブルシューティングをしている最中であっても、また明日まったく気の進まない商談があったとしても、オペラを観ている間だけは、誰にも邪魔されない自分だけの世界に浸れるから・・・」と。
後輩は、大きく頷きながら聞いていましたが、もうひとつ質問が来ました。
「何か分かるような気がします。でもクラシック音楽をほとんど知らない自分のような人間でも分かるようなオペラはありますか?」
これまた難問。
しばし考えて、答えました。
「もし最初に観るなら、ヴェルディの『椿姫』がいいんじゃないか。
(『椿姫』のあらすじと聴き所を簡単に説明した後)
難しく考えなくていいと思う。
頭を空っぽにして、ヴィオレッタのファンになればいい。
根っからの悪人が出てこないのに、何でヴィオレッタはこんな運命に翻弄されなくちゃいけないんだと怒ればいい。
ああ、ヴィオレッタを抱きしめてあげたい・・・って涙すればいいじゃないか」と。
私にしては、いつになく饒舌に熱っぽく話してしまいました。
モエのシャンパンのせいかなあ。(笑)
後輩は、いよいよ興味を持ったようで、
「今度オペラに行くときに、是非一緒に連れて行ってください。値段は高くてもいいです。」と言われてしまいました。
男2人でオペラというのもいささか色気のない話ですが、まあオペラ好きがひとり増えてくれるなら、それもまた良しとしますか・・・。
話の成り行きからは、やっぱり『椿姫』にしないといけないんだろうなぁ。
9月のチューリッヒオペラがすぐに思い浮かびましたが、まあもう少し考えてみましょう。
『椿姫』といえば、昨年お正月にハイビジョンで放映していたザルツブルクのネトレプコ主演の舞台や、NHKホールで実際に観たメトの舞台(こちらはフレミング主演でした)も素晴らしかったけど、やはりビデオで観たゲオルギューにとどめを刺します。
ゲオルギューの声そのものは、しなやかというよりはやや固めの声だと思うのですが、このヴィオレッタの舞台姿の何と美しいこと。
まさにヴェルディのイメージしたヴィオレッタが歌ってる。悲しみをじっとこらえて密やかに泣いている。
指揮をしていたショルティが、あまりの素晴らしさに涙したという逸話が残っていますが、さもありなんです。
アルフレード役のことはほとんど印象に残っていないのですが、ジェルモン役のヌッチも素晴らしかった。
この舞台が映像として残っていて、本当によかった。
永遠に不滅のディスクだと思います。
ヴェルディ:歌劇《椿姫》
<出演>
■ヴィオレッタ…アンジェラ・ゲオルギュー
■アルフレード…フランク・ロパード
■ジェルモン…レオ・ヌッチ(バリトン)ほか
<演奏>
■指 揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
■管弦楽:コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
■合 唱:同合唱団
<録画>
■1994年12月 コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ(ライヴ収録)
そういう会話には、私も参加したいですね。
>ああ、ヴィオレッタを抱きしめてあげたい・・・
女性の立場からすると「抱きしめられたい・・・」でしょうか。(笑)
オペラの魅力を一言で言えば、やはり「愛」ですね。
「椿姫」は誰もが盛り上がる「乾杯」もありお勧めですが、「フィガロの結婚」もなかなかユーモラスな部分もありよいです。
オペラに限らず幅広くクラシック音楽の魅力を訊かれたら、私の場合は世の中のいやなことでこころが泥にまみれても、音楽を聴けばきれいになることでしょうか。
生きていく元気がわいてきます。そして人生を楽しむ余裕も。
そのスポーツマンの若者に一言。
どんなにアタマがきれて仕事ができても、教養のない方は尊敬されません。また教養は一朝一夕にして身につくものでもありません。
是非、男ふたりでオペラを楽しんでください!
いつもありがとうございます。
>「オペラに連れて行って欲しい」と男性に言われるのは、思わずニヤリとしますが・・
たしかに・・・。
普通に考えるとそうですよね(笑)
でも、あまりにもマジな顔で言われたものですから、真剣にアドバイスしました。
でも最初に観るステージは、本当に大事だと思いますので、十分選んで連れていってあげたいと思います。
>ゲオルギュー :たいそう舞台映えのする人だそうで、映画女優にしたい・・・
まさに、その通りだと思います。
昔メトが来日して、カルメンをやったときに、彼女はミカエラ役で出演していましたが、主役のマイヤーを食ってしまっているようなところもありました。
近くでみても、大変な美人でしたよ。
やはりゲオルギューは舞台で映える人だと思います。
いつもありがとうございます。
>オペラの魅力を一言で言えば、やはり「愛」ですね。
なるほど。そのとおりですね。
その愛情の表現をどうするか、これは作曲家にも演出家にも、また指揮者や歌手にも課せられた最大のテーマだと思います。
ストレートに表現される時も、屈折した表現のときも、あるいは悪意に捻じ曲げられたときのように不幸な方向に表現される時も、その表現に真摯さがあれば、いずれの場合も聴き手は自分のことに置き換えて、必死になるのではないでしょうか。
私なんかは、幕がしまるころには、力が入りすぎているんでしょうね、いつもがくっと疲れた自分をみて愕然としてしまいます。(笑)
>・・・教養のない方は尊敬されません。また教養は一朝一夕にして身につくものでもありません。
自戒の念もこめて、まったく同感です。
この後輩は本当に真摯なヤツで、実はあるお客さんからオペラの話を聞かされたらしいのです。
それで興味をもったらしいのですが、身近な私の話も是非一度聞いておきたいということで、この二次会になったようです。
スポーツマンの若者がオペラの話もできる、オペラを楽しめるなんて、悔しいけどお洒落ですよね。
でも、そうなってくれたら、先輩としてもこんなに嬉しいことはありません。
そう願っています。
お薦めがゲオルギューさんの椿姫、同感です
TBもいただきありがとうございました。
この日の飲みは、我ながら凄いピッチ。
一次会終了後はテンションも高く絶好調だったのですが、2時間後につけがきてしまいました・・・。(笑)
>お薦めがゲオルギューさんの椿姫、同感です・・
ありがとうございます。この日後輩に「椿姫」の話をしたときに、まっさきに思い浮かべたのがこの公演でした。
ゲオルギューにとっても、一世一代の最高の舞台だったような気もします。
ありがとうございました。