ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

漆原啓子 ヴァイオリンリサイタル vol.6

2007-11-27 | コンサートの感想
日曜日の「ばらの騎士」の感想をまだ書けないでいる私ですが、その余韻が冷めやらぬまま、今日は漆原啓子さんのヴァイオリンを聴きに行きました。
とても、気持ちのいいコンサートでしたので、とりあえず、そちらを先にエントリーすることにしました。

漆原啓子さんは今年デビュー25周年を迎え、バッハの無伴奏を含む連続コンサートを行なってきましたが、今日がその最終回(第6回)にあたります。
この日最初に組まれたバッハの無伴奏は、有名なシャコンヌを含むパルティータ第2番。

最初は少し緊張気味でしたが、すぐにいつもの漆原さんのヴァイオリンに戻ります。
小気味良いテンポで奏されたジーグが、とても気持ちよかったなぁ。
そして、お待ちかねのシャコンヌ。
漆原さんのシャコンヌは、十分な緊張感をもって響くのだけど、神経質な部分がないので安心して音楽に浸ることができます。
音色も温かく、人を幸せにしてくれるヴァイオリンですね。
軽井沢音楽祭で聴いたときにも、同じ印象をもちました。
とくに中間部でニ長調に転じた後、再びニ短調に戻る箇所の柔らかさ、そしてカンパネラを経てエンディングに導く緊張感が素晴らしかった。
たとえが良くないかもしれませんが、レイチェル・ポッジャーのシャコンヌがデジタルハイビジョンの音楽だとすると、漆原さんのシャコンヌはアナログLPの世界。
少し高めの温度感が、私の心を癒してくれました。

前半の2曲目は、同じバッハでもがらりと趣向を変えて、「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」。
広田さんのオーボエも、喜びに満ちた表情でこの幸福な曲を吹いてくれたので、ホールの雰囲気は一気に弾けました。

そして、後半は「四季」の全曲演奏。
モダン楽器を使った懐かしい響きの「四季」でしたが、その伸び伸びとした演奏は、本当に聴いていて楽しかった。
徐々に「冬」に近づいてくるというのも、いかにも今の季節を反映してよかったのではないでしょうか。
N響の首席コンビ(チェロの藤森さんとコントラバスの吉田さん)の低音パートは、最後まで抜群の安定感で音楽を支えていたし、曽根さんのチェンバロはとにかくリズム感のよさとセンスが光ります。
今日のバックを受け持った「門下生室内合奏団」は、漆原さんの生徒さんの選抜メンバーだそうですが、美女ぞろいで、演奏もこれまた実に清々しいものでした。

聴きおわって感じたのは、「漆原啓子と仲間たち」ではなく、演奏者全員が漆原さんのファンなのです。
だからこそ、こんなアットホームなコンサートになるんですよね。
聴衆も含めて、みんな最高の笑顔でコンサートは終わりました。
だから、今日はブラヴォー!ではなく、グラッツィエ!です。(笑)

<日時>2007年11月27日(火)19:00開演
<会場>白寿ホール  
<曲目>
■バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調 BWV.1004
■バッハ:ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調 BWV.1060
■ヴィヴァルディ:和声と創造の試み Op.8より「四季」
(アンコール)
■ヴィヴァルディ:調和の霊感 op.8-10
■アルビノーニ:2台のオーボエのための協奏曲
<演奏>
■漆原啓子(ヴァイオリン)
■広田智之(オーボエ)
■藤森亮一(チェロ)
■吉田 秀(コントラバス)
■曽根麻矢子(チェンバロ) 
■門下生室内合奏団



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2 コメント

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啓子さん (calaf)
2007-11-28 20:52:40
こんばんは。バッハのヴァイオリンソナタのCDに今回romaniさんが聴きに行かれたリサイタルの案内が挿入されていました。デビューしてもう25年になるのですね。>アナログ録音とたとえられている通り、小林道夫さんとのバッハにヴァイオリンソナタの音は、本当に芳醇でした。無伴奏もいつか聴きたいです。
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>calafさま (romani)
2007-11-29 00:21:28
こんばんは。

いつもありがとうございます。
このコンサート、なんと最前列で聴いていたのです。
緊張感を持ちながらも、終始温かい雰囲気が伝わってくる素敵なコンサートでした。

>デビューしてもう25年になるのですね
同感です。でも彼女はいつまでもチャーミングですね。高校生の息子さんがいらっしゃるようには、とても見えません。

>小林道夫さんとのバッハのヴァイオリンソナタの音は、本当に芳醇でした
このCD、私も是非聴いてみたいと思います。彼女も小林さんに相当影響を受けたようなことを、たしかレコ芸に書いていましたよね。
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