不世出の名バリトンであるフィッシャー=ディースカウが、なんとハイドンを振ったディスクを見つけました。
指揮者としてデビューしたときの録音だそうです。
前半は、ベルリンフィルの首席チェリストであったベッチャーをソリストに迎えて、チェロ協奏曲の第1番。
後半は、最後のシンフォニーである「ロンドン」交響曲というプログラムでした。
<曲目>
ハイドン作曲
■チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.Ⅶb/1
■交響曲第104番ニ長調「ロンドン」 Hob.Ⅰ/104
<演奏>
■ディトリヒ フィッシャー=ディースカウ(指揮)
■ヴォルフガング ベッチャー (チェロ)
■カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク
<録音>1973年10月19日 ザルツブルク
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/1f/513c4851cc72e6f1f54d7f7b6430f2fe.jpg)
まず、チェロ・コンチェルト。
第1楽章冒頭から、瑞々しいオーケストラの響きに耳を奪われます。
ベッチャーのチェロは、実に豊かに美しく歌うのですが、どんな場合も細部まで気配りされていて、やりすぎることはありません。
フィッシャー=ディースカウとの息もぴったり。まずは理想的なハイドンです。
第2楽章の叙情的な表情も出色。いつの間に近づいてきたんだろうと思わせるくらい、本当にひそやかに始まる独奏チェロ。いったん姿がみえてくると、ベッチャーは何とも朗々と美しい歌を聴かせてくれます。ほんといい曲ですねえ。
第3楽章は、一転してこれぞアレグロ・モルトという実に快適なテンポ。私が大好きなヨー・ヨー・マの快演とはまた違って、フレーズのひとつひとつに味があります。
いい意味での職人気質が感じられて思わずにっこり。
フィッシャー=ディースカウの真摯さと、ベッチャーの手堅くかつ柔軟性に富んだチェロが、意外なほどマッチしています。
この素敵なコンチェルトに比べると、「ロンドン」はやや厳しさに欠けるような気もします。
しかし、ここでもフィッシャー=ディースカウの温かく真剣なアプローチは、いやおうなく聴き手に感動を与えてくれます。
決して音楽を煽ることなく、音楽に語らせようとする彼の姿勢、私は大好きです。
そして、カメラータ・アカデミカ・ザルツブルクも、熱のこもった素晴らしい演奏でフィッシャー=ディースカウの期待に見事に応えています。
また一枚、素敵なハイドンのアルバムに出合うことができました。
指揮者としてデビューしたときの録音だそうです。
前半は、ベルリンフィルの首席チェリストであったベッチャーをソリストに迎えて、チェロ協奏曲の第1番。
後半は、最後のシンフォニーである「ロンドン」交響曲というプログラムでした。
<曲目>
ハイドン作曲
■チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.Ⅶb/1
■交響曲第104番ニ長調「ロンドン」 Hob.Ⅰ/104
<演奏>
■ディトリヒ フィッシャー=ディースカウ(指揮)
■ヴォルフガング ベッチャー (チェロ)
■カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク
<録音>1973年10月19日 ザルツブルク
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/1f/513c4851cc72e6f1f54d7f7b6430f2fe.jpg)
まず、チェロ・コンチェルト。
第1楽章冒頭から、瑞々しいオーケストラの響きに耳を奪われます。
ベッチャーのチェロは、実に豊かに美しく歌うのですが、どんな場合も細部まで気配りされていて、やりすぎることはありません。
フィッシャー=ディースカウとの息もぴったり。まずは理想的なハイドンです。
第2楽章の叙情的な表情も出色。いつの間に近づいてきたんだろうと思わせるくらい、本当にひそやかに始まる独奏チェロ。いったん姿がみえてくると、ベッチャーは何とも朗々と美しい歌を聴かせてくれます。ほんといい曲ですねえ。
第3楽章は、一転してこれぞアレグロ・モルトという実に快適なテンポ。私が大好きなヨー・ヨー・マの快演とはまた違って、フレーズのひとつひとつに味があります。
いい意味での職人気質が感じられて思わずにっこり。
フィッシャー=ディースカウの真摯さと、ベッチャーの手堅くかつ柔軟性に富んだチェロが、意外なほどマッチしています。
この素敵なコンチェルトに比べると、「ロンドン」はやや厳しさに欠けるような気もします。
しかし、ここでもフィッシャー=ディースカウの温かく真剣なアプローチは、いやおうなく聴き手に感動を与えてくれます。
決して音楽を煽ることなく、音楽に語らせようとする彼の姿勢、私は大好きです。
そして、カメラータ・アカデミカ・ザルツブルクも、熱のこもった素晴らしい演奏でフィッシャー=ディースカウの期待に見事に応えています。
また一枚、素敵なハイドンのアルバムに出合うことができました。
オケでチェロパートを演奏するという、低弦を支える役目は、ソロ一筋のチェリスト、とは対極にいるかもしれません。
私は、「オケ出身のチェロ」がなんとも心地良く思います。
ベッチャ-、スコチッチ・・・。音楽の空間が広いように思います。
このハイドン、是非聴きたいです。
ありがとうございます。
「オケ出身のチェロ」のお話、まったく同感です。
共通するのは、音楽の隅々まで気持ちが行き届いていることでしょうか。
でも考えてみれば、シュタルケルもライナー時代のシカゴのトップでしたし、リン・ハーレルもセル時代のクリーブランドのトップだったんですよね。
やっぱりオケの経験は音楽そのものに影響を与えているように感じます。
示唆に富んだコメント、ありがとうございます。
シュタルケルやハレルもオーケストラのトップで弾いていたのですか。
なお、ハイドンのハ長調はロストロポーヴィチ/ブリテンとイギリス室内管弦楽団の盤を持っていますが、殆ど聞いていないので聴いてみます。
いつもありがとうございます。
この演奏を聴いて、フィッシャー=ディースカウは、やっぱり真面目な人だなあという感を強くしました。
ユーモアをもったハイドンも勿論素晴らしいのですが、このディスクのように正攻法のアプローチもとても良いです。
ベッチャーのチェロも、独特の味があって大いに気に入りました。少し追っかけてみたいと思います。
先日はありがとうございました。
後半の会話もとっても楽しかったですよ。(笑)
また寄らせていただきますね。
フィッシャー=ディースカウの指揮は、歌うときと同じ印象を持ちました。
彼のヴォルフの管弦楽曲集、とても興味あります。
また探してみます。
ご返信が遅くなり申し訳ありません。
先日亡くなったシュヴァルツコップと同じように、フィッシャー・ディースカウの歌は、どんなジャンルの音楽でも、知的で繊細でもう本当に素晴らしいですよね。
もっと聴きたかったなあ。
指揮者としてはあまり成功しなかったようですが、真摯な音楽への取り組みには、やはり感銘を受けました。
いつもありがとうございます。