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ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ラヴェル 「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」

2008-02-15 | CDの試聴記
ラヴェルの室内楽といえば、皆様はどんな曲を連想されますか。
あの独創性に富んだヴァイオリンソナタ?それとも同じヴァイオリンならツィガーヌですか?
詩情豊かなピアノトリオも素晴らしいし、弦楽四重奏曲だって同ジャンル中屈指の名曲で、絶対忘れちゃいけない。
つまり、いずれをとっても粒ぞろいの名品ぞろいなのです。
そんな中で、唯一私が苦手にしていたのが、この「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」でした。

初めてこの曲を聴いたときは、ふざけてると思いました。
もっと言うと、「聴き手を馬鹿にしてる」と。
しかし、そうなんです。
最初からハーモニーだとか、調和がとれた曲なんだとか思うからいけない。
この曲、極論すると、それぞれが気ままに思い思いのフレーズを弾き、リズムを刻んでいるんです。
それでいて、お互いふと気づくと、微妙にうまく絡んでる。
それで、しばらくは合わせてる。しかし、まためいめいが好きな方向に走り出す。
しかし、最後まで決してばらばらにはならない。
ある法則のもとで、何とか崩れずに絶妙にバランスしている。
そんな感じなんです。

そこまで割り切って聴くと、この曲の面白さが分かってきます。
とりわけ第2楽章が面白い。
二人の奏者は役者になりきって大真面目に、しかも余裕綽綽でやってもらわないといけません。
そして、ときたま顔を上げてにやっと笑ってから、再び大真面目な表情で弾き切ってほしいのです。

私が聴いた範囲で最もイメージに近かったのが、このジャリ&トゥルニュ盤。
これは素晴らしい。
力まないということが、どれほど大切か教えてくれます。
真摯な演奏なんだけど、決して力まないので、音楽そのものが独りで語りだすのです。
今は輸入盤でしか入手出来ないようですが、他のカップリングも名曲名演ぞろいで、私のイチオシです。

<演奏>
ジェラール・ジャリ(Vn)
ミシェル・トゥルニュ(Vc)
<録音>1971年2月


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5 コメント

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はじめまして (kju96)
2008-02-17 01:41:37
こんばんわ
ラヴェルの「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」を
仕事に使おうとインターネットで調べていたら・・・ETUDEさんのブログにたどり着きました。
美味しいお酒と薫り高き珈琲、そして音楽。
共鳴できるな~と思いながらコメントを書きました。
ラヴェルのこの曲は「日本の古都や琵琶」そんな感じも
連想できるので・・一風変わったラヴェルも楽しいと
思います。
その内、ラヴェルの記事も書きたいと思っておりましたのでタイムリーでした。
その他の記事も拝読、音楽は楽しいですね。
有り難うございました。
返信する
>kju96さま (romani)
2008-02-17 21:26:41
こんばんは。

ようこそおいでくださいました。
最近、私の場合、何故かラヴェルを聴くことが多いです。
本文にも書きましたが、大好きなラヴェルの中で、少しだけ縁遠かったのがこの曲なのですが、ある日突然開眼しました。(笑)

>ラヴェルのこの曲は「日本の古都や琵琶」そんな感じも連想できるので・・・
なるほど・・・。まさに至言ですね。幽玄という言葉が相応しいかもしれません。
今から、もう一度聴きなおしたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
Unknown (朱雀門)
2008-02-19 16:29:42

ヤフー検索で ブログを選んで 1番はじめの
「どんどん相談うちあけてください」
が俺のブログですのでよかったら見てください
返信する
Unknown (ユリアヌス)
2008-03-09 22:04:30
こんばんは。このCDも購入して聴きました。二枚組のさながらラヴェルの室内楽名演集といった趣。当ソナタはこのディスクで初めて聴いたのですが、ちょっと異色な感じはしました。例えは適切でないかもしれませんが、モーツァルトの音楽の冗談みたいな…多分、実演で聴くともっと面白いかもしれません。このディスク、他の曲も名演揃いで、約1500円とお得なCDですね。
返信する
>ユリアヌスさま (romani)
2008-03-10 23:47:58
こんばんは。

コメントありがとうございます。
ユリアヌスさまもこのディスクを気に入ってくださったようで、何かとても嬉しいです。

>他の曲も名演揃いで、約1500円とお得なCDですね。
ほんと、そう思います。
パレナン四重奏団の弦楽四重奏曲がやはり格別の魅力を放っていますし、歌曲も◎、そして他の曲もそれぞれに素敵だと思います。

こんなディスクが、なぜ国内盤で出ないんでしょうね?
それはともかくとして、ラヴェルの室内楽の魅力をあますところなく伝えてくれるこのディスク、これからも大切に聴き続けると思います。

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