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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

来た!観た!「紅型の人」 そして、「On Your Marks」へ

2021-04-21 01:38:26 | アート

 一週間ほど、やや不調の日が続いたが、昨日、ラウル・カストロの死に触発されて割合長めの文章を書くことができたのと、新しく学び、確認したいことも出てきたので、県図書館へでかけた。

         

 天候も良かったので、このまま本のなかに埋もれるのもと思い、車を駐車場に置いて、隣の県美術館を散策。
 今年はここで、二月に「ロートレックとその時代」展を観ていて、ロートレックはもちろん、その同時代や周辺、とくにルドンの作品を多く観ることができて満足したのだが、今はそうした企画展はお休みだ。ただし、この二四日からは、「素材転生―Beyond the Material」という企画展が六月まで行われるようで、覗いてみたいと思っている。

            
 で、現在だが、その貸しスペースで、「第六五回岐阜水彩展」が行われているのを見つけた。入場は無料だったし、ある、もしやという期待があったので、入ってみることにした。総数一八〇点ぐらいの豪勢な展示だが、今日が初日のせいか数名の入りという寂しさだった。
 しかし、そのせいで密もなく、ゆっくり観ることができた。

            

 一口に水彩といっても、その幅は実に広い。デッサンの上にさっと色を乗せた淡白なものから、一見油彩を思わせる濃厚なもの、抽象画からコラージュ風のもの、それぞれが異なっていて飽きが来ない。
 ゆっくり観て回って、後半に差し掛かった頃だろうか、あったのだ、私が密かに期待した人の作品があったのだ。

 作者は津田正夫氏、私も参加している同人誌の仲間で、今は、「美濃の自由民権を訪ねて」と題して、この地方の自由民権運動の歴史を書き綴っている。
 その津田氏が水彩をたしなまれることは知っていて、過去二度ほどそのお作を拝見したことはあるが、いずれも、所属される会の発表会のような小規模な展示においてだった。

            

 で、津田氏の作品だが、タイトルは「紅型の人」という婦人像である。
 この読みは「べにがた」ではなく「びんがた」で、琉球独特の色合いと模様の型式をもった織物、またはそれでしつらえた着物である。紅型には絢爛豪華なものもあるようだが、これはまあまあシックな方といえる。手にしているのは琉球によくみられるモンステラの葉と思われる。

            

 表情の明るさ、上に向けられた視線、それらは、今なお続く琉球処分ともいわれる状況に屈することなく明日の明るみを求め続けるものだろうか。
 この絵をじっと観てると、作者の一途な真面目さと優しさがにじみ出ているように思える。そして、素人の評価でなんの権威もないのだが、以前に観た作品より確実にうまくなっていると思う。

 付近にあった、「優秀賞」などの札を引っぺり返して、津田さん作品のもとに貼り付けてやろうと思ったが、器物損壊に問われるのを恐れてやめにした。

            

 津田さんの作品に勇気をもらって、図書館の方に移動。これまでのグジュグジュした読書スタイルを改めるべく、七冊の書を借りる。二〇日間に全部は読めないが、そのうちの何冊かは、今書いている文章の参考資料として部分的に参照すればよいもの。

 さあ、読むぞ、書くぞ。「On Your Marks(オン・ユア・マークス)」だ!

コメント (4)
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