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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

大飯原発の再稼働に反対いたします。

2012-04-09 04:06:31 | 社会評論
       

 野田内閣は大飯原発再稼働に関し、4閣僚による関係閣僚会議を行い、慎重かつ熟慮を重ねてその安全基準を検討すると明言しました。
 そしてその二日後には実質上の再稼働ゴーサインともいえる安全基準を採択し、近々、枝野を現地に派遣し地元の了承を取り付けるといっています。

 多忙な4人がたった2日間でどのような熟慮を重ねたのでしょうか?
 その討議の過程は公表されていません(議事録がないのが彼らのやり口)ので詳細はわかりませんが、そんな熟慮などはまったく行われず、「はじめに再稼働ありき」をただただ追認しただけであることは火を見るより明らかです

 フクシマの具体的かつ最終的な検証もまだ終わっていません。それどころか未だ当事者がどんな状況にあるのかもつかめていないのが実情です。昨年末の常温停止の政府宣言も嘘っぱちであったことは今なお原子炉の温度の度々の異常上昇が見られることで明らかです。
 放射能も垂れ流し状態で、大気は無論、海水、地下水、土壌などへの汚染も続いています。昨日も、愛知県の幼稚園の給食用の椎茸から基準値をはるかに越える放射能が測定されたばかりです。

 政府に安全を具申したのはあの悪名高き経産省原子力安全・保安院で原発を客観的に見ようとする学者や有識者をあらかじめ排除した原子力ムラの下請けでイエスマンの集まりにほかなりません。
 これらの決定は、まるでフクシマがなかったかのようなのです。そしてフクシマで繰り返された「絶対安全」の神話がまたしても幅を効かせようとしているのです。

 冒頭に述べたように、これで関西電力の作業工程表が出されれば、枝野が地元の説得に出かけるわけですが、ここにも大きな問題があります。
 現行の規定では、地元の県知事と市町村長が了承すれば再稼働ということになるのですが、福井県知事というのは福井県にもんじゅやふげんを含めると15基もの原発を導入した賛成派の人脈に連なる人物です。
 そしてまたおおい町の町長は、関西電力におんぶにだっこの下請け企業の会長格なのです。
 この人達が住民や近辺の立場に立って客観的判断ができるとは到底思えません

       

 この「地元」という限定がクセモノなのです。
 大飯原発は小浜湾に突き出た半島の先っぽにあります。その立地条件からして、もう何年も前に原発はいらないとしてそれを拒否した小浜市民の実に70%をその10キロ圏内に抱え込んでしまっているのです。これが「地元」おおい町の住民よりはるかに多い数字であることは言うまでもありません。

 そればかりではありません。地図で確認していただくとお分かりのように福井県の嶺南は南北に狭いところです。したがって、大飯原発から30キロの圏内には隣接する滋賀県や京都府が含まれてしまうのです。
 大飯での事故の被害はさらに広域化する恐れがあります
 
 岐阜県のNPOが先月行った福井県の原発地帯の海岸から200個の風船を飛ばした実験では、約二時間で岐阜の西濃地方、続いて中濃地方、そして東濃地方にも落下が確認されました。さらには愛知県でも何個かが確認されました。
 これらは山林に墜ちず人の目に触れたものだけですから、ほとんどすべてが途中の滋賀県にもそして岐阜県や愛知県にも至ることが確認されたわけです。
 なお、風向きによっては養老山脈沿いに三重県に至ることも十分考えられるとのことです。

 これらは決して被害妄想や風評ではありません。
 フクシマの経験が明らかなように、茨木や千葉、東京や神奈川など関東一円に放射能のホットスポットが存在し、その地区の農産物が出荷できない情況にあるのです。
 また、たとえ低量の放射能であってもその時間の経過による累積放射能の人体に与える影響は間違いなく障害をもたらすと思われます。
 プルトニュウムをコップに一杯ぐらい飲んでも影響はないというご高説をお述べになる東大教授がいらっしゃいますが、よいこの皆さんは決して真似をしてはいけません

 これらの事実が示すのは、もはや原発に地元はないということです
 したがって、枝野と地元(福井県・おおい町)の談合で再稼働を決めるような問題ではないのです。

       

 関西電力が、今夏電力不足に陥るという宣伝がまことしやかに流されています。確かに関西電力の原発依存度は高いのですが、それも彼らの得意な台詞を使えば「自己責任」ともいえます。
 ただし、それによる危機を回避する方法はいくらもあります。原発依存度が低い中部電力は今夏のピーク時でも、十数%の余力があるということですし、九州電力にも余裕が有りそうですから、そちらから融通をしてもらい、あとは管轄内での節電をすれば十分乗り越えられるのです。
 ここで危機感を煽る彼らのやり方はまさに汚いという他はありません。

 政官財、それに御用学者がつるんだ何が何でも原発という野蛮なエネルギー政策をこの辺で断ち切らねばなりません。その廃棄物は子々孫々にまで溜まる一方で、クリーンどころか蛸が足を食うようなエネルギーなのです。
 また、小金を生産性の低い地方に対してばら撒き、その金に依存せざるを得ない体質にしておいてから危険を押し付けるというやり口はもろに差別の構造を示しています。

 民主党であろうが何党であろうが、原発再開を強行する内閣にははっきりと「ノー」を突きつけ倒閣運動をすべきだと思います

 なお、これに関連する件を前回の記事にも書きました。
  あわせてご覧下さい。

コメント (2)
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