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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

成人の日に・・・いまなお残る元服式

2011-01-10 16:38:57 | 想い出を掘り起こす
 前回の成人式と元服の続きのような話ですが、旧・徳山村に伝わる成人式=元服式の話をしましょう。
 なぜ元服式かというと、この儀式に臨む若者たちは、昔ながらの15歳の男女(中学3年生)なのです。

  この儀式、実はわが家から北西に当たる揖斐川上流の徳山村に代々伝わってきたものですが、残念ながらもうその徳山村は存在しません。
 日本有数の巨大ダム、徳山ダムの完成により全村が水没してしまったからです。

  このダム、当初の予定がめまぐるしく変わり、4,000億近くをかけて完成はみたものの、未だその用途が確定せず、時折「観光放水」などという馬鹿げたショウをおこなっているのですが、今回、またまた何千億かの金をかけて、せっかくためた水だから木曽川や長良川へ流しましょうという生態系も何も無視した土建屋行政の尻ぬぐいが企画されています。それについてはいろいろ述べてきましたので今回はこれに留めます。

     
 
  さて、それなのになぜその伝統的な儀式だけが残ったかと言いますと、水没により追い出された元の住民たちは、岐阜市やお隣の本巣市、北方町などなどに移住したのですが、せめてかつての村の風習、文化を残したいと、毎年、旧住民の子孫のうち15歳となった人を対象にこの儀式を行っているからです。

  その詳細を、今日のNHKニュースはこの様に伝えています。

  「今から20年余り前、ダムの建設のため無くなった岐阜県の旧徳山村に伝わる伝統の元服式が、岐阜県本巣市で行われ、村民の子孫にあたる中学3年生たちが、 大人としての門出を祝いました。昭和62年に徳山ダムの建設のため無くなった旧徳山村では古くから、15歳の子どもが大人としての門出を祝う元服式が行わ れてきて今は、村民が移り住んだ本巣市の神社でこの行事が続けられています。10日は、旧徳山村の住民の子や孫にあたる5人の中学3年生の男女が、はかま 姿で参加しました。宮司が祝詞をあげ、くしで髪を整える「理髪の儀」と、男子の頭にえぼし、女子に冠をかぶせる「加冠の儀」が行われました。最後にみこが 舞いを披露して元服を祝いました。」

          

  参加者は年々減少してるようで、昨年は10人を数えたものの、今年の参加者は5人のみです。淋しいですね。
 もっとも一つの村を根こそぎもいであちこちへ分散させてしまったのですから仕方ないでしょうね。

  元服式を終えた女の子が、「これから受験勉強です」と答えていたのがとてもかわいらしかった。

ちなみに、私はもちろん旧村民ではありませんが、徳山村へはアマゴや岩魚を求めてしばしば行ったことがあります。
 時間の流れを異にするような静かな集落のたたずまいを今でも思い起こすことが出来ます。
 最近はじめた同人誌の先達に、旧徳山村の住人で、それについての著書もあるOさんがいらっしゃるのも何かの縁だと考えています。


服式の写真は「岐阜新聞」、「中日新聞」などによる。
 徳山の現状は六の写真。

コメント (2)
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