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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

アタス

2011-05-14 23:43:06 | 朝ドラマ

『おひさま』13日(金)はまさかの(まさかかよ)タケオ(柄本時生さん)大活躍。

…と言ってもちょっと時間稼いだだけだけど。タケオ家と須藤家って、どれくらいの距離感なのか、夜半、玄関先で言い合い小競り合いがあった程度で、タケオ家の耳に飛び込む程度の近さなのかわかりませんが、「おじさん、どうしただ!?」と駆けつけてきて、相馬(平泉成さん)のお付きの若い衆に組みついて陽子パパ良一さん(寺脇康文さん)を解放させると「お父さん、早く(須藤家の中の)陽子を!」と、ドサクサにまぎれて婿気分。まあ、お手柄はお手柄ですが、良一パパが「わかった!……ってオレはキミのお父さんじゃないぞ!」Uターンノリツッコミするんじゃないかと気が気じゃなかった。

 “奇襲”上京する育子(満島ひかりさん)が乗る最終列車が出るまでは心の中で一緒に見送りたいと訪れた真知子(マイコさん)は、父が最も嫌うパーマネントをあて、「これが私の独立宣言なの」と、陽子(井上真央さん)とともにお便所に立てこもり。「あの人(=生まれたときからの許婚)とは結婚したくありません、いいえ、結婚しません」「お父さまの言いなりはイヤ、自分の人生は自分で決めたい、私にも気持ちはあるんです」

そんな真知子と「一緒に戦いたかった」「一緒にいたかった」と必死にトイレの扉を押さえる陽子。こうして思い出して書いててもつい脱力笑いになるくらい見事に他愛無いのですが、家出上京という、昭和14年当時の地方の女学生にとっては死地に赴くに匹敵する大冒険に、親友のひとりが敢えて身を投じたことで、音叉が共鳴するように異様なテンションにひととき嵌まっている2人。青春のほんの一時期に、限られた狭い友人関係の間にだけなぜか訪れる、剥き出しの共感性が映し出されていて、他愛無い他愛ないと思いながらつい手に妙な汗かきながら見守ってしまいました。ある種の少女漫画でときどき切り取られる、こういう恥ずかしイタい感覚が、男性の脚本家(=岡田惠和さん)の手で描かれるのはちょっと驚きです。

社会的には、女性の幸せがひたすら“良家に嫁ぐ”しか無いと思われていた時代。傲慢で威圧的な安曇野の帝王・相馬も、自分の財力をかさに着たところはあるけれど、本当に真摯に、あの時代の父親としてひとり娘の真知子に幸せへのレールを敷いてやりたい、敷いてやっているつもりなのかもしれない。良一さんを若い衆に押さえつけさせておいて須藤家に上がり込みしなも「失礼する」と自分で靴を揃えたり(“靴”に関する小さなこだわりの散りばめもこの脚本の不思議なところです)、ここだなと目星をつけたトイレ前で、若い衆に「やれ」とフライパンを渡したり餅つく杵を渡したり、真知子をついに引きずり出し連れ帰る際にも「壊した所は弁償してやる!」と言い捨てたり、旧弊ながらも妙に義理堅いところも見えました。

最近ではNHK地デジPRミニドラマ『いちごとせんべい』の綾さん(松下奈緒さん)パパのイメージが強い平泉さんが扮しているからかもしれないし、そもそも観ているほうに“戦前の農村大地主なら、戦後は農地改革で没落するから威張っていられるのもいまのうちだけ”という知識があるので、いくら傲慢に振る舞っていてもどこかツッコみどころというか、哀愁や、可笑し味がにじみ出る。

連れ戻された早々、決意のパーマネントも伸ばされて、拒否した許婚と結局婚約させられ新聞の経済面に写真が載っていた真知子さんでしたが、今週お見合いシーンで初めて顔出しがあった許婚・中西さんは『牡丹と薔薇』で唯一の常識人キャラ=牡丹弟役だった萬雅之さん。ってことはなんか、それほど不幸な結婚にならないような気もする。神戸の資産家で欧州に鉄道事業の視察に行くということは、阪急電鉄グループとかそのへんのローカル財閥をイメージしているのかしら。

13日にはドラマ終了後の815から、ヒロインの井上真央さんが『あさイチ』プレミアムトークゲストイン。女学生時代を収録してから何ヶ月も経っていると思われ、それこそパーマヘアでいま風の井上さんでした。

名(めい)子役で鳴らした井上さんですが、特に幼くして芸ごとにひいでたお子さんだったというわけではなく、むしろおとなしく籠もりがちで「ネクラなほう」だったそうで、あまりにおとなしいので心配したお母さんが子役劇団を勧めたとのこと。劇団でのセリフ言いや発声のレッスンは「苦手でした」と正直。8歳のとき『藏』で共演した檀ふみさんが女優先輩としてのリスペクトをこめて振り返っておられたように「よく言う、“天才子役”さんっぽい感じではなかった」ところが、むしろ子役年齢を過ぎてから伸びしろがあった、まさに理由でしょう。

醸し出す雰囲気が24歳という実年齢以上に落ち着いておられる。ちょうどこのプレミアムトークの数日前、2007年のSPドラマ『花いくさ』再放送で京都祗園の、伝説の芸妓を演じる20歳の井上さんをちょっと見かけたのですが、今作『おひさま』で、むしろ女学生役最適年齢からは遠ざかっているにもかかわらず、20歳時よりずっと肩の力が抜けてまろやかにナチュラルになっているのがわかる。

子役から長じて大人の役で使える、活きる俳優さんは実はかなり少ない。もうすでにじゅうぶん成功と言える井上さん、いま見て取れる以上に、女優としてゆっくり大きな晩成型のような気がします。真知子役マイコさんからの暴露トークもあったように、“隠れ天然”さんなのもその証しかもしれません。

何より、“現行放送中の朝ドラヒロイン”として同局の生放送トーク番組、それも、自分が主役で出ずっぱったドラマ本編と連続の時間帯に単独ゲスト来演という、ホット中のホットな立ち位置なのに、井上さん、非常に微妙にテンションが低いんですよ。じゅうぶん若いし、過密な収録は続いているのだろうに肌にも張りはあるし、キラキラしていなくはないんだけど、なんか一歩引いてMCチームや、進行の動きを「ふーん」「なるほど」と眺めているような表情をする。

ある意味老成しているとも言えますが、“朝ドラヒロインはあくまで通過点”という感じ。『おひさま』後、この人はもっともっと大きな作品の大きな役が、黙っていても回ってくるでしょう。ゆえにちょっと“一期一会感”“好ましい儚さ”に欠けるのが、ヒロインとしての“陽子”のツラいところでしょうか。

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話の流れからいって

2011-05-12 20:30:53 | 朝ドラマ

『おひさま』のタケオくん役・柄本時生さんは、熟年タケオが犬塚弘さんと知って、犬塚さんの芝居を見て、取り入れて繋げた、なんてことはないでしょうかね。

昨日(10日)放送回でのセリフ言いや、背丈を持て余すようなカクカクした立ち格好がとっても犬塚さんっぽかった。陽子(井上真央さん)が自転車で去った後の「お父さん頼まれてもなあ…」は、まんま犬塚さんの熟年タケオが、若尾文子さんの熟年陽子の背中を見送って、何か言いそびれついでに漏らしてもいい感じでした。

劇中のひとりのキャラの、ビフォーとアフターを俳優さん2人で“繋げる”と言えば、特撮ヒーローの変身前と変身後があります。

変身前の素顔俳優がド新人か準新人さんであることが多いのに対し、変身後のマスクドアクションを担当するスーツアクターさんは、劇団やスクールで素顔演技の基本の後、さらに空手、剣戟など体技の修練を積んだ、たいていこの道10年以上の大先輩。どんなヒーローか、変身前はどんな設定、どんな職業経歴で、どんなタイプの人物か、変身後はどんなファイトスタイルかなどPや監督さんと、ともにもちろん入念な打ち合わせを行ないますが、経験の少ない新人さんが現場でいっぱいいっぱいで演った芝居の、いっぱいいっぱいゆえに満開で出てしまう手足の運びや首の角度などの個人的なクセを、マスクとスーツつけたアクションの中に先輩は見事に取り込んで見せ、新人さんを一発で魅了し感嘆させるそうです。「この人と2人で、ひとりのキャラクターを演じられるなんて幸せ」「最終話まで絶対ついて行こう」と、多くは初主役の新人さん、テンションがいやが上にも上がり、話数が深まるごとに、未熟だった素顔演技も上達、いい表情をするようになり、1作終わる頃には結果的に「スーアクさんに育ててもらった」と充実裡に打ち上げを迎え乾杯できることになるわけです。

2003年俳優デビューの時生さんに対し、犬塚さんは芸能歴も演技歴も“祖父”級の大大先輩ですが、ともに、役作り考えて練って練ってというタイプではなく、どちらかというと“地で行く”というか、“地を出して味となす”タイプだと思います。監督さんがイメージして指導して引き出して行く部分も大きいでしょうけれど、若いほうの時生さんが、大先輩の犬塚さんをリスペクトして「オレが成長したらこの人になるのか、ヨシッ」とアンテナ全開で吸収していってたら面白い。

出番少ないけど。特に熟年タケオ、略して熟タケ犬塚さんは、数少ない出番でもれなく斉藤由貴さんのスピッツ的テンションにからまれなければならないのだろうからタイヘンです。昭和のタケオ、略して昭タケ時生さんが頑張って、タケオのキャラ立てと好感度アップに貢献すれば、熟タケの出番も増えるかもしれない(…しかし略することに意味はあったのか)。

ドラマの本筋は平板ですが、興味は持てますね。ふた昔ぐらい前のNHK朝ドラならば、満島ひかりさん演じる、親の反対を押し切って東京での就職口を見つけ、幼い弟妹たちに心を残しながら家出する育子がヒロインに設定されたのではないでしょうか。

さらにふた昔前なら、成績優秀品行方正で友情にあつい優等生ながら、初恋のときめきと親友の勇気ある行動に触れて覚醒、富豪の親の決めた結婚を拒否することから自分の人生を模索して行く令嬢真知子(マイコさん)がヒロインに推されたかも。こちらは特に親が前近代農村社会の大地主だけに、戦後の農地改革で没落し蝶よ花よの地位を失って数奇な運命をたどりそうですし。

いちばんNHK好みの普遍的ヒロイン候補は、勉強好きで努力家の優等生、教師志望なのに小学校すら生家の貧窮で卒えられず子守り奉公を余儀なくされ、親友の文通サポートを支えに独学、奉公先の社長に見込まれて正社員に取りたてられ働く女性の草分け的立場になるユキちゃん(橋本真実さん)でしょうね。まさに『おしん』そのもの。

そんな中、母の療養という事情で東京から田舎に越してきたこと、小学生の身で母を亡くし父と兄たちのクチや家事を支える主婦役をつとめてきたこと以外は特殊な状況を抱えず、成績も平凡でとりたてて特技も持たない陽子は、普通のドラマの世界なら典型的な脇役、“ヒロインの特殊性を引き立てる”役のはず。

そういう、言わば“透きとおった”キャラを主役に据えてきたということは、本当の主役は、大正生まれで昭和とともに生きた、どこといって突出したところのない、日本全国どこにでもいたはずのいち女性が見聞し肌で感じた“時代”“時間”なのかもしれません。

現代時制に戻れば、もうひとつ楽しみはありますね。師範学校を出て今後、国民学校教師になる陽子、たくさんの担任生徒との場面やエピソードがあると思いますが、いちばん目立って印象強い役割となる女子の生徒が、成長したら伊東ゆかりさんになるに違いありません。それでまた斉藤由貴さんがきゃんきゃんスピッツリアクション。…あまり楽しみじゃないか。

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チャーン、あ、ゴーン

2011-05-09 22:54:21 | 海外ドラマ

 怖れていた通り(怖れてたのかい)NHKBSプレミアムの韓国ドラマ『同伊(トンイ)』があなどりがたく面白いのです。続きが気になってきたのです。困ったことになった。日曜夜はとりわけ録画がビジーなのに。

王国の側近勢力争い陰謀ものとしても、貧しい少女のわらしべ立身出世ものとしてもちょっとコジツケ、無理やり感はぬぐえないんですけれども、最愛の父と兄、兄のように可愛がってくれた兄の親友ら、親しくしてくれた村の人たちが、濡れ衣で大半処刑されたり殺されたりする原因になった高級官吏殺しの真相にトンイが近づけるのか?というメインの興味のほかに、脇役のあの人この人が何を狙ってどんなハラでいるのかというサイドストーリーも結構入り組んでいて、何だかんだで前のめり。

地元韓国で、高校レベルくらいの歴史を学んだ人なら、いささか噴飯ものだったり抗議の電話ものだったりもするのかもしれませんが、こちとら、あちらの国の歴史はからきし存じ上げないので、かなーり大胆に史実改変したり脚色したりしていたとしても、わからないし「違う!」と怒りが湧いてきたりもしないという、娯楽ドラマとして安心感があるのも大きいか。そういう意味では戦国にしろ、幕末にしろ、江戸太平ものにしろ、日本で日本の時代劇はいま、逆につくりにくいのかもしれません。

4話までの、日本で言えば小45ぐらいかなと思えた幼女トンイは、かわいいけどオモシロ系のびっくり顔で愛嬌ある感じだったのに、5話からいきなり、何時代のドコだろうと道行く人が皆振り返るようなあっぱれ美人さんになっていてちょっと引きました。

しかしながらありがちな“頑張り屋のまじめ優等生”タイプではなく、結構オッチョコチョイで落ち着きがなくて、働き者ではあるけれども「あー疲れた、“トンイはどこだ!”って誰か呼んだら“死にました”って答えといて」とゴロンとなっちゃうような、人間っぽいところもあるのが好感持てますトンイ。幼女時代はかなり食いしん坊でもあって、お菓子や串焼き、女の子らしく絹の晴れ着などにも軽く釣られちゃうところもあった。欲や我執のまるっきりない清廉キレイキレイな人物は主人公としてつまらないしね。

ただ、韓国連続ドラマを継続視聴するのって恥ずかしながら月河、初体験で、改めて気がついたんですけど、固有名詞覚えるのタイヘンだねー。トンイはタイトルロールだからさすがにすぐ覚えたし、運命のお相手となるらしい粛宗=スクチョンさまってのも、漢字込みだから覚えられた。

あとは、公式サイトでもほとんど、ほんとにまったくシャレになんないくらいカタカナばっかりなんですよ。日本で言えば警視庁高官、警視正ぐらいか警視監か?っていう、トンイ父とも朋友だった渋カッコいいソ・ヨンギはちょっと柴田恭兵さん似。宮廷の、反主流派“ナミン”の首領らしいオ・テソクは中村雅俊さんを悪く太めにして老けさせたような感じで、その甥っ子のオ・ユンは『仮面ライダーX』の速水亮さんの、若くて細かった頃に少し似ている。

トンイと仲良しで、ドジ踏んではトンイに助けられている宮廷楽師で笛吹きのヨンダルは、キャラともども大泉洋さんっぽい。

ナミン派が魂胆あって王宮に送り込んだと思われる女官オクチョン=チャン尚官(サングン)は、大人トンイに遜色ないくらいこちらも美人さんですが、いずれトンイと光と影の関係になるというライバルキャラとして造形されているのか、目もとクチもとに微妙に粘着感があって気性が強(こわ)そう。一時期の賀来千賀子さんに、沖直未さんのお若い頃を混ぜた感じとでも言おうか。

…このブログで、ドラマや映画の役名キャラ名に言及するときは、なるべくもれなくカッコ書きで演じる俳優さんの名前も併記するようにしてきましたが、韓国ドラマに関しては今後もそういうわけで、俳優さん単体に言及する時以外はカンベンさしてもらいます。ホント覚えられないんだもの。みんな音韻がちょっとずつ似てるし。

人名だけでなく官庁名とか歴史用語も相当、難物ですが、こちらは漢字と併記で解説が載ってる分少し覚えやすいかな。トンイが(ぬひ。下働き)として勤める、宮廷音楽をつかさどる王立楽舞団みたいなのが、掌楽院=チャンアゴンというのはすぐ覚えました。「ちゃんあごん」って音楽的な響きですもんね。

トンイの父が生業としていた、死体の検死や処置をする者(←日本でも諸外国でも、禁忌とされ一般人とはもろもろ差別される職業ですね)のことを仵作人=オジャギン、ってのも覚えやすい。おじゃぎん。お“じゃー”って伸ばせば、ドストエフスキーとかの小説に出てきそうだ。スタヴローギン。エフゲニ・オネーギン。コスイギン。フィクションじゃないのが一部混じった。

トンイ父・兄たちが結成していた、地下秘密結社“剣契”は、漢字表記の字ヅラはカッコいいけど読みは“コムゲ”。無関係に韓国料理の“サムゲタン”を思い出してしまいました。どんなんだったっけ。ウチの家族は高齢組も、非高齢組も、香辛料に概してナーバスなので、あの国系の料理には縁が薄いのです。“焦げたチゲ鍋”のようでもある“コムゲ”。

そう言や韓国ドラマのこういう用語って、なんとなくぜんぶうっすら韓国料理店メニューを連想させますね。そうでもない?チゲ、クッパ、ビビンバ、キムチ、オイキムチ。劇中用語として出てきてもおかしくなくないですか。「ブルコギだ!ブルコギの集団が城門に攻めて来たぞ!」「ビビンバで撃退するのだ、ビビンバを撃てー!」「ソルロンタンの方角に集中せよ!」なんて。

時節柄話題の“ユッケ”なんか、下級女官の一部門としてありそう。「スクチョンさまが、チャンサングンさま付きの若いユッケをお召し上げになったそうよ」「ユッケをー?」「イニョン王妃さまのお耳に入ったらどうしましょう」「まさかユッケをねー」なんて会話が成立……しないか。

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東南海どうなんかい

2011-05-08 18:35:00 | ニュース

稀代の愚策か、世紀の大英断か。中部電力浜岡原発の全面停止を要請した菅直人総理、実はひそかに思ってないでしょうか。「“あんとき停止しといて良かったなー”ってタイミングで、実際、来ねえかな、御前崎に津波」って。

「停止反対だの、なぜこのタイミングでだのってグデグデ言ってたヤツら限定で、若干、死者とか出てもいいから」みたいな。

過去90年から150年に一度、必ず連動して起きてきたと言われる南海・東南海・東海地震。20115月、2ヶ月前に東日本大震災を目の当たりにした現在、「いつ起きても、今日起きても、1時間後に起きても不思議はない」そうですが、地震なんていつどこで起きたって、“不思議”でなんかあるわけがない。野村克也監督の名フレーズのひとつ「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」じゃありませんが、地上のどこであれ、そこに人間が住みはじめて以来、一度も震災らしい震災、津波らしい津波が起きてないとしたら、そっちのほうがはるかに摩訶不思議で、本当は人住んでないだろう、住んでても記憶力のない、記録もつけらんないバカばっかりなんじゃないのかって話です。

しかも、媒体の地図で見ていまさらながら知ったんですが、浜岡原発って、1944年の直近の東南海地震でいちばん揺れが大きかった地域のど真ん中にあるのね。「不思議はない」どころか、地震のメッカ、地震が起きれば99.9パーセント津波に襲われるに決まっているロケーションに、よりにもよってなんで建てたんだろう原発。誰か止める人はいなかったのか。ご多聞にもれず反対運動、住民運動なども起きたんだろうけど、「やっぱり建てたほうがトクだ」の声が多数派になり押し切ったということなんでしょうかね。

それとも、「44年に揺れたんだから、ガス抜きになって当分揺れないだろう」「ない間に建てて、利権吸うだけ吸って、次の地震が来そうになったらガー撤収して逃げ切ろう」という算段だったか。

今回の一連の動きで期せずして炙り出されて来たのは、原発が産み出す電力による生産力の向上、一般家庭生活の便利どうこうよりも、原子炉一基建てる、操業することで、一生暮らせる利権が発生し、それに群がる政治家や天下り役人がごまんといるらしいということだったと思います。“原発で食っている”人種たちが潤い、あわよくば家族や従業員、秘書に部下事務所もろとも潤い続けるために、日本の原発は計画され、建設され、運転されている。

何より身にしみたのは、「自然は人をまたない」という冷厳な事実でしょう。利害や人情や義理や、人知学問を歯牙にもかけず、自然は地震を起こす時には起こす。津波を発生させるとなったら、どこでどれだけの数の人間が生計を立てていようが、どこに原発があって何兆円の利権が渦巻いていようが、お構いなしに発生させて洗いざらい持って行く。幾ら損したとか何を失ったとか、誰が間違ってるの正しいのなんてことは、自然の脅威の前には芥子粒ほどの意味も持たない。

「ここに原発があるから、いま、ここに地震が起きてもらったら困る」なんつったって、起きるとなったら理不尽に起きるんだし、大枚の予算投入して、財源にことよせて増税して、節電して節電して経済停滞させて、「これだけ忍び難きを忍んで、万全の対策打ったんだからもういつ大地震が来てもいいぞ」と痩せ我慢したら、その地域だけ、その先300年ぐらい何も来ないかもしれない。

今回の菅総理の決断も、「あのとき停めといてよかった」と皆が思えるような帰趨になるかどうかは、菅さんの存命中(政治生命的にではなく生物学的に)はもちろん、菅さんの記者会見をリアルタイムで聞いている日本人が生きている間は、答えが出ることはまずないでしょう。これから生まれてくる赤ちゃんが菅さんの年頃になる頃には何かしら結論めいたことが言えるかもしれませんが。

それより、浜岡浜岡騒いでる最中に、アサッテの方角の、別の原発の足元で、ズコーンと地震が来たらどうするつもりなんでしょうね。ホントに、誰が建てていいって言ったんだ原発。こんなに日本じゅういたるところに。

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女性たちよ良き人生を

2011-05-07 20:20:20 | 朝ドラマ

『おひさま』でヒロイン陽子(井上真央さん)の親友で、モガ志願?のとんでる女学生・育子を好演中の満島ひかりさんは、気がつけば2008年の連続テレビ小説『瞳』でもヒロイン親友、と言うかユニット(=“ローズマリー”)メイトの純子役でしたよね。宇都宮の餃子屋の娘。兄貴役が戸次重幸さんで、「ダンスで食べて行くなんて夢はあきらめて店を継げ」としつこく言ってた。自分は銀行マンで、自分が辞めて継ぐ気はないくせにね。人間の顔をした悪魔。んなことはない。

それはともかく新人女優さんの登竜門でもあるNHK朝の連続テレビ小説、ヒロインオーディションで最終まで残って惜敗した人が、ヒロインの親友役とか、恋やお仕事のライバル役など、“ヒロインの次に出番が多くて目立つ同年代女性キャラ”に充てられることが多いと聞いたことがあります。わー、なんだか少女漫画の世界チック。

本人や関係者から直接聞いたわけではないけれど、最近で言えば『てっぱん』の加奈ちゃん役、朝倉あきさんなんかそんな感じでしたよね。健康的で努力家タイプで、ヒロイン役の瀧本美織さんと少しかぶるところがある。NHKドラマですでに実績があったし(『とめはねっ!鈴里高校書道部』)。ただ、色白で雰囲気がふんわかしているので、ベッチャーお祖母ちゃん富司純子さんとぽんぽんやり合ったり食ってかかったりを想定すると、やや嵌まらなかったか。

あと、『つばさ』の万里ちゃん役・吉田桂子さんも、劇中ではスポーツ紙記者の道に進んだけど、俄かコミュニティFMDJつばさでもいけた気がします。『つばさ』前はモデルさんの芸歴しかなかったはずですが、とりあえず声は出ていた。

しかし吉田さん、年齢的に『つばさ』時点で25歳で、絵柄的にはつばさと同期の短大生ができても、ヒロインになった場合、真瀬社長役・宅間孝行さんとからむことを考えると雰囲気が大人過ぎてナマナマし過ぎる。山本未來さんとガチで三角関係が成立してしまいそう。

とりあえず、劇中、ヒロインと対立したり協働したりする役柄の若い女優さんを、「この人がヒロインだったら」という視点で見てみるのは興味深いものです。

そう考えると、満島さんの“親友役2度め”ってのはどう解釈すればいいのかな。『瞳』では榮倉奈々さんと、ともに元気っ娘タイプで、里子(さとご)役の子役さんたちとのからみも問題なさそうで、かなり僅差の、ハナ差アタマ差の惜敗だった気がしますが、今作『おひさま』はヒロイン井上真央さんがいきなりオファーキャスティングですから、オーディション惜敗とは、3人娘のもう一角=お嬢さま真知子役のマイコさんともども考えにくい。

『瞳』での純子役が好評だったから、というか、「まゆげネコのかぶりものダンスお疲れさま」のご褒美オファーかしら。朝ドラレギュラーのセカンドチャンスなら、今度こそヒロインにしてあげてもよかったような気もしますが。

先週の放送分でちょっと思ったのは、満島さん、演技力やキャラ立ち、キャラ立てには何の不安もないのですが、声がかすれ過ぎですね。『瞳』のときには気にならなかったのですが、今回の育子ははねっかえりでガラッパチ寄りの、「~だよ」「~しねえよ」言葉の女の子という設定にしても、要所要所でかなりザラッと耳障りなことがある。朝ドラヒロインは全国ネットで週6回朝一番のお付き合いですから、声が汚いというのは大幅に減点せざるを得ません。

そう言えば、『瞳』のローズマリーメンバー、由香役だった田野アサミさんも、のちに昼帯『夏の秘密』で気がついたのですが、毎朝出ずっぱり聞きずっぱりには向かないかもなハスキーヴォイスでした。脇でちょろっとアクセントをつける役回りなら、ヴィジュアル可愛くてかすれ声の女の子ってのも結構魅力的なんですけどね。

朝ドラヒロインって、こうしてみると、べし・べからずの条件が山のようにあって、オーディションで引っかかって最後のひとりになるのはものすごく大変そうです。選ばれるほうも大変だし、選んで、使うほうも同じくらい大変。井上真央さんや、前々作『ゲゲゲの女房』の松下奈緒さんのような、すでに一定の知名度も実績もある人の一本釣りキャスティングのほうが、お互いにのびのび仕事できるかもしれない。

『おひさま』劇中では育子さん、現在、東京女子大入試に挑戦中ですが、先週の放送ですでに、現在時制まで健在と判明。若尾文子さん扮する熟年陽子に「ひとりでどこへでもポンポン行っちゃう」とあきれられ、電話をよこしたのが「ガラ…パゴス?」。

考えオチですがちょっと笑いますね。ケータイのシリーズCMレギュラーの若尾さんに「ガラパゴス」言わせちゃいましたよ。

それはともかく、放送終了までに帰国して安曇野来るかな、熟年育子。顔出しがあるとしたら、演じる女優さんは誰かしら。

若尾さんと同級生年代というと、岡田茉莉子さんとか。目もとが満島さんの面影を宿さないかな。近年はお見かけするたび“怪老女”的風情になってますが。

黒柳徹子さんとか。怖いか、いろんな意味で。本当に同級生か。

池内淳子さん。「ひとりでどこへでも行っちゃう」イメージにぴったしだけど、惜しくも故人です。

そうだ、扇千景さんなんかどうでしょうね。元・参議院議長。初代国土交通大臣。若干、ヒョウタンからコマ的展開の上昇経路ながら、劇中で育子の目指す方向性と、やや重なるリアル人生を送っておられるような。4年前に政界は引退されましたが、もう芸能活動はされないのかしら。

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