イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

カタカナばっかり

2011-05-05 19:26:28 | 海外ドラマ

4月からNHK地デジで放送が始まった韓国歴史ドラマ『イ・サン』が思いのほか面白いよ、と高齢家族のリクエストで2話から録画追尾を始めました。日曜の夜深い2300スタート、月河的にはスーパーヒーロータイム録画チェックの時間なので、フルに付き合うわけにもいきませんが、1日(日)の第3話をちらっと見たら、主役はじめ子役さんたちがみんな達者で、可愛いというより味がある。日本のドラマでも最近は、美人女優さんより衣装より、子役さんがいちばんの華になっていますが、あちらでも事情は同じなのかな。大人の俳優さんが練りに練った熟練の芝居するより、子役さんのナチュラルな表情ひとつのほうが受けがいい。安直っちゃ安直だけど、高齢組が喜んでいるようなのでね。そのうち主役が成長すると、番宣や公式ホムペで見る限りなかなかの男前俳優さんにバトンタッチするようだし。

 一方、同じ日曜の2100からは、BSプレミアムで『同伊(トンイ)』って始まっていますね。『イ・サン』と同じ、かつて『宮廷女官 チャングムの誓い』を手がけた監督さんの最新作だそうですが、女性主人公のサクセスストーリーで、日本で言う“大奥もの”の要素もありそうなので、NHKの年度替り前、大量に番宣された中では月河はコレ結構いけるかもと思っていたんです。こちらは選挙の影響も受けず先週までで4話。“連続ものレギュラー視聴は昼帯と特撮のみ”の月河、日曜の夜はとにかく再生ラッシュなので、なかなかまとめ見できませんが、今週末ぐらいは一気に行けるか。『イ・サン』の昨年のBS放送を視聴済みのファンからは「主人公が国のトップになるわけじゃなく、所詮、側室止まりだから、『イ』ほど面白くない」との声もすでにチラホラ来てますが、こちらもとりあえず子役さんが、こちらは女の子ですけど、画面からはじけんばかりに“味出しビーム”出まくりで、あきれたりまいったり。

 それにしても気になるのは、韓国の連ドラって、大胆に、命知らずに長尺多話数ですよね。『同伊』が全60話、『イ・サン』に至っては77話あります。日本で言う“放送クール”とか番組改編期のようなものは存在するのだろうか。日本の連ドラは最近はほぼ1クール10話か、せいぜい11話ですね。NHK大河ドラマですら、大河大河と言ってもせいぜい50話か51話です。

『冬のソナタ』地上波放送で本格的に着火した韓流ブームの頃、“トリビアTV業界篇”みたいな番組で知ったのですが、同国地元では連ドラは日本のように“月9”とか“水10”のように週11話ずつの放送ではなく、“月火”“水木”といった具合に2日連続2話ずつの毎週放送なのだとか。だからたとえば1話と2話との間で、日本の放送スケジュールに沿って1週空くと、尻切れ宙ぶらりん感が強いので、できれば録画かパッケージソフトで“12話、34話、56話…”と2話ずつ束ね見していったほうが「乗りやすく嵌まりやすい」と聞いたこともあります。

 そこらへんは視聴する側が自分で自分に合ったペースを見つけてコントロールしていけばいい話だと思いますが、それにしても放送する側のサイドに立つと、毎週1話を77話となると、77週、つまりお盆も正月も休まずぶっ通しでやっても1年半かかることになりますぞ。『同伊』の60話でも12ヶ月。つまりNHK的、官公庁的に言うと、「会計年度をまたぐ」わけで、編成としてはかなり冒険ではないでしょうか。NHKとしては『冬ソナ』系の現代ものメロドラマでも、『チャングム』のような史劇系でも一定の実績と手ごたえは掴んでいるから、新年度のこの2作も自信の布陣なのかしら。それにしても民放では考えにくいというか、実際無理でしょうね。当初の読みほど数字が行かなかったらと考えたら、次年度にまたがるスポンサーなんて取れないし、付かないし。現代ものの『IRIS(アイリス)』なんかTBSでたいそう宣伝していたけど、最終話まで好評裡に放送済んだのかどうなのか。

 思い出すのは、1980年代末~90年代にかけてやはりNHKで、確か土曜の夜1000台に放送していたUS連続ドラマ『ダイナスティ』です。コロラド州はデンバーの、石油王の秘書上がりの若い後妻さんとその元彼、石油王の若い娘や息子たち、そのまたフィアンセや恋人、石油王の離婚した元妻、ハラにイチモツある側近使用人たちなど、欲と色からみあった、日本で言うところの“ドロドロドラマ”でしたが、からみあうだけからみあってさあこんだけの風呂敷たためるのか?ってなった頃、突然ウンともスンとも、続きが放送されなくなってしまいました。

 月河は当時、日曜が休みではないサービス業で、土曜夜もあまりのめり込んでTVを観たりビデオ録画追尾したりしていなかったのですが、映画『ポセイドン・アドベンチャー』のミニスカお姉ちゃん役だったパメラ=スー・マーティン(←石油王の驕慢な令嬢役)や、『炎の少女チャーリー』でドリュー・バリモアのママ役だったヘザー・ロックリアー(←石油王の息子とくっつくワイルドな娘役)、『ゲッタウェイ』にちらっと出ていたボー・ホプキンス(←後妻さんの元彼役)など、顔と名前の一致する俳優さんが見えていた頃はそこそこリピートしていたかな。気がつけば番組表から消えていたのでどうなったのかと思ったら、後から媒体で知った話では、放映権が高くなり過ぎてNHKが手が出なくなったため、“買えたところまで”で打ち切りになったらしい。

時はバブル期だっただけに、民放ならCM収入がかなり景気良かったんじゃないかと思いますがやはり皆さまの受信料でもってるNHK。要するに、地元USAで長寿シリーズとして受けていたほどには、土曜のプライムタイムで日本の視聴者に人気が出なかったので、高い権利料を継続支払うについて上から待ったがかかったのでしょう。

月河も別に、おもしろくないから視聴しなくなったわけではないのですが、いつの間にか裏の土曜ワイド劇場に行くほうが多くなっていました。こちらは単発で必ず10時半頃には大勢が決し、引っ張られないので気楽に観はじめられるし、つまらなかったら簡単に下りられる。

やはり連続ドラマって、「次回が待ち遠しい、待ちきれない」と思えるテンションに嵌まらせるには、嵌まらせるなりの手を打つ必要があるんですよ。当時はいまほどNHKで自局番組の番宣ってやってなかった。もちろんネットにホムペやファンBBSなんかもなかった。お話のキモである複雑な人間関係解説や、気がつけば結構多彩で豪華だったキャストもひとりずつ紹介したほうが有り難味も、興味もわいたと思う。時間帯もNHK土曜2200台は、『ジェシカおばさんの事件簿』など同じ洋ドラでも1話完結の、まったく違うテイストのものをやっていたので、色と欲との連綿ドロドロへは“客層”も引き継がれにくかったのでしょう。

連ドラは、作るほうはもちろん、放送するほうも視聴にも、体力を相当要します。日本製の連ドラが軒並み短期間少話数でサイズ小ぶりになっているいま、NHKがあえて韓国製長尺作を、熱い時間帯に持ってくる勇気はあっぱれですが、日本人による、日本人が視聴するためのドラマ、日本のTV製作者さんたちももっと意欲的に、チャレンジして作ってほしいですね、デカいやつをね。

大河ドラマなんか、152週の年末年始を、ジャガイモの煮っころがしみたいに“面取り”して50話なんてミミッチイことしてないで、ドカンと3年連続ぐらいの作ってさ、自他ともに先が短いと認める高齢視聴者が「最終回まで絶対生きてやる」と逆に血圧上がっちゃう勢いにしてみませんかね……って、すでに『坂の上の雲』があるか。

コメント
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