『相棒 season 9』が先々週終了、録画併走で欠かさずレギュラー視聴するTV連続モノは“昼帯と特撮だけ”という、ここ10年来の落ち着いた日常に戻ってきましたが、気がつけば震災以降、定例番組、特にドラマ系は大変なことになっていまして、『さくら心中』は前の記事でも触れた通りまるまる1週延び、被災地でも被災地でなくても小さいお友達が首を長くして待っているはずのニチアサキッズスーパーヒーロータイムも、13日(日)は災害報道特別編成のため休止を余儀なくされました。
先週後半ぐらいから、どうやら20日(日)は休止分が、遅ればせの定時放送されそうだという情報が行き渡ったものの、最も心配されたのは『海賊戦隊ゴーカイジャー』。なにしろ津波の爪あとなまなましいところに、“海”賊戦隊ですからね。
「家や家族を失って傷ついている、特に漁業の家で育ったお友達のトラウマを慮って、“波”“海”“船”の映像は当分いっさい画面に出しちゃダメとのお達しがあったらしい」とか、「巨大化戦などでビルや町並みが倒壊したり、瓦礫の山の描写も御法度らしい」、さらには「ヒーロー・敵を問わず、水に沈められたり溺れたり、船が転覆する描写はもちろん禁止」「地鳴りを起こしたり地割れの中から登場する怪人も禁止」「断末魔の悲鳴を上げて倒れる描写もアウト、倒れた死体や残骸映すのも厳禁らしい」…等々と、せっかく第4話までで盛り上げられてきたテンションを軒並みダウンさせるようなトンデモ自主規制や自粛の噂がネット上を飛び交い、結局“何もない宇宙空間を、帆をたたんだゴーカイガレオンが舵もなく無重力で粛々と前進して、ゴーカイレッド以下戦士たちも、ゴーカイオーもザンギャックの面々も素手だけで取っ組み合っては、負けたほうが声もなくアトカタも残さず消滅する”みたいな、カルト宗教の洗脳ソフトの様な腑抜けた番組になり下がってしまうのか我らがゴーカイジャー!?という危惧の声も一部(どこだ)に上がっていたのですが、フタをあけてみればなんのなんの。
OPでもEDでも、ちゃんとゴーカイジャーは海辺に集合、リアス式(?)崖の上で変身し、岩礁の上でゴーミンと戦い、戦い終わると笑顔で波のかなたを眺めていましたよ。誰だ、自粛の、路線変更のって憶測デマ飛ばしたのは。
天災は怖ろしいけれど、海や船が子供たちを脅かす悪になったわけじゃありません。みんなわかってはいると思いたいですが、小さいお友達向けのソフトやグッズとなると、異常に神経をとがらせたり、とがらせている一部の層にまた過剰に反応したりする、センスのない大人も多いもんでね。日曜の朝ですもの、四の五の言わずに豪快にカッコよく戦うゴーカイジャーが見たいじゃないですか。
ザンギャックの“地底”ミサイルとか、マーベラス(小澤亮太さん)を庇って銃撃されたボス=ドギー・クルーガーの血痕が床に点々など、時節柄、結構キワどかったり生々しかったりする描写もボカさず手を抜かず。「帝国(≒国家体制)に反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとする豪快なヤツら」という設定ナレーションに、月河は第1話から胸射ち抜かれました。ゴーカイジャーがこういう、ポジティヴな“反骨性”を持ったヒーローである限り、多少、俳優さんの演技が未熟であろうが、ロケやCGがショボかろうが(いやいまのところ未熟でもショボくもないし!)月河はとことん支持しますよ。天災なんか吹っ飛ばす勢いで、これからもとことんクリアでクリーンな、大人の事情や余計なお為ごかしに毒されない戦いをくりひろげてほしいものです。
ボスとともに、ジャスミン木下あゆ美さん、バン載寧龍二さんの久々のデカジャケット姿も見られたし、気がつけばOP・次回予告後の提供スポンサーベースと紹介ナレがお休みで、画面にも音声にも何もかぶらなかったおかげで、いつもよりちょっぴりおトク感すら発生しました。番組の放送自体は“いつも通り”がいちばんいいけれど、こういう思わぬ儲けものもたまにはいいかな。原因が天災でなければ、もっともっといいですが。
それにしてもバン、『特捜戦隊デカレンジャー』最終Episodeでファイアースクワッドに栄転してギョク・ロウ隊長のもと特訓を受けていたはずですが、地球署でボスの配下にカムバックしてましたな。レジェンド大戦で召集されたかな。突っ走りハジケ型のレッドだったけど、当時はスーパーサイヤ人系だった髪型も、芸術家風シックなロン毛に変わり、声も落ち着いた低音に。結構、修羅場をくぐり抜けたのだろうなあ。もう部下も持ってるかも。「刑事は品行方正!質実剛健!」なんて四字熟語で指導したりしてるか。
もちろん、ゴーカイジャーから炎神戦隊ゴーオンジャーに、続いて五星戦隊ダイレンジャーにと二段変身しても、ちゃんとアイムに見えハカセに見え、ジョーに見えルカに見える、スーツアクターさんたちのマスクド身体表現力、今話も堪能させていただきました。顔出し俳優さんたちの声付け=アフレコもかなり板についてきたし。特にお姫さまアイム(小池唯さん)のゴーオンブラック「まいります!カウルレーザー」、いつも皆よりワンテンポ遅かったり早すぎたりするハカセ(清水一希さん)のシシレンジャーの棒術ならぬ箒術とか、ゴーミン一団片付けたハケぎわのお疲れポーズに「待ってよー」など、何スーツに変身してもキャラがぶれないのはお見事としか言いようがない。
特にクライマックス、ボスの目の前で5人揃ってのデカレンジャーへの二段変身後、横一列で歩いて来る格好にはしびれました。ディーマグナム二丁持ちのレッドはともかく、ブルーとグリーン、オリジナル・デカレンジャーのホージーとセンちゃんなら、同じスーツ着ててもディーロッド、あの持ち方で歩く格好は想像つきません。ジョー(山田裕貴さん)のデカブルーは片手で切っ先を下に向けた浪人持ち、ハカセのデカグリーンはお腹の前で両手で横に持つ、教師の指し棒スタイル。
イエローとピンクも同様で、ルカ(市道真央さん)のデカイエローはディースティック“スケバン担ぎ”、アイムのデカピンクは、胸のちょっと下で片手を添えて先端を斜め上に向けた笏杖持ち、と言うかトロフィー持ち。
セリフのない、無言で一列で歩いて来るだけのワンカットでもこれだけキャラ立てて見せられる。特撮と言うと、とかく機械を駆使した“技術”でこしらえるみたいに思われがちだけれど、人間が考え、人間がカラダを張って作るからこそなんですよね。次週も楽しみです。
ところで次週は提供ベースかぶり、復活かしら。今週のおトク感ヴァージョンでいいじゃん、とも思いますが、こんな細かいところも、できれば早く“ビフォー”に戻ってほしい気もします。