北国の春は温もりより光からと言いますが、まだ1日の最高気温はやっと二桁安定してきたばかりでも、高緯度地方の当地は晴天の日の日差しの強さがすでにほとんど初夏。近隣のお買い物主婦や犬の散歩族も、“コート着てスカーフ巻いて手袋はめて日傘”姿が普通に見られるようになりました。
日差しと言えば紫外線。最近は、ここ10年ぐらい使っているSPF34の肌色サンスクリーンを、落ちを気にしてつけ足し、つけ足ししながら外出するより、SPF15ぐらいでもファンデーションを薄く伸ばしてパウダー叩くほうが持ちも見た目もいいような気がしているんです。
今日も朝10:00台に塗って、粉叩いて、まだ日が山の稜線に隠れない17:00過ぎまで一度も塗り足しも直しもなし。屋外で過ごす時間が少ないからこれでもってるんでしょうね。
昨日『麗わしき鬼』では初登場金子さやかさんの女子高生役が老け…いやその、ちょっとアダルト過ぎじゃないかという話でしたが、いやいや、まだまだ。
確か77年、いまから30年前、三浦綾子さん原作のドラマ『天北原野』でヒロイン貴乃(きの)に扮した山本陽子さん、放送当時実年齢35歳にして、序盤は編み下げ髪に袴の女学生を立派に演じておられました。当時すでに大女優さんですから設定の無理は演技力でカバー…とは言え初回放送日のラテ欄では「アップは少々きつい」と書かれていた記憶が。
ドラマの虚構世界と生身の俳優さんの間に橋を架けるのは、観るほうの善意の想像力しかないようで。ちなみに『天北原野』では山本さんの相手役たる主人公が、つい先頃まで阪神銀行頭取だった北大路欣也さん、当時34歳でしたが、こちらは詰め襟学ラン学帽姿があったかどうかは覚えていません。
『麗鬼』では英矢父・鞆泰役の津嘉山正種さんがいい具合の老けを演じてくれています。もう病院実務は息子の英矢に実質お任せ、「午前中一度顔を出せばいい」悠々自適のご身分も「昼寝はいかん、ボケる」…やっぱりボケるのはイヤなのね。かつての愛人の子で立派なゲイに育っちゃったみちるくんがお店の改装資金の保証人を頼むとこころよくハンコ捺してくれるし、「どうしてそういう…ゲイみたいなものになっちまったのかねぇ」「ゲイ“みたいなモノ”じゃないわヨ、ゲイなのヨッ!」「怒るなよ、怒らなくたっていいだろ」のやりとりは爆笑でした。
鞆泰先生の世代の男性にとって、“息子がゲイ”を受け容れるのはかなり大変なエネルギーを要するし、実際修羅場なケースも多いと思うんですが、このドラマでは中島丈博先生マジックでそこがとてもスマートに処理されていますね。
現実だったらこんな甘いもんじゃないよね、とは重々わかっているのですが、逆にこういうスマートな甘さを、ドラマだから見せてもらいたいわけです。ゲイであることをリアルに暗く悩むみちるちゃんや、ゲイゆえに毛嫌いされたり拒否されたりする成り行きは、当然ありがちなことだからこそドラマでは見たくない。
津嘉山さんの、老け入ってからの何とも言えない口角下がり具合、顔面筋の脱力ゆるみ具合も、奥さん役・東山明美さんの、髪はアップでマダムメガネで“年いってからのほうが色っぽい”ムードとナイス対照。リタイアド年齢になって以降、こういうマッチングのご夫婦って多いよね。
英矢の再婚相手候補に『偽りの花園』栄さまの艶姿も記憶に新しい鮎ゆうきさんが、今度は才女メガネで登場したかと思えば、紹介の労をとる大学教授夫人?はポーラテレビ小説ヒロイン出身の泉晶子さん。「あ、あの人見たことある」「○○に出てた」と要所要所で視聴者に膝を打たせるのもサービスのうち。このドラマ、特別新鮮味はない筋立てながら、このたぐいのサービス精神で、ずいぶんポイント稼いでると思います。