イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

これ、食ってもいいかな?

2007-04-04 21:32:08 | アニメ・コミック・ゲーム

ここ数年で、アニメで一応続けて観たのは『Monster』と『wolf's rain』ぐらい。いつの間にか、アニメは深夜やってるのが当たり前と思うようになっていました。『BLOOD+』もちょっとの間観たかな。あれは土曜の夕方。

でも、思い返せば、昔は平日の夕方、5:00~6:30ぐらいまでが子供アニメの時間でした。いつの頃からか、主力客層である小さなお友達が放課後時間帯塾通いで忙しくなってきて、アニメ特撮は平日夕方から撤退して土日の朝へ。アニメでも大きなお友達向けに特化した作品は深夜へと、二極分化して行きました。

そんな中、頑固一徹に平日夕方のお子さま編成を守っているのがテレビ東京。と言ってもウチはローカル同局ネットのTvhしか知らないんですが、一週間の番組表見ると火曜の『D.Gray』、水曜の『NARUTO』『遊戯王』、木曜『爆丸Bブローラーズ』『銀魂』金曜『かみちゃまかりん』など、昔むかしの大昔に小さなお友達だった月河にはほとんど耳なじみのないタイトルではありますが、見ているだけで軽ーく童心に返ると言いますか、お母さんは夕食の支度で忙しく「宿題やったの!?」も一休み、お父さんはまだ帰って来ないから野球やニュースにチャンネルを奪われる心配もなかった至福のひとときが甦ってきます。

別に童心に返りたかったわけではないのですが2日17:30スタート『美味(デリシャス)學院』、ありていに言ってしまえばスポンサー・エイベックスグループ所属の若手俳優ショータイムみたいな番組です。美味を極めるまでは卒業を許されない、人里離れた謎の料理学校…と来れば“美少年寄宿学校もの”のたぐいかと思いきや、絵づくり、語り口は完全に変身ヒーローもののそれ。

強制入校させられた、料理なんて食べるだけのものと思っていたいまどきの若者3人(西島隆弘さん相葉弘樹さん三浦涼介さん)、腹ペコになるまで監禁されて、料理試験に合格しないとメシ食わせない!と追いつめられると、何やら声や光を発するスプーンや箸などの“必殺ツール”出してきて切り抜ける。主役らしき西島さん扮する狼馬(ろうま)などは、他の2人は合格して旨そうに食ってる…オレも食いたい…と極限状況に達すると、髪の毛がグァー逆立ってメッシュが入り、眉つり上がり顔にメイクまで変わって、宇宙のかなたから必殺フライパン(←本人は「フライパンじゃない、カアちゃんの形見だ」と言っている)その名も“鐵火丸”が降ってきて、野性的本能で猛然と調理を始める。で、料理が出来上がると通常の髪型とメイクに戻る。…何のことはない、西島さんたちが所属するエイベックスのユニット“AAA(トリプルエー)”が主題歌を歌う『仮面ライダー電王』の、イマジン退治が料理に替わった版だと思えばいいのでした。

月河は、『電王』はとっくに途中下車しているし、AAAにも特段の興味はなかったのですが、ライダーOBの兄貴分格・『仮面ライダー剣(ブレイド)』の天野浩成さんが学院教授陣“四天王”の一郭、寡黙で頼りになる和食の達人に扮しています。ギャレン橘さん時代の“口下手・世渡り下手・まじめだけどズレてる・騙されやすい・空気読めない・本気になると怖い”などの、危なっかしくも愛すべき属性をうまいこと引っ張って陰に陽に匂わせつつ実はまったく別のキャラ。この辺はエイベックス組でもダントツのドラマキャリアがもたらす貫禄かな。やっぱり同じ事務所の若い衆と一緒のフレームに並ぶと、天野さんにいちばんキャラ立っててもらいたい。2年半前『剣』を毎週貪るように観ていた以上、ほとんど親心に近いものがあります。

…………と、気がつくと、この番組、ヒーロー仕立てではあるけど本当にお子さま向けか?むしろ親御さん、特にお母さんママさんたち需要のほうが強いような気もします。学院長がかつての№1ホスト城咲仁さんだしね。やっぱりテレ東の平日夕方も、もう子供たちの解放区ではなくなってるんでしょうか。

こう言うと身もふたもないが、いまだ日本人は平成よりも、昭和のほうが圧倒的に好きだと思います。平成も19年を数え、平成生まれで平成しか知らない若者も続々自立して社会の一端を担ってはいますが、少なくともいま、新人でも青年でも若輩でもない“いい大人”と呼ばれる年代の日本人に「昭和と平成、どっちが良い時代だと思うか」と訊いたら、過半数あるいは8割超が「昭和」と答えるでしょう。

昭和にも物騒な事件・血なまぐさい犯罪はあったし、悲惨な天災もあった。ゲバ学生、フーテン族、若い連中はあの頃も得体の知れない風体、髪型でろくでもなかった。政治家の収賄も、官公庁の腐敗もあった。でも昭和には、平成が束になってもかなわないものが一つあるのです。

それは「現在よりも未来のほうがきっとよくなる」という確信、手ごたえです。齢19年の平成は、昭和とともに遠ざかって行ったこの光をいまだ取り戻すことができずにいます。現在の階層、現在の権利、現在の生活水準、現在の安楽さ、現在の地球環境、平成の日本人は“現在の状況から転落・失墜・悪化しないこと”以上の希望を持つことができないのです。

テレ東平日夕方は、残り少ない“TVに生き続ける昭和”だと思います。TVが気になってそわそわ宿題も手につかなくなる頃、台所からはお母さんの作る夕食の匂い。お父さんの給料は安く、TVは白黒モノラルでゴーストやノイズが多かったけれど、リストラなんて言葉も概念もなく、まじめに働いてさえいればいつかカラーのTVも、CMに出てくる自動車も買えるはずと信じて疑わなかった。平日の夕食前のTVアニメを子供が楽しみにできる世の中は、ある意味いちばん平和で、バランスがとれ、満ち足りた世の中のような気がします。

アニメの制作技術が進み、絵柄が洗練され、新しいタイトルが次々出てきても「平日夕方にTVの前に子供たちが集まってくる」編成を、せめてテレ東にだけはこの先もずっと続けてほしいと思います。

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