イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

目と目が合って

2010-03-20 22:15:27 | 再放送ドラマ

『爆竜戦隊アバレンジャー』のアバレイエローいとうあいこさん、結婚されたんですね。2010210日と、なんだかパスワードみたいに覚えやすい日付を選んで入籍。スポーツ紙によると交際4ヶ月でのスピード婚とのことで、秋風が吹く頃に知り合ってクリスマスにぐぐっと盛り上がり、一緒にニューイヤーカウントダウンを刻んでキメちゃうパターンかな?とどうでもいい想像をしてしまいますが、ご本人たちは初対面から互いに運命の人の予感があって、結婚前提の4ヶ月だったそうです。とりあえずめでたい。

 戦隊ヒロインって基本的には女闘士ですから、ホットにもクールにもテンション高さを要求されることが多いんですが、いとうさん、キャピキャピしててもどこか落ち着いていてお姉さんっぽいというか、いまにして思えばですけど人妻向きなオーラが漂っていましたね。出色だったのは本シリーズ終了後の『デカレンジャー』とのヴァーサスシネマ、デカピンク菊地美香さんとデカイエロー木下あゆ美さんとの3ショットで女侠客のコスプレを披露したシーンで、もちろん3人の中では最年長(撮影時24歳)ということもありますが、コスプレお遊びなんだけど不思議なしっとり感があるんですよね。単に着物が似合う、襟足シニヨンが似合うという世界の話じゃない。内からにじみ出てくる感じです。

 あぁこの子は早めに家庭に入るかも…と思っていたら、いきなり2008年の昼帯ドラマ『愛讐のロメラ』でダークな情念ヒロインに来たのはびっくりしました。愛と憎に復讐がからまり、くねるねじれる。想像ですけど、それまでの役柄で見せた彼女の、元気溌剌で陽性キュートな“だけではない”、秘めてにじみ出る静かな“湿り気”のようなものがこのドラマのアンテナに引っ掛かり、呼び寄せたんでしょうな。

とにかく行動が“ためてためて、極端に振れる”ヒロインだったため、陽性な笑顔を封印しての演技は引き出しが少なく演り辛そうでしたが、自分へのチャレンジとハラくくってぶつかってる感じはビンビン来ていました。いま手もとに、『ロメラ』オリジナルサウンドトラックCDがありますが、コントラストの強いライティングで、ダークな目ヂカラで見つめるいとうさんのバストアップジャケ写、整ったお顔立ちをもったいなくもキッツく幸薄そうに見せる、眉間に入り込むくらい深く、先端を尖らせた眉頭の描き方など、かーなりがんばっていたんだなーと思います。

結婚されて、持ち前のしっとり感が活かせて女優の仕事も幅が広がりプラスになるのではないかと思いますが、気がつけば29歳、ご本人は早くお子さんがほしいところかな。昼帯ウォッチャーとしては色艶に磨きのかかったところでもう一度、今度はもっとはんなり女らしい役で…なんて欲かいてしまいますが、とりあえずお幸せに。ジューンブライドを予定しているという挙式時には『アバレンジャー』同窓生も集合するかしら。らんるちゃんひとすじだったヤツデンワニはせつないだろうな(来るかな)。

再放送の『眠れる森』は第4幕まで録画しましたが、どうも脱落の腰つきです。前にも書いたように犯人が誰かはなぜか(なぜだ)知ってるので、アノ人犯人ですべてがつながる伏線がどう敷かれているのかを一度見たいと思って録画始めたものの、見れば見るほど、コレ、結局アイドルドラマなんですよね。大人の本格的ミステリーサスペンスらしき装いにはなっているけど、“キムタク文句なし萌えモテ男”“ミポリン文句なし美人さん”という大前提にまずは乗って視聴始めることができないと、あらゆる描写が持ってまわった牛歩戦術に見えてしまう。

『アバレン』関連から書きはじめたついでに引き合いに出すと、戦隊ものなんかは100パーセント、ヒーロードラマですから、「かっけー」「かわえー」「燃える!」「萌える!」ノリが、大人の身でもどこかに微量なければ、ツジツマ合わないやら他愛無いやらで、とても1年間週イチ、付き合えるしろものではありません。

このドラマは、観客をミステリー展開に“乗せる”ための燃料として、主演2人のオーラ、催萌性にあまりに多くを頼りすぎている。あらかじめ木村拓哉さん中山美穂さんのそれまでの作品、キャラやアイドル露出に、じゅうぶんジュクジュク耕されきっている客なら何の問題もないけれど、誰も、何もカッコいいと思わないしくすぐられもしない態勢で、謎解き、心理ドラマだけに嵌まり込むのはコレ、はっきり言って無理でしょう。無理を通して道理を引っ込ませ過ぎ。“記憶喪失”“記憶改変”と“フラッシュバック”を口実に、謎の眼目をマスキングし続けて話数を引っ張る構成も、野沢尚さんが実力と(故人となられてもなお)定評のある作家さんだから安心して言いますけど、ミステリーとしてずるいし、芸がない。

月河としては、仲村トオルさんの、いきなりウラオモテありげな完璧なフィアンセぶりを鑑賞するつもりだったのですが、『黒革の手帖』、『けものみち』、『華麗なる一族』では適度にねじくれて輝いていた仲村さんも、ここでは(叙述的にホレ、ああいう事情がありますから、序盤から前に出るわけにいかなかったのはわかりますが)いまいち繊弱で迫力に欠けます。

ただ、時代(=本放送199810月期)のたまものというか、キャスト依存だろうが無理があろうが道理が引っ込もうが、とにかく「ミステリーとして作る!」という根性が決まっていることはもっと評価してあげていいと思いました。悪く言えば遊びがないとも言えるんだけど、最近のドラマなら、ミステリー主眼の作品でも、まったりした家族劇や青春劇、あるいはギャグ、コメディ、はたまたエロ、グロなど、必ず“ミステリーからはずれた息抜き要素”が入っている。

『眠れる森』は、隅々まで隙間なくミステリー。ミステリーでない場面はひとつもない。12年前、大手銀行が相次いで破綻したり毒物混入事件があったり、決しておだやかな年ではなかったはずですが、まだこの時代は、TVの観客にも“無酸素呼吸”に耐えられる体力があったのだなあ。

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