イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

福士政策

2013-06-08 01:38:48 | 再放送ドラマ

 『純情きらり』の味噌屋跡取り=達彦役の福士誠治さんが思いのほかいいのでちょっと驚いています。ピアノの才能に恵まれながら老舗味噌屋の家付き娘である母親に家業継承を強く迫られて悩み中の、ちょっと気弱な優等生お坊ちゃん。

 武者人形系の超・和風な端整フェイスで一見鉄仮面風に見えますが、設定からしてヒロイン桜子(宮﨑あおいさん)の直情さと対照的に、ガッツやパッションがおもてに出ないタイプに造形されているので、パッと見ほど鉄仮面でも大根でも棒読みでもなく(ずいぶん言ったな)、頃合いの間隔でとてもいい表情を見せる。ドラマ本体の好評に比して福士さん個人の人気大爆発とまでいかなかったのは、微細な表情の変化を画面釘付けで熟視する視聴者の少ない、忙しい時間帯のドラマだったからかもしれません。

 今年のお正月の『鬼平犯科帳SP ~泥鰌の和助始末~』での福士さんはオツムの中身まで青い青二才役で、酒井美紀さんの手管に鼻毛抜かれてまったく応援できるところのない、見てて終始イライラするだけの役でしたが、あれはある意味役の幅を広げたのかも。

 ウサギ顔宮﨑さんの桜子とこれだけナイスマッチ感があるなら、なおのこと序盤の斉藤先生は要らなかったのにね。何ゆえ達彦が初恋の相手ではいけなかったのか。人生チョロくなりすぎるからか。

 時制は昭和13年、ダンスホールが女性客立ち入り禁止になったり、西園寺先生(長谷川初範さん)が軍歌のオファーを受けて「曲想が柔弱」とクレーム付けられたり、戦争の足音が徐々に近づいて来ているので、達彦さんの将来も気が気じゃありませんな。お父さん(村田雄浩さん)が倒れてしまったので、達彦さんが若き家長になれば出征は免れたりしないかしら。戦争末期はそれどころじゃなく検査合格してれば勘助(@『カーネーション』)みたいのまで駆り出されたわけですが。

 入門一年めで早くも西園寺先生から欧州演奏旅行のお伴を求められるほどの才能ある達彦さんですが、もし桜子ちゃんが苦節のすえ見事ピアニストになる展開なら、バランス的に達彦さんにはどこかで挫折してもらわないと釣り合いが取れないような気も(どういう理屈だ)。二人で味噌屋を継いで、ピアノの音色で味噌の発酵をうながすみたいな万々歳過ぎる結末は無理か。いやその、牛舎でクラシック流してると乳の出がいいとか、あるらしいじゃないですか。とにかく戦争をはさむドラマは行く末が心配で心配で。

 福士さんも典型的ですが近年の朝ドラヒロイン相手役は"時代劇向き顔"がトレンドなのかも。 現在同じBSプレミアム19:00~の枠で再放送中の『てっぱん』駅伝くん役=長田成哉さんも同系統。『梅ちゃん先生』の松岡先生役=高橋光臣さん、『カーネーション』の周防さん役=綾野剛さん、『おひさま』の和さん役=高良健吾さんと、見事なまでに髷物顔です。

 実際問題ヅラ映え和装映えするかどうか(綾野さんのように現行絶賛和装中の人もいますが)より、"バリいま風からちょっと外れている"顔、というところにキーポイントがあるみたい。『梅ちゃん』で本命となった松坂桃李さんはCMなどでは絵にかいた様な長身小顔を利していま風の若者を演じていますが、ドラマデビュー作ではもろに"殿"だったので、やはりどことなく制作サイドに、時代ものっぽい役を演らせてみたいと思わせる何かを持っているのでしょう。

 現在絶賛放送中の『あまちゃん』の男子諸君はどうかな。アキちゃん(能年玲奈さん)に告白玉砕後もしぶとい努力を続けるストーブヒロシ役・小池徹平さんは、武者というより永遠の小姓ですな。三十路過ぎても森蘭丸、みたいな。

 滑走路の土台を掘りに東京に行ってしまった種市先輩役は・・・おぉ、またしても"福士"蒼汰さんですが、明るい硬派のイメージもあるし、もう少しキャリアを積んで役者汁がしみてきたら、若き日の織田信長なんか演らせてあげたいですね。坂本龍馬もいいかな。どっちも最期が残念だけど。

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