イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

付和雷ドゥ

2009-03-03 17:06:29 | 特撮・ヒーロー

『仮面ライダーディケイド』6話(3月1日放送)は『龍騎』の世界へ。オリジナルの神崎兄妹によるミラーワールドは、最終話で消失したはずですが、こちらでは各ライダーだけ、と言うより各カードデッキのみ健在で、事件裁判も「検事・弁護士・事件関係者がライダーバトルを行なって決める」という世界になっていました。

「異なった意見を持つ者が直接ぶつかり合い、勝ち残った者の意見が判決となる」「もっとも合理的で、かつ公平で公正な制度だ」…なにやら現代の“多数決民主主義”への揶揄、あるいは“武力で紛争→威力による均衡平和”のカリカチュアのようでもあり、オリジナルの“勝ち残った者が自分の願い(恋人の蘇生、不治の病克服等々)を叶えられる”という設定の切なさとは比ぶべくもありませんが、オリジナル未視聴の人にもこれはこれで楽しめる、なかなかワザありの“温め直し”です。

『キバ』篇でもそうでしたが、各ライダーワールド、“最終回のあと斯く斯く然々の方向に進んでいったとしたら”“あの時点のあのキャラが、もしもこういう人物だったら”という仮定の世界観で、ディケイドとからんでいくことになりそうです。

茶髪にユニクロ風ファッションのミニコミ紙記者シンジ(水谷百輔さん)と黒コートで額の広いレン(北村栄基さん)が因縁含みで対立していて、「シンジ、おまえに戦いは似合わない」とレンが挑発を拒むなど、オリジナルを知っている者も「おぉそう来たか」とニヤリとなる場面が随所に。

久しぶりにあの変身ポーズも見られましたしね。水谷さん、北村さんともにオリジナルの“真司”“蓮”の変身を見て練習したんだろうなと思うと微笑ましい。受け継がれるライダースピリット。

冒頭のライダーバトルで、ベルデ、タイガ、シザース、インペラーと、オリジナルで“悪寄り”だったヤツから順に倒されていってましたが、『龍騎』の世界に限らず、オリジナルの各ライダーのご贔屓筋にとっては“あんなにカッコよくて、いい場面もあったのに”みんな今作で一度はディケイドにやられるか、劣勢になって美味しいところを持って行かれるのは残念かもしれない。

その辺り、『ディケイド』という作品自体の企画段階で「オリジナル視聴者の各ライダーへの愛やシンパシーを踏みにじることになるのでは」との意見も出たでしょうね。出たと思いたい。

ライダー裁判という仕組みをショーアップするため、桃井“玲”子編集長殺害容疑で被告にさせられた夏蜜柑=夏海ちゃん(森カンナさん)「意味わかりません!」「そんなんで正しい判決が出せるんですか?」「弁護士!弁護士を呼んで!」と全然ヘコんでないのが気持ちいいですね。森さん、角度によってとてもあどけなく可憐に見えたり、もんのすごい鼻っ柱の強い男勝りおてんばさんに見えたり、時たまコケティッシュに色っぽく見えたりもする。昔はライダーヒロインと言えば男子諸君から見て守ってあげたい妹キャラが圧倒的でしたが、平成ライダー時代になって、妹キャラは“芯”に押さえつつめっきり多彩になりました。森さんの演じる年齢不祥な夏みかんは近年のヒロイン中でも特筆すべき個性でしょうね。森さんが1988年生まれ、今年21歳と聞いて、「にしては熟れてる」「もっとエロいドレスとかが似合いそう」と思うべきなのか、「幼い」「高校生に見える」と感じるべきなのか、どちらが正解なのかわからない。

逆に考えれば“ディケイド世界の夏みかん”というキャラの二次元的(生身の女性っぽくない)描出がうまくいっている証左なのかもしれない。

「さぁー今日から龍騎の世界かぁ、頑張るぞぉ」のユウスケ(村井良大さん)といい、「珍しい地鶏が手に入ったんだよ」「この子(キバーラ)も旅の道連れさ」の光栄次郎館長(石橋蓮司さん)といい、ディケイドチームは二週おきに世界から世界へと飛ばされて、収入も途絶えてんじゃないかと観てるほうが気が気じゃないのに、実に悠揚迫らざる運命受け容れっぷりですな。とにかく主役のディケイドが過去ライダーの各強化フォームにあっさり変身できるし、行く先々の世界の“ネイティヴ”ライダー、“所属”の怪人・怪物たちと、“出もの”の数と品種数が半端ないので、ドラマというよりいきなりゲームソフトのような印象の作品になっていますが、彼らの鷹揚さは一服の清涼剤。

ユウスケ役村井良大さんが『特撮ニュータイプ』誌別冊のインタヴューで「お祭りみたいな作品」と語っておられた、その“お祭り”に製作上、徹することができれば成功だと思うのですが、過去ライダーとディケイド、どちらかがもう一方の引き立て役、咬ませ犬になる場面が毎話つきまとうようだと、過去作からの平成ライダーウォッチャーにはちょっとつらいクールになるかも。

それにしても、せっかく龍騎の世界に来たのに、王蛇出ないのかぁ。オルタナティヴも。あの青ザメ…じゃなくてアビスが最凶という結末で、龍騎世界終了ですか。オリジナルのミラーモンスター・アビスラッシャーとアビスハンマーから派生せしめられたと思われるマリンブルーのアビス、なんか仮面ライダーというより、造形・質感が東宝の超星神シリーズっぽいんだな。“水のトライブ”という感じ。

士(井上正大さん)の変身時ディケイドライバーが発する「カメンライド、デデデデディケイド」というマーク大喜多さんの声がとりあえず癖になりますな。軽ーく「…ライドゥ」と聞こえるところが、ますます習慣性が高い。

ただ、70年代の1号ライダーの頃に比べると、小さなお友達の心をときめかせてやまなかった「変身!」もずいぶんインフレで、簡単にいろいろになれる。“安く”なっちゃったものだなと思わないでもない。そこまで遡って比べてはいけないんでしょうね。

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