イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

庭には2羽

2012-03-26 01:03:17 | 特撮・ヒーロー

『特命戦隊ゴーバスターズ』と言えばあなどりがたい新機軸もありまして、スーパー戦隊の慣例“敵怪人・戦闘員との等身大での戦闘→勝利→敵巨大化→合体巨大化しての再戦”という一連の順序を廃し、“等身大戦と巨大化戦の併行”もアリな設定になりました。

等身大戦用の携帯武器やアーマーと、合体換装前提のロボパーツと、両方販促して行きたい玩具メーカー企画の戦隊シリーズにあって、これは結構、画期的な方針転換です。

ところが、いざドラマの中で見せられると、制作側が喧伝するほど有難みがなかったりするから、ことは思惑通りに運ばないものです。局面局面で、現時点では3人しかいないゴーバスターズが、等身大戦=対メタロイド担当と巨大戦=対メガゾード、バグゾード担当に分かれるので、どうも戦隊ならではの“チーム一体”感が湧きにくい。

以前から、巨大ロボのコックピットに55色勢揃いすると、クイズ番組の早押し戦か、『そこまで言って委員会』のパネラー席みたいで、バトルクライマックスのわりには絵がのどかになっちゃうなあと思ったことはありましたが、反面、全員一室に揃うことでリーダー(おおかたレッド)のリーダー性や指揮能力が立つし、作戦参謀型や慎重型、勢い任せ型など他メンそれぞれの個性を表現するのにもうってつけの舞台装置でした。『ゴーバス』は上述のような設定のため“同フレームに全員揃って、言い合いなどありつつ最終的に「いっせーのせー」で攻撃”とはならず、めでたく本日の敵を倒して「やったね」「お疲れ」のクロージング場面でも、地上組とロボ内組に分かれたままです。

戦隊らしくなさと言えば見せ場の変身をはさんで「ナントカカンとかの、レッドバスター!(シュッ)」「うんたらカンたらの、ブルーバスター!(ドワッ)」「チャララほららの、イエローバスター!(キュン)」式の“名乗り”と“決めポーズ”もなく、走りながら「レッツ、モーフィン」とか何とかUSA製のパワーレンジャーみたいなことをクチばしっていつの間にか変身している。新作ごとに、今度の戦隊はどんな名乗りをかましてくれるのかな?が楽しみのひとつでしたから、この点については月河、きっぱり「がっかり」と言えます。

どうも『ゴーバス』は“戦隊らしからぬ”という部分に命をかけて一年間行く姿勢のようです。これは吉と出るか凶と出るか。シリーズ、連作ものというのは、基本的に“縛りが多い”ほうが精彩が出るものです。先週ten=第10シリーズが終了した『相棒』も、実際、土曜ワイド劇場時代のプレシーズンから連続枠に移行して、シーズンを重ねれば重ねるほど、踏まえなければならない設定が増えれば増えるほど面白くなって行ったではありませんか。月河としては、タイトルコール来た、OP来た、個別名乗り来た、決めポーズ来た、勢揃いでのチーム名乗り来た…というお約束手順を“踏襲しながら”、「どれだけ前作までの各戦隊と混じらない“この戦隊らしさ”が出せるか」こそが、企画・スタッフのお手並み拝見どころだと思っているので、お約束手順を、それもかなり肝心な箇所で撤廃した今回の試みは、非常に挑戦的に感じました。

まあ、前作『海賊戦隊ゴーカイジャー』で、“累積貯金のショーケース”をぶちまけてくれたので、翌作のここらで思いっきり“累積”から外れたことをやってみようという着想も、全否定はしません。新しいことをやってみて、ヒットしたらそこから新しい累積を始め、伝統に築き上げていけばいいのですからね。

あと、これは初の試みかどうかわかりませんが、各メンバーの“戦闘能力上の弱点”があらかじめ明らかになっているというのも意表をついていると言えば言える。「ここを突かれれば使いものにならなくなる」というところを各自“自供”済みなわけですから、一丁間違えれば戦闘シーンがさっぱりカッコよく強そうに見えなくなるおそれもあるわけです。弱点がまったくない戦士というのもしらけるけれど、戦ってる間じゅう「弱点出るんじゃないか、そろそろ出そうだ、ほら出た」「あ、今日は出なかった」みたいなテンションで、いきなり序盤から見守らなきゃならないのも結構きついよ。いやホント。

キャラ設定でこんだけリスクを負うということは、「弱点あったってカッコいいキャラにちゃんとして見せる」という自信のあらわれでもあるだろうし、さらには“弱点克服・修正をめぐるストーリー”に相当なタマが用意されているに違いない。むしろそういうふうに、ポジティヴに見るべきでしょう。

レッド=ヒロム(鈴木勝大さん)の“ニワトリでフリーズ”なんか、絶対、もんのすごいウラがありそうなワザトラ設定ではないですか。イヌでもネコでもハムスターでもなく、さりとてイノシシやアライグマでもなく、ニワトリ。新西暦21世紀の大都会。いそうでいなさそう、いなさそうで、いてもおかしくなさそう具合が微妙すぎる。

イエロー=ヨーコちゃん(小宮有紗さん)の“お菓子を食べないとバッテリ切れ”は、USドラマ『クローザー』のブレンダ・リー・ジョンソン本部長補佐みたいでさほど不自然じゃありませんが、お子さんたちのヒロインですからねぇ。虫歯や肥満に神経質なお母さんたちからクレームが来ないかしら。

で、今日(25日)放送の第5話で発現しちゃったブルー=リュウジ(馬場良馬さん)の“オーバーヒート暴走”ですが、暴走中のほうがべらぼうにピンポイントで好みな件(噴)(溶)。

CGで歌舞伎の隈取りみたいな顔になるのかと思ったら、ヴィジュアルはリュウさんのまんま、内面だけドSになって仮面ライダー王蛇みたいになるのね。タイヤロイドに「地獄へ落ちろ」、暴走を止めようとした味方のヨーコちゃんに「うっせえ、邪魔だ」「気安く呼ぶな」「まとわりつかれるのは、好きじゃない」。眉間のシワがなんとも。チダ・ニック曰く「テレビの悪役みたい」。いや普通にテレビだし。

アイシングして戦列復帰した後「またカッコ悪いとこ見せるかもしんないけど」なんてヨーコちゃんにあやまっていましたが、いやいや全然カッコいいですから。なんなら暴走したまんまずっといってほしいくらい。リュウさんの熱暴走を楽しみに視聴し続けるという外道な姿勢でもきっとだいじょうぶグッジョブ、か??

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