イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ギャギャギャギャギャ

2009-03-11 21:30:46 | 特撮・ヒーロー

『仮面ライダーディケイド』龍騎の世界後編(38日)、〆方はあれでよかったのでしょうかね。ナイト=レン(北村栄基さん)がヘロヘロになりながらオーディンからタイムベントカードを奪い、龍騎=シンジ(水谷百輔さん)と士(井上正大さん)が玲子編集長変死前に時間移動。真犯人は中庭にいたアビス鎌田(入江雅也さん)と判明、夏海(森カンナさん)の容疑も晴れ、シンジが根に持っていたレンの他社転職の真相と真意も編集長の口から明らかにされて、カメラのシンジとライターのレン最強チーム復活でめでたしめでたし。まだ龍騎の世界に来たばかりだと思っているユウスケ(村井良大さん)と夏海キョトンの間に、士は「この世界での用事はもう終わった」と余裕の笑み。

…しかし、オリジナル『龍騎』のように、神崎士郎が醸成したミラーワールドが消滅してライダーバトル自体が“なかったこと”になったわけではないので、今回のような事件が起きたらまた検察、弁護、事件関係者が変身して入り乱れて戦うんじゃないのかしら。それとも鳴滝(奥田達士さん)が、実はまさかのパラドキサアンデッドだった鎌田を連れて次週からの剣(ブレイド)世界に行ってしまったので、龍騎の世界はもう無事なのかな。何かあったら、死ななかったことになった桃井編集長のAtashiジャーナルが書いてくれるわけだし。

もともと人類の平和と幸福のために戦うはずだった“仮面ライダー”が“テメエひとりのために”戦い出したらこんなんなっちゃいましたという『龍騎』物語の一側面をフィーチャーし、ミラーワールドの成り立ちどうこうはほぼオミットしたのは成功だったのかな。

オリジナル『龍騎』視聴の間、特に秋からの後半戦は「何をどうすればあのミラーワールドは解消されて、いい人たちみんな死なないで済むんだ?」と悩み続け、“いい”人じゃないけど死なないでほしいと思う人物がどんどん増えていってますます悩ましくなった日々を思うと、ずいぶん簡単に「終わった」ことにされちゃったなという気がしないでもありませんが、それでもレンが命がけで奪取したタイムベントカードにシンジが「その身体じゃ無理だ、俺が行きます」とライダーバトルのルール破りを買って出る場面や、「僕は1人で戦ってるんじゃない!」、士との「いまは、僕たちがチームだ」など、理屈はどうでもぞくっとしましたね。

ヒーローものの場合、設定→展開→回収の整合性が多少アレでも、局面局面の“燃え”で取り返してお釣りが来てしまうことがたまさかあるんです。

逆に言えば、ヒーローもの以外の普通の実写ドラマは、この“燃え”という情緒のゲタをはかせてもらえない分、いろんなことを隅々整合取らないと杜撰呼ばわり、欠陥作呼ばわりされるのでつらいのだな。

オリジナル最終話、“花鶏”に一見さんとして入って来る真司と、出て行った蓮との間に、ライダーバトル抜きで友情が芽生える未来がありますように…と思ったので、“シンジ”と“レン”の“最高のチーム復活”は素直に嬉しかった。設定も、役者さんも変わっているんですけどね。先週放送の前半しか登場がなかった脇役ライダーたちの扱いや、人間体のキャスティングを含めて、「こんなんで終わり?」と不満なオリジナル『龍騎』ファンも少なくはないでしょう。

昼ドラウォッチャーとしては、06年『美しい罠』の水谷百輔さんが、素朴でほどほど山だしやんちゃな味を保ったまま“ライダーが似合う”若者に成長して出てきてくれたのも収穫でした。82年生まれ、草太の頃は20歳、いま23歳。オリジナル『龍騎』の真司に扮した須賀貴匡さんが当時24歳でしたから、水谷さんはうまいこと“シンジ適齢期”にはまったわけです。ファイナルフォームでアビスファイナルベントを両断するとき、オリジナル真司の「しゃーー!」も再現してくれましたね。

草太時代共演の芳賀優里亜さんが『龍騎』の翌クール作555と、『ディケイド』の前クール作『キバ』でヒロインを演じているのも、「世間って狭いものだ」感あり。ちょっとしたすれ違いメロドラマ。

士とユウスケが、ライダー世界をひとつ訪ねるごとに互いへのリスペクトを深め合っている様子も微笑ましい。ユウスケは龍騎世界では、変身しての見せ場は一度もなく、ひたすら士ディケイドの忠実なサポーターに徹していましたが、こういう方法論でもユウスケのキャラは成立し得ることがわかってしまうと、ちょっと複雑な気もしますね。『555』の啓太郎、『剣(ブレイド)』の虎太郎といった“ヒーロー側の、変身しないサポーター”役って、人物としてどんなに明るくても、奥行きがあっても、結局はもの悲しいんですよ。『龍騎』以降特に、ライダー造形の哲学というかスタンダードが一変したので、00年造形のクウガが入ってくると若干ヴィジュアルが古く見えてしまうかもしれないけれど、ユウスケ版クウガの再変身参戦はもうないのかな。前枠の『侍戦隊シンケンジャー』同様、若手レギュラーの中でいちばん演技が安定していて、リキんだり見得切ったりでない日常の芝居の引き出しもより多く持っている人=村井良大さんが、クレジット2番手にいることで『ディケイド』も見やすくなっている。

ディケイドが各ライダーをファイナルフォームライドゥするときの「ちょっとくすぐったいぞ」は小さな男子諸君が学校でやりまくっていそうだな。演出的には、せっかくオリジナルで輝ける主役だった各ライダーが、ディケイドのツールにされたみたいで釈然としなかったりしますが、ライダー→変形→ライダーフォーム復帰のCGアニメがあまりにきれいなのでつい楽しみになってしまうんですよね。

次週から剣(ブレイド)の世界。今週ラストシーンの4ライダー並列は、オリジナル『剣』の前期OPに直結する色合い、照明具合でした。4ライダー全員に見せ場と、カッコいい変身前俳優さんを…なんてセコいことを願うより、“給料取りの職業ライダー”“冒頭で組織崩壊”“生物種ごとの祖の封印=種の地上覇権”というオリジナルの基本アイディアがどう換骨奪胎されるかに期待です。

やっぱりあれかな、ディケイドにフォームライドされると「ブブブブブレイド」の声が流れるのかな。

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