イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

問わず語りの心

2017-11-06 00:19:34 | 海外ドラマ

 朝ドラ撤退と前後して、月河の心のスキマに飛び込んで来たドラマがあります。どっかにないかと探していたわけじゃないんですけど、何も来ないときはまったく何も来ない代わり、来るときはホントに思いがけない方向からスポッと、はめ込むように来ますな、TVドラマって。

 『ルビーの指輪』。BS12(トゥエルビ)月~金16:00~放送。韓国ドラマです。どっひゃー。コレ、さすがに分が悪いわ。数年前、高齢家族の随伴でさかんにDVDで見まくっていた頃につくづく思ったのですが、“次回を否応なく見逃せなくさせる”ことに、韓ドラは一点集中、命かけてますから。日本の国営放送が受診料でつくった高画質のご清潔良心的環境動画じゃ太刀打ちできません。

 ルビーの指輪と言っても、曇りガラスの向こうが風の街なわけではなく、“ルビー”はヒロインの名前で、その彼女の指輪、という意味でもある。韓国ドラマですがヒロインがルビー。姓がチョンで名がルビー。人呼んでチョン・ルビー。

 セカンドヒロインがルビーの姉で名前がルナ。チョン・ルナ。

 ・・・すでに、この辺で嘘くさ・・・いや、ぶっ飛び虚構感ぐいぐい来るわけです。まぁ日本にもキラキラネームってありますからね。ましてドラマだし。

 美人で優しく愛され優等生のルビーと、自己中で上昇志向で僻み根性の強いルナ、二卵性双生児ながらルックスも性格も正反対な姉妹の、ひとくちで言えば韓ドラ版『フェイス/オフ』です。ご記憶かしら。正義のFBI捜査官トラボルタと極悪テロリストのニコラス・ケイジの顔が移植で入れ替わっちゃうの。話としては特別どうということはないジョン・ウー印のアクション映画ですが、途中からトラボルタが一気に尊大なオラオラ演技になり、イッちゃってるギョロ目だったケイジが知的ないい人演技になる、芝居面ではひと粒で四度くらいの美味しさはありました。

 『ルビーの指輪』では優等生ルビーが大企業のマーケティング部門に勤め、アメリカ留学から帰国した経営者御曹司とラブラブ。一方、野心家のルナは、地元ケーブルテレビ局でレポーターを目指しつつも未だ裏方に甘んじ、若手プログラムディレクター(劇中字幕では略してPD)と付き合っていますが、もっと世に出る仕事をしたい気満々です。ルナは望まなかったうっかり妊娠を中絶しようとして、結婚を望むPDと険悪な雰囲気になり、両想い玉の輿目前のルビーをやっかんで、首都のキー局のオーディションのためにルビーの衣装と御曹司からの婚約指輪を強引に借り、ルビーの車に同乗して大事故を起こします。二人とも命はとりとめますが顔面大損傷。先に意識を取り戻したルナが、服装と婚約指輪からルビーだと取り違えられ、御曹司やその一族からルビー、ルビーと優しくされているうちに欲望が目覚めて、ルビーになりすまし顔面整復手術でルビーの顔になってまんまと経営者一族の嫁に。

 一方、昏睡状態が続いていた本物のルビーはルナの顔に整復され、一年後に意識回復した時にはすべての記憶を喪失しており、すでにルビーの人生を乗っ取ったルナから「あなたはルナなのよ」と吹き込まれ思い込まされてルナの人生を手探りで歩み始めます。

 コレ見始めたきっかけはよく行く出先で、先客がロビーの大画面テレビをザッピングしていたとき、あ、『トンイ』のチャンヒビン役だった女優さんが出ている・・と一瞬、目が留まったところからなんです。イ・ソヨンさん、小さな顔の輪郭からはみ出すんじゃないかってぐらいのぱっちりお目目が印象的で、所見は『トンイ』でしたが、その後やはり出先でのチョイ見から『天使の誘惑』をDVDで一気見したりもしました。韓国ドラマの美人さん女優の中では整形感がほとんどないのも(失礼な言い方ながら)珍しく、画面にアップで映ると引き込まれずにいられない迫力のあるお顔立ちです。

 その彼女が、序盤は謙虚でまじめで思いやり深く誰からも好かれる本物ルビーを、入れ替わってからは顔はルビーでも高飛車で猜疑心が強く(バレたら大変な秘密抱えてますからね)、女としてもガサツでツンケンしたルナを演じているんです。この切り替えがすごい。

 セカンドヒロイン・ルナ役も負けていませんよ。イム・ジョンウンさん、高句麗時代の史劇『風の国』では武道に長けた元気な王女さま役でしたが、序盤はケバいメイクで、ルビーの成功を妬む底意地悪げなルナを、入れ替えられてからは、記憶を失ってルナの顔にされたけれど持ち前の優しさやひたむきさでルナとしての人生を受け入れ、そしてちゃんと周囲から好感を得ていく“中身はルビー”を演じている。月河は第15話からの途中参入なもので、見始めたときにはすでにそれぞれが入れ替わり後の人生を歩み出していたのですが、周囲の家族やそれぞれのパートナー、職場の人物たちとのやりとりで「コレ本当はこの人のほうがアンナこんな感じだったんだ」と透けて見えていくのが何とも怖いし、ドキドキする。

 何の落ち度もなく巻き添えで事故に遭い、意識不明の間に自分のキャリアや婚約者をルナに横取りされたルビーが独走で気の毒なので、本当なら「早くみんな真相わかってあげて」と本物ルビーの身になってハラハラやきもきし通しなはずなのですが、ルナのやりくちがあまりに近視眼的で無理筋、かつイ・ソヨンさん得意の“謀略系悪女”演技が堂に入っているため、「あーあーここでそんなこと言ったら、そんな表情したら怪しまれちゃうじゃん!」と、逆に“悪サイド”に立ってハラハラしてしまう局面もあったりして、もう次回が待ち遠しくなるしかないですよ。

 調べてみると本国放送時は全93話、月~金放送の所謂イルイル(日日=毎日。日本で言う連続テレビ小説のような平日オビ)ドラマだったらしいのですが、BS12のサイトでは全62話となっているので、だいぶ編集されているようです。最終話まで見終わったらDVD借りて1話から個人的に再放送しようかなとも。

 次回、6日(月)が第26話。25話終盤では踊り場で言い合って偽ルビーに突き落とされ頭を打ったことから、ルナにされた本物ルビーの記憶が蘇りつつあるようです。お見舞いに来た人たちが何故か私に「ルナ、ルナ」と話しかける?私の顔をしたこの人は?

 偽ルビーは突き落とした張本人ですから、死んじゃったらどうしようという本気心配が半分、転落の真相を暴露されたら大変という保身心配半分で駆けつけるのですが、記憶取り戻しかけの本物ルビーは我が目を疑う思いです。自分の見ているものが信じられず、思わず窓ガラスに映った偽ルビーの顔を見直す。見えている顔と同じ顔がガラスにも映っている。信じられない。セリフではなくガラスを使って本物ルビーの困惑を示す演出もうまい。

 だいたいこの時間帯だと録画で夜の視聴になるのですが、うまいことリアルタイムで16:00から見られると、日々日没が早まり黄昏に包まれゆく時間帯の気分に恐ろしくマッチします。えらいところに嵌まってしまいました。

コメント
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